国際情勢と経済戦略

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マイナス金利では経済成長できない理由(元モルガンスタンレー・アジア会長)

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前回の続きです:
前回:http://domoto-world.com/archives/1803928.html

元モルガンスタンレー・アジア会長のスティーブン・ローチ氏による、この数年の主要中央銀行の非伝統的金融政策についての考察を見てみます。

Central Banking Goes Negative(中央銀行の取引きがマイナス金利になる FEB 18, 2016 プロジェクト・シンディケイト)
http://www.project-syndicate.org/commentary/central-banks-negative-interest-rates-by-stephen-s--roach-2016-02

巷やネット記事では、マイナス金利時代の資産運用法などというニュースがあふれ返っています。

これに対してローチ氏は、「ゼロ金利政策と量的緩和策は、慢性的な弱々しい景気回復での有効な経済的牽引力を得るのに失敗した。マイナス金利への転換は、金融市場の不安定性のリスクを作り上げ、<次の危機へのお膳立て>をすることになるだけである」と警鐘を鳴らしています。

Just as the first two gambits failed to gain meaningful economic traction in chronically weak recoveries, the shift to negative rates will only compound the risks of financial instability and set the stage for the next crisis.

「中央銀行の当座預金に寝かせている超過準備金に対しペナルティーを課すことによって、マイナス金利は信用的な取引の<供給サイドを通して>景気の刺激を高めようとする」。それは「実際には銀行に新しい貸し付けをするように促しながら」供給サイドに働きかけるのですが、それは資金の需要にかかわらず働きかけるもので、<需要サイド>に問題の根本があることを日銀もECBも理解していないというのです。

ECBのマイナス金利拡大を警戒する投資家 (2016年3月7日 WSJ)
http://jp.wsj.com/articles/SB12092858236623234774304581584093265160626

「マイナス金利策を採る日銀やECBは、リーマンショックの後の世界の経済を苦しめている本質を洞察できていない」とローチ氏は言います。

その事の説明として、野村のエコノミストであるリチャード・クー氏の日本についての次のような主張を、ローチ氏は示します。

問題の焦点は危機で打ちのめされた経済の<需要サイド>にあり、そのような経済では、「バランス不況」の後遺症としてその後もずっと根付いている「借金拒否シンドローム」(“a debt-rejection syndrome”)によって経済成長が阻害されている。

そのような機能障害は世界的な範囲で見られると言います。

<◆次回へ続く◆>

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「マイナス金利は役に立たない、無駄な試み」(元モルガンスタンレー・アジア会長)

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週刊現代の3月5日号に「預金封鎖に備えよ−マイナス金利で始まるとんでもないこと−」という記事が掲載されていました。

元モルガンスタンレー・アジア会長のスティーブン・ローチ氏によると、マイナス金利という金融政策は、ゼロ金利政策、量的緩和策に続く3つ目の「(根本的に)役に立たない、無駄な試み」であり、これらの非伝統的政策では、国家経済も世界経済も危機を深めるばかりであると言っています。

(ローチ氏の記事を時折り読みますが、結局同氏の主張は、中央銀行は伝統的な金融政策へ戻ることが望ましい、しかし、リーマンショック以降の世界経済は潜在的な危機を深めるばかりであるというものであり、ローチ氏自身のそれに対する処方箋は示されていないようです。)

現在、FRBでもマイナス金利の導入が検討されているという話をききましたが、2014年のECBのマイナス金利の導入に続いた我が国日本銀行でのマイナス金利の導入は、全体的に見て経済と金融にどのような影響、そしてリスクをもたらすのでしょうか。また、日本に限らずFRBやECBなどの主要中央銀行がマイナス金利を導入する経済的な背景の構造には、どのような脆弱性と危険が潜在しているのでしょうか。

元モルガンスタンレー・アジア会長のスティーブン・ローチ氏(現エール大学ジャクソン研究所シニア・フェロー)の2月の記事では、その事についてかなり踏み込んだ解説と考察をしています。

Central Banking Goes Negative(中央銀行の取引きがマイナス金利になる FEB 18, 2016 プロジェクト・シンディケイト)
http://www.project-syndicate.org/commentary/central-banks-negative-interest-rates-by-stephen-s--roach-2016-02


<◆◆下記に続く>

マイナス金利では経済成長できない理由(元モルガンスタンレー・アジア会長)
http://domoto-world.com/archives/1804188.html

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『国債市場は先物から崩れる』ーヘッジファンドの「日本売り」はいつ来るかー

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 Bond(Weekly)20140526214508

上:日本国債先物の推移(※ 週足(「W」)表示)
http://www.investing.com/rates-bonds/japan-govt.-bond-advanced-chart
下:ドル円チャート
http://finance.yahoo.com/q/bc?s=USDJPY=X&t=5y&l=on&z=l&q=l&c=


◆【この記事は、4月24日にメルマガで配信された以下の題名の記事を掲載しています】
http://www.mag2.com/m/0001627731.html

     
     円の動きは国債暴落の最初の兆候になる

      ―カイル・バスのインタビューから(米CNBC)―

【目次】    
【1】 円の動きは国債暴落の最初の兆候になる
【2】 国債市場は先物から崩れる(円と先物国債の値動き)


     【1】 円の動きは国債暴落の最初の兆候になる

日経平均株価の4月第2週の週間ベースの下げ幅は、リーマンショック後の2008年10月以来最大となり、1,103円下がりました。これは主にウクライナ情勢の緊迫化などが理由です。

この時の株価と国債利回りについて「日本国債売り」で知られるカイル・バスは、興味深いことを4月15日に米CNBC放送のサイトで述べています。

カイル・バスについてはネットで、「日本国債の金利は全然上昇していない、今までの予想は全部外れているぞ」などと揶揄するも人たちもいます。カイル・バスが日本国債のネガティブ・ベット(賭け)で2011年から2012年の間に巨額の損失を出し失敗していたのは、大きな円安トレンドがまだ来ていないのが原因でした。

カイル・バスたちが狙っている「大きな円安トレンド」は、まだ来ていません。

円安は、安倍政権を誕生させた総選挙の前の2012年10月から急ピッチで始まりました。しかし2013年5月22日のバーナンキ元FRB議長のQE縮小示唆の発言以降、円安速度は鈍化し、2014年に入ると円安トレンドは止まり、2月からは102円前後で停滞しています。これはチャートを確認してもらえればわかると思います(2013年5月は長期金利が乱高下を起こした「5.23ショック」が起きています)。

カイル・バスたちの「日本売り」ヘッジファンドが狙っているのは、それ以上の大きな円安トレンドです。

IMFは4月8日の世界経済見通しで、これまでの日本経済に対する好意的な評価を改め、アベノミクスに警告を始めました。IMFのチーフエコノミスト、オリビエ・ブランシャール氏は、「日本の財政問題が現実的な問題になり、投資家の信頼はいずれ消え失せる可能性がある。これが日本国債の利回り急騰となって表れ、混乱が生じうる」と語りました。

IMF、今年の世界成長見通し下方修正―日本には警告(2014/04/09 ウォールストリート・ジャーナル)
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304364704579489972053887530.html

ついにIMFのチーフエコノミストが日本国債の利回り急騰と混乱に言及し、カイル・バスの観測スタンスに近づいてきました。4月15日CNBC放送でのカイル・バスへのインタビューは、米国の金融・投資サイト『バリュー・ウォーク』でも取り上げられています。

Why Japanese bonds look 'terrible': Kyle Bass (2014/04/15 CNBC)
http://www.cnbc.com/id/101584588

Kyle Bass Notes Japan’s Debt Crisis Crash (2014/04/15 ValueWalk )
http://www.valuewalk.com/2014/04/kyle-bass-notes-japans-debt-crisis-crash/

米国の金融・投資専門チャンネルであるCNBC放送には、時々日本国債がらみでカイル・バスが出演しますが、CNBCはバスのことを「日本経済の最大の批評家の一人」と言っています。

この記事のなかでカイル・バスは日経株価の4月第2週の大幅な急落について、1,100円もの株価の急落に対して国債市場での利回りがほとんど動かなかったことに注目しています(先物国債144円80銭〜145円10銭、長期金利6.0〜6.5)。

これまでは株が買われると国債は売られ(利回りは上昇)、株が売られると国債は買われる(利回りは下落)のがパターンでした。カイル・バスは次のように言っています(私が一部を補い要約してあります)。

「4月第2週の大幅な株価急落では、国債市場での「質への逃避」(flight to quality)が起きなかった。国債市場は何も変化しなかった。1,100円という大きな急落を考え合わせると、日本国債はかなり酷い演じ方をした。この先、何かが起こる。」

... Kyle Bass noted Friday’s swan dive in the Japanese Nikkei did not produce a corresponding flight to quality in the Japanese bond market, as one might expect. Japanese bonds “are acting pretty terrible in light of their equity market,” Bass said in the interview. …Japanese bond market hasn’t gone anywhere,” Bass said, … So we’ll see what happens.”

バスの話は現物国債市場を左右する先物国債市場で考えると、よりわかりやすいと思います。バリュー・ウォーク誌の記事の執筆者の説明を加えて、バスの見方をまとめると次のようになります。

1,100円の株価の急落では、円は2円以上の円高になった(104円から101円60銭へ)。この<円高>が(先物)国債価格の下落を防ぐ「逃がし弁」(escape valve)になっている。問題は、この円が「逃がし弁」としての機能を(いつまで)果たせるかどうかだ(… whether the yen can serve as an "escape valve." )。

金利と通貨ではどちらが最初に破裂するだろうか? 1国の通貨の動きは、債務危機での暴落の最初の明確な兆候になるだろう(V.W.執筆者)。「通貨の円が国債よりも前に動くだろうと私たちは考える」とカイル・バスは言った(※ 後注)。

この<円>という「逃がし弁」(escape valve)については、日銀の大規模緩和策が直接的に働いている現物国債よりも、先物国債で考えてみてから現物国債に当てはめてみるとわかりやすいと思います。


     【2】 国債市場は先物から崩れる

円の動きを2012年10月位から追ってみるとわかりますが、米国FRBの金融政策の予想、国際情勢や世界経済の動きによって円が「安全通貨」として買われ、円高傾向になる時期があります。そしてその時期は、2013年4月の「異次元緩和」の発表以降、意外に長い期間に及ぶのです。

2013年のFRBの金融政策の影響のほかに円高要因になった出来事を挙げると、同じ年の米国のデフォルト騒動(政治劇)、今年に入ってからの新興国経済の動揺、そしてロシアによるウクライナ危機が挙げられます(ロシアは2月26日には軍事演習を行っています)。

このように円が「安全通貨」「資金の逃避先」となる状況が、海外経済や国際情勢のなかで頻繁に起こってきたので、そのたびに円が円高方向へ振れ、それとセットで先物国債が買われてきたのです。

2013年4月4日に黒田日銀が決定しそして始めた大規模な金融緩和以降、この間の大きな円安トレンドの期間では先物国債が売られ、債券安のトレンドが円安トレンドと同時に起きています(大規模金融緩和以前は、必ずしもそうではありません)。

日本国債先物の推移:チャート(Investing.com)
http://www.investing.com/rates-bonds/japan-govt.-bond-advanced-chart
※注:「週足」(「W」)表示がわかりやすいと思います。

米ドル/円チャート(ブルームバーグ)
http://www.bloomberg.com/quote/USDJPY:CUR/chart

2013年5月の10〜15日、そして5月23日の日本国債の現物債の金利(長期金利)の大きな乱高下(「5.23ショック」)は、海外投機筋の売買による先物国債が主導していました(下記記事参照)。

「23日の市場の動きと今後への不安」 (2013/05/25 久保田博幸−Yahoo!ニュース)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20130525-00025192/

円安の進行に合わせて海外投機筋が先物国債を売ろうとしていたところへ、海外経済と国際情勢の変化で「安全通貨」の円を買うことになり、それと一緒に先物国債は買われてきました。
つまり先物国債が売り込まれるのを、円が買われること(円高)で防いでいたのです。これがカイル・バスが言った「円が逃がし弁として機能している」という意味です。例えてみれば、心臓の「弁」が血液の逆流を防いでいるように、円が買い戻されることで先物国債の価格が下落するのを防いでいたのです。

東京証券取引所が公表する「投資部門別 国債先物取引状況」によれば、海外投資家による2014年3月の取引シェアは65.04%です。驚くべきことにこの数字は、前月の2月の47.96%から急速に上昇し、過去最高を記録しています。

国債先物取引・国債先物オプション取引(※ H26/05/23 大証サイトへデータ掲載が移動しています)
http://www.tse.or.jp/market/data/sector/index.html

心理的には円安がだいぶ進んだ感覚がしますが、数値で見れば日銀の昨年4月の大規模緩和から今日までの円の下落は3円程度で(99円→102円)、2012年10月を起点として大幅に進んだ円安の87%は、実は<期待で>急速に売られていた2013年4月の大規模緩和発表の以前に進んでいました(2012年10月〜2013年3月まで)。
つまりカイル・バスたちにとって、2013年4月の大規模緩和以降の円安は、まだまだ下落幅が少ないのです。

(¥78 - 12/10/1, ¥99 - 13/4/4, ¥94 - 13/6/14, ¥100 - 13/11/12,
  ¥102 - 14/4/24 )

今後の日本の金融市場に影響を与える3つのイベント、

(1)2014年度の経常赤字、もしくは経常黒字の大幅縮減。
(2)GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の6月にも始まる
  株式運用比率の拡大の進展。
(3)早ければ7月とも見られている日銀による追加緩和

これらによって引き起こされる<円安>への大きな波をカイル・バスたちの「日本売り」ヘッジファンドは狙っています。

      (了)

中国金融危機−最終解決策と米国債−(【3】 中国経済は危機突破の方向へ進んでいる)

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◆【この記事は4月10日にメルマガで配信された以下の記事を、分割して掲載しています】
http://www.mag2.com/m/0001627731.html


    中国経済は危機突破の方向へ進んでいる
     ─ 改革の断面図と最終解決策 ─

【目次】
【1】 輸出偏重からのリバランス
【2】 3つのマクロ経済目標
【3】 中央銀行の4つの政策目標
【4】 製造業からサービス業への雇用シフト
【5】 中国経済の改革の見方
【6】 最終解決策と米国債


    【6】最終解決策と米国債

ところで、元モルガン・スタンレー・アジア会長のローチ氏は、2013年の夏以降、中国の経済改革のなかでの構造改革についてはポジティブな評価と分析をしているのですが、『プロジェクト・シンディケート』サイトへ寄稿している記事を読む限り、シャドーバンキングや不良債権問題、不動産バブルの崩壊懸念の問題、そして債務急増の問題に対しての<金融改革の問題>については踏み込んだ解説がありません。

ただし、米国と中国の間の金融政策の関係や中国による米国債保有のリロケーション(再配分:米国債以外への分散投資)の可能性などについての記述はあります。

それでもシャドーバンキングや不動産バブルの懸念などの巨大な問題に対する解決の見通しなしに、中国経済の今後を予測することはできないと思います。
この問題について環球時報が、3月31日付ドイツ週刊誌「フォークス」の記事『経済の巨人は崩壊するか?中国について知るべき9つのこと』の内容を引用して掲載したそうです。その中からこの金融危機の問題を扱った次の2点を引用します。

4、危険な信用バブルは膨張しているのだろうか?悲観主義者と呼ばれるエコノミストのマーク・ファーバー氏は、「中国には大きな信用バブルが存在する」と述べたが、成長率の低下により経済が健全化しリスクが低減するとも指摘した。
(中略)
6、シャドーバンキング問題は、リーマン・ショックのような危機を引き起こすだろうか?この可能性はない。中国の伝統的な銀行の貸付規模はシャドーバンキングを大幅に上回り、かつ中国は巨額の外貨準備高を保有しているからだ。

「中国経済の動向、9つの点から分析―独誌」 (2014/04/05 Record China)
 http://topics.jp.msn.com/economy/china/article.aspx?articleid=3940827

金融危機を引き起こすかもしれないこれらの巨大な問題については、万一の場合の最終的な解決策として、中国が大量の米国債の売却を始めるという見方があります。その事についてはUBS・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者、アレキサンダー・フリードマン氏が2013年8月の記事で分析しています。フリードマン氏は外交問題評議会(米国)のメンバーでもあります(UBS:スイスに本拠を置く世界有数の規模を持つユニバーサル・バンク)。

China’s American Bailout? (2013/08/22 Project Syndicate)
http://www.project-syndicate.org/commentary/why-the-fed-may-bail-out-china-s-financial-system-by-alexander-friedman

フリードマン氏は、中国で金融危機が起きた場合、銀行システムへの大規模な資本注入では、インフレなどを避けるため人民元建ての国債を注入せず、政府は十中八九、大量の米国債の売却を始めるしかほかはなくなると言います。そして、それによって生じる人民元高などの経済変動から中国が受けるネガティブな影響は、以前に考えられていたよりも、おそらくずっと少なくて済むとしています。その理由の一つとして中国経済がかつてと違い、輸出依存脱却の方向へ転換していることなどを挙げています。

第1節の輸出のところで、「輸出・投資主導から消費主導の経済成長モデルへの転換は、中国政府が長年待ち望んでいたものである」と書きましたが、この経済成長モデルの転換は、<人民元の国際化>や金融改革とともに、中国政府による、大量の米国債の売却から起こる経済変動を見据えた準備のための大転換とも位置づけられると思います。

実際に今年に入り、米国の議会へ報告された報告書を見ると、中国が米国債の売却やリロケーション(再配分;米国債以外への分散投資)を始めることに、米国が備え始めているとも思われる文書が提出されてきています。

(以下の3つのリンクは米中経済安保調査委員会(USCC)によるものです。PDFファイル)

China’s Foreign Exchange Reserves and Holdings of U.S. Securities (2014/03/21 USCC)
http://www.uscc.gov/Research/china%E2%80%99s-foreign-exchange-reserves-and-holdings-us-securities

April 2014 Trade Bulletin (2014/04/04 USCC)  
http://www.uscc.gov/Research/april-2014-trade-bulletin

March 2014 Trade Bulletin (2014/03/07 USCC)  
http://www.uscc.gov/trade-bulletin/march-2014-trade-bulletin


■ 関連記事
 米国はQE継続で中国の金融危機に対処する(2013/10/01 拙稿 )
 http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/38157620.html

      (了)

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【2】 中国経済は危機突破の方向へ進んでいるー人民銀行の金融政策ほかー

ロイタ111

改革積極派でベテランの周小川総裁(ロイター)


前ページへ:【1】 中国経済は危機突破の方向へ進んでいる


◆【この記事は4月10日にメルマガで配信された以下の記事を、分割して掲載するものです】
http://www.mag2.com/m/0001627731.html


    中国経済は危機突破の方向へ進んでいる
     ─ 改革の断面図と最終解決策 ─

【目次】
【1】 輸出偏重からのリバランス
【2】 3つのマクロ経済目標
【3】 中央銀行の4つの政策目標
【4】 製造業からサービス業への雇用シフト
【5】 中国経済の改革の見方
【6】 最終解決策と米国債


    【3】 中央銀行の4つの政策目標

楼財務相などのいう中国の3つのマクロ経済目標「雇用創出、物価の安定、GDP成長」は、中国人民銀行の金融政策が支えています。

3月27日のローチ氏の記事では、人民銀の周小川総裁も金融政策において楼財務相と同様なことを述べています。

周総裁はこう述べた─「中国人民銀行は、ただ一つだけの目標(GDP)を達成しようとしているわけではない。人民銀は、物価安定、雇用、GDP成長、国際収支という目的から成る「多目的機能」と呼ぶものと合致した金融政策の骨組みを作っている。最後の(国際収支という)要因は、通貨政策において人民銀の権限を認めるために加えられた」。
周総裁は、「(政策の腕の)見せ所としては、多目的な政策機能のなかで4つの目標のそれぞれに、どうウエイトを割り当てていくかということだ」と強調した。

The PBOC, he argued, does not pursue a single target. Instead, it frames monetary policy in accordance with what he called a “multi-objective function” comprised of goals for price stability, employment, GDP growth, and the external balance-of-payments - the latter factor added to recognize the PBOC’s authority over currency policy.
The trick, Zhou stressed, is to assign weights to each of the four goals in the multi-objective policy function.

人民銀が国際収支を目標の一つと明確にしていることは、日銀が経常赤字に対しての対応を明確にしておらず、半ば放置しているのと対照的で、日銀も金融政策の在り方を早急に再検討するべきでしょう。


    【4】 製造業からサービス業への雇用シフト

中国の雇用状況の最新の情報として、HSBCの3月のサービス部門の景気動向レポートは注目です。各国の中央銀行からも信頼されているHSBCの速報では、3月のサービス部門の雇用状況について以下のように報告されています。

サービス業の労働者数が2013年6月以来の最も高い伸びとなり、とりわけサービス業での雇用創出が製造業で減少している労働者数を相殺して、サービス業・製造業合わせて5か月ぶりの雇用の増加をもたらした。

In contrast, higher volumes of new work led service providers to expand their payroll numbers at the fastest rate since June 2013. Notably, job creation at service providers offset job shedding at manufacturers, and led to the first increase of employment at the composite level for five months.

(HSBC China Services PMI - Mar 2014 −2014/04/03 HSBC−)
http://www.hsbc.com/1/2/emerging-markets/em-index/purchasing-managers-index

これは中国政府の構造改革の計画に合わせて、製造業からサービス業への雇用シフトが進んだことを示しています。また前出の4月3日のロイターによれば、「サービス部門は2013年のGDPの46.1%」を占めるまでになってきています。


    【5】 中国経済の改革の見方

ローチ氏の記事の最後の結論に当たる部分は非常に重要ですが、少しわかりにくいかと思うので記事全体の内容を踏まえて以下にまとめてみました。

「楼財務相や周総裁などの政策幹部が共通して説明する「柔軟な経済成長の目標設定」(flexible growth targeting)は、ただ一つの目標(GDP成長率)に拘束されない。それは先進国の政策立案者と同じで、経済成長の計画は「雇用、物価安定、GDP成長、(国際収支)」などの複数のマクロ経済目標が、柔軟な形をとって全体として調整され目標設定されている。これからの中国経済で起きる変動とその変動への政策対応は、その文脈でよく考慮される必要がある。」

ローチ氏の記事にはほかにも、中国経済が減速しているといわれるなか、なぜ中国政府は自国の経済の見通しについて楽観視していられるのかという重要な理由も書かれています。


次ページへ:1・◆Γ
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