経済戦略と国際情勢

救国済民。来るべきこの国の大量経済難民を、どう救うか

米国は核兵器でロシアに対抗するか―ロシアの核戦力の強化と有事即応態勢の強化―

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■■ 西側とロシアの核兵器の配置図 ※ nuke:核兵器 base:基地

◆◆画像右下にポインターを当てると+印が現れ、クリックすると拡大できます。
(出典:"THE EUROPEAN CHESSBOARD: Here's A Map Of The Russia-NATO Confrontation" Business Insider, SEP. 29, 2014)
http://www.businessinsider.com/a-map-of-the-russia-nato-confrontation-2014-9


3月後半になって以下のような関連情報が入ってきました。
このような情報がロシア各地で3月15日以降、数日間にわたり集中して出てきた背景的なことについては、3月26日発行の有料メルマガで解説してあります。



クリミアに核爆撃機投入=ミサイル原潜も臨戦点検―ロシア軍
2015.3.19. 時事通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150319-00000033-jij-int

【モスクワ時事】インタファクス通信によると、ロシア国防筋は18日、北方艦隊などが実施中の軍事演習の一環として、ロシアが編入したウクライナ南部クリミア半島に核兵器搭載可能なTU22M3戦略爆撃機10機を投入すると明らかにした。

 また、ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は18日、極北ムルマンスク州の北方艦隊基地を訪れ、弾道ミサイル原子力潜水艦が搭載する潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の臨戦態勢を点検した。

 プーチン大統領は15日の国営テレビ特番で、昨年2月からクリミアに軍事介入した際、核兵器の臨戦態勢に入る用意もあったと証言した。一連の演習や点検には、核戦力を誇示し、北大西洋条約機構(NATO)をけん制する狙いがあるもようだ。




【◆◆以下の記事は、有料メルマガ2月26日号で掲載したものです】


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   米国は核兵器でロシアに対抗するか

    ―ロシアの核戦力の強化と有事即応態勢の強化―


【目次】
【序】 バルト3国、モルドバ、ロシアの標的に
【1】 ゲラシモフ参謀総長の攻撃戦略
【2】 クリミアに核兵器はあるのか
【3】 米国は核兵器でロシアに対抗するか
【結語】


   【序】 バルト3国、モルドバ、ロシアの標的に


ウクライナ情勢は、停戦発効後も戦闘が続き混沌としています。この2月には米国による武器供与も検討され、ロイターなどでは、プーチンが支配力を広げ、「欧州の地図を書き換える」ことを憂慮する記事もいくつか出てきています。

『ファロン英国防相は先週、プーチン大統領がエストニア、ラトビア、リトアニアに「現実的かつ当面の脅威」を引き起こしていると指摘。欧州委員会のドムブロフスキス副委員長も、ロシアが欧州の地図を武力で書き換えようとしていると述べた。』

焦点:プーチン氏が描く「支配地図」、ウクライナで読み誤った欧州 (2/24-2015 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jpUkraine/idJPKBN0LS0F520150224?sp=true

『米国防当局と軍の高官は(2月)25日、ウクライナに介入したロシアが次のステップとして、モルドバや北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるバルト3国の不安定化を図る恐れもあると警告した。』

バルト3国、ロシアの標的に=モルドバでも「情報戦」−米高官 (2/26-2015 時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2015022600176

ジェームズタウン財団が、ロシアの1月28日の『ライフニュース』誌の情報として伝えたところによると、NATOは、北はエストニアから南はブルガリアにかけての東欧・中欧圏に6か所の常時指揮統制センターを新しく設置する予定です。

Russian Military Command Sees Need to Counter Growing Western Threat (2/05-2015 ジェームズタウン財団)
http://www.jamestown.org/single/?tx_ttnews%5Btt_news%5D=43504&tx_ttnews%5BbackPid%5D=7&cHash=0f41c50c47d6760daaac051e92052909%20-%20.VOCgwPmsUxM#.VO1aBPmsUxM

これには米国からの参謀将校らも加っていますが、昨年からロシアに対して準備を進めている5000人以上からなる緊急展開部隊の指揮統制センターとなるそうです。
ウクライナの次は、エストニア、ラトビア、リトアニアなどのバルト三国(旧ソビエト連邦構成共和国)のどれかがロシアの侵略対象になるということは2014年の夏ぐらいから言われていました。

米国もNATOも現在に至っては、すでにロシアの他国侵略の意思はウクライナだけではないとして、万一の場合の戦争への備えをしているようです。


  【1】 ゲラシモフ参謀総長の攻撃戦略

     ―ロシアの核戦力の強化と有事即応態勢の強化―


先に挙げた“Russian Military Command Sees Need to Counter Growing Western Threat”の記事の執筆者、パベル・フェルゲンハウアー氏が、重大な情報をロシアのマスコミ記事から集めて掲載しています。フェルゲンハウアー氏はロシアの軍事と外交の専門家です。

それはロシアのワレーリイ・ゲラシモフ参謀総長の、米欧・NATOへ対抗した軍事戦略に関する発言です。

フェルゲンハウアー氏は、はじめに現在のロシアの財政難、そしてそれにより軍事予算を削減しろという専門家たちの声があることについて述べます。
そして、そのような財政下に置かれている、ロシア軍の資金も含めた諸々の資源を、常時の即応(臨戦)態勢の強化と戦略核戦力の強化に<集中させろ>というゲラシモフ参謀総長の発言を伝えています。

これは1月の終わりにモスクワで開かれた、ロシア軍の幹部による国防省の研究会で、ゲラシモフ参謀総長がそう発表したとのことです。

『西側との行き詰まりの中でゲラシモフ参謀総長は、劇的に有事即応態勢を強化し、ロシアの陸海空での戦略核戦力の破壊力を劇的に強化する、差し迫った取り組みに諸々の資源を集中させる必要性を強調した。』(1月30日のロシア国内での報道)

In the standoff with the West, Gerasimov stressed the need to concentrate resources on an urgent effort to dramatically increase the battle readiness and firepower of Russia’s strategic nuclear forces on land, sea and air.

以下は、フェルゲンハウアー氏の記事による、1月30日のロシア・メディアによるゲラシモフ参謀総長の発言(発表)に関する部分の抄訳と要約です。


ゲラシモフ参謀総長:「ボレイ級弾道ミサイル搭載原子力潜水艦の2隻の機能を向上させ、これらを太平洋艦隊から欧州方面へ移動させ、2015年の内に<常時の即応態勢>をとらせる予定である。これらの潜水艦にはそれぞれ20発の弾道ミサイル(SLBM)が搭載される。そしてこの戦闘に即応する態勢のボレイ級潜水艦の数は3隻にするつもりである。」

ゲラシモフ参謀総長は、2015年の内に地上発射型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の新しい4個連隊が、<常時の即応態勢>をとる部隊として配置される予定であると発表した。標準的な地上発射型の戦略ミサイル部隊(RVSN)の連隊は10発のICBMから構成される(10発のICBMの数は変わることもある)。
ゲラシモフ参謀総長は、2015年の内に50発以上のICBMを増やす計画も発表した。

このほか空軍戦力についてゲラシモフ参謀総長は、長距離<核弾頭>巡航ミサイルを搭載できる長距離爆撃機の有事即応態勢を80%レベルまでに高めるという目標を断言した。これらの長距離爆撃機は冷戦期に造られたものも多いが、それらは2015年に現代化するようである。

Russian Military Command Sees Need to Counter Growing Western Threat (2/05-2015 ジェームズタウン財団)
http://www.jamestown.org/single/?tx_ttnews%5Btt_news%5D=43504&tx_ttnews%5BbackPid%5D=7&cHash=0f41c50c47d6760daaac051e92052909%20-%20.VOCgwPmsUxM#.VO1aBPmsUxM




   【2】 クリミアに核兵器はあるのか


ゲラシモフ参謀総長の、米欧・NATOへ対抗した有事即応態勢の整備と陸海空の核戦力の強化についての発表を見てきましたが、米国の専門家はロシアの攻撃力についてどのような考えを持っているのでしょうか。

オバマ政権を支える有力シンクタンクにブルッキングス研究所がありますが、そのシニア・フェローのスティーブン・パイファー氏は、ロシアの核戦力には核戦力で対応してはいけないと言います。

パイファー氏は、元ウクライナ米国大使で国家安全保障会議(NSC)のスタッフも務めた経歴をもち、ブルッキングス研究所では軍備管理の問題とウクライナとロシアの問題に重点的に取り組んでいます。
パイファー氏は2月上旬、米国の元高官らとともに、米国によるウクライナへの軍事支援を支持する報告書を発表しています。2月19日にはロイターに同氏の寄稿が掲載されています。

コラム:ウクライナへの武器供与、「第3次大戦」の引き金か (2/19-2015 スティーブン・パイファー)
http://jp.reuters.com/article/jpRussia/idJPKBN0LN0K020150219?sp=true

私が今回取り上げるのは、これとは別にパイファー氏がNATOによる核兵器の配備の是非を検討した記事です。


記事タイトルが「ロシアの核兵器はクリミアにあるのか?」となっていますが、これは2014年の冬ぐらいから、クリミアにロシアが核兵器を配備したという「うわさ」があるのを記事中で扱っているためです。

パイファー氏によれば、プーチンはすでに、クリミア半島に核攻撃が可能な2つのシステム―イスカンデール-M短距離弾道ミサイルと「バックファイアー」爆撃機―を置くことを承認しているそうです。しかし、パイファー氏は、クリミアにこれらの兵器と核弾頭が配備されているかについては不明であるとしています。ただし、クレムリンは、クリミアに核兵器を置くことに拘束は受けないと強く主張しているそうです。

米国科学者連盟のハンス・クリステンセン氏よれば、クリミアに核兵器をおき、爆撃機「バックファイアー」に搭載すれば、南ヨーロッパでの核攻撃能力が高まると指摘しています。

Rumors About Nuclear Weapons in Crimea (2014/12/18 米国科学者連盟)  
http://fas.org/blogs/security/2014/12/crimea/

ここで確認しておきたいのは、2014年12月下旬、ロシア大統領府のサイトで発表された新軍事ドクトリンでは、核兵器による「予防攻撃」の条項はなかったということです。しかし、プーチンの場合、これはあくまでも原則論に過ぎないかもしれません。

ロシアの新軍事ドクトリンの主な条項 (2014/12/26 ロシアの声)
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_12_26/281735304/

昨年9月の有料メルマガでお伝えしましたが、ロシアのマスコミでは、新しい軍事ドクトリンの条項に「予防的<核>攻撃」の文言が入るかどうかで騒がれていたのです。


   【3】 米国は核兵器でロシアに対抗するか


ロシアと西側との軍備管理が専門であるパイファー氏は、避難用の航空機硬化シェルターを東欧に造り、核攻撃が可能な戦闘機(dual-capable aircraft)とB61核爆弾を東欧に配備するのは、浅はかな考えだと主張します。
(※注:米国科学者連盟によれば、米国は160〜200個のB61核爆弾をドイツ、ベルギー、オランダ、イタリア、トルコの6か所の飛行場に持っています。)

その3つの理由として第一に、そのようなことをロシアのすぐ近くの東欧ですれば、それらの核兵器やその運搬戦闘機を、ロシアの先制攻撃に対してより脆弱にしてしまうことを挙げます。

First, locating dual-capable aircraft and B61 bombs in Eastern Europe would put them much closer to Russian territory and make them more vulnerable to preemptive attack.

次に、東欧に核兵器の能力を配備するのは、ロシアのすぐ隣であり余りにも挑発的過ぎることを挙げています。

そして第三の理由として、次のことを挙げます。

『(NATOの)多くの同盟国が、東欧での核兵器の配備に反対するだろう。それはNATOの政策と矛盾する(であろう)からだ。1997年、NATOは、加盟国を拡大させる時、新しい加盟国の領土では核兵器の配備を「意図しない、計画しない、その理由がない」という3原則を表明した。』

結論としてパイファー氏は、「米国の核兵器を先制攻撃に対してより脆弱にし、NATOの同盟国内で核兵器の配備をめぐり意見が対立するような行動は、米国のとるべき方法ではない」と言い、「米国の核兵器を使わない通常戦力を東欧で強化することが、はるかに理に適っている」と主張しています。

But an action that would make U.S. nuclear weapons more vulnerable to preemption and divide the Alliance is not the way to go. Strengthening U.S. conventional military power in Eastern Europe makes far more sense.


   【結 語】


ブルッキングス研究所は米国の民主党系のシンクタンクですが、そこに現在所属するスティーブン・パイファー氏の上のような結論もまた、良い悪いは別として民主党らしい方策であると思います。これが政権に共和党がついていたら、もっと強硬な方策が多く主張されていたことでしょう。

第1節のゲラシモフ参謀総長の戦略発表の記事を執筆した、ジェームズタウン財団のフェルゲンハウアー氏が、グルジア侵攻の時を例に挙げて最後にこう述べていました。

「何かを手に入れようとするたびに、核兵器を振りかざすロシア」

2014年3月の『ニューズウィーク』誌は、「ウクライナで打撃を受けたのはアメリカの核戦略である」と言っていたそうです。

ロシアは中国とともに、米国の行動様式と異なる「新しい世界秩序」を確立しようとしていますが、その中国は、このようなロシアの行動と米国の対応を充分に研究して、その戦略に生かしてくると考えます。


■■ 関連リンク

ロシアの核兵器戦力の準備とウクライナ―NATOを背後に― (2014/09/11 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39024587.html

ロシア極東での大軍事演習―米国を想定した軍事演習「ボストーク2014」―(2014/10/09 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39065595.html


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ロシアの地中海・中東戦略―中東から欧州へのシーレーン阻止を狙う―

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  図解:プーチンの地中海・中東戦略(青星印はチョークポイント)


◆◆この記事「プーチンの地中海・中東戦略」の各論として、トルコ、エジプト、バーレーン、そして中東のスンニ派諸国へのロシアの戦略や関わりは、以下の2つの私の記事で扱っています。

ロシアとトルコ:中東と地中海への布石─プーチンの欧州への策略― (1/22-2015 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39245447.html

ロシアとエジプト、バーレーン、スンニ派政権(2/12-2015 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39265522.html

本稿で述べるプーチンのこの地域での戦略のほかには、イスラエル・パレスチナ間の中東和平問題に対して、ロシアが米国に替わって仲介しようという動きが興味深いと思います。

【◆◆以下の記事は、有料メルマガ2月12日号の一部です】


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  【2】 プーチンの地中海-中東戦略

      ―中東から欧州へのシーレーン阻止を狙う―


欧州はいま経済制裁でロシア経済の封じ込めを行っていますが、もう少し長いスパンで見ると、欧州はロシアのエネルギー戦略に屈服させられるかもしれません。敵ながら、やり手のプーチンの策略によって。

『地中海東部地域は戦略的な地理条件を備えている。中東の石油生産国と欧州市場の間に位置し、近くには原油と石油製品の国際航路の重要なチョークポイントとなっているスエズ運河がある。』((財)石油エネルギー技術センター, 下記記事より)

地中海東岸地域のエネルギー産業(2) 2014/02/17)
http://www.pecj.or.jp/japanese/minireport/pdf/H25_2013/2013-028.pdf

前回の有料メルマガ1月22日号では、中東専門ウェブサイト『アル-モニター』で「ロシアは中東政策を強化する」という見出し記事が、昨年12月10日付けで出たという話を少ししました。

プーチンは以前からイラン、シリアのほかではエジプトやバーレーンなど、中東地域と地中海沿岸国への戦略を進めているのですが、昨年11〜12月ぐらいからその動きを広げています。この時期、マスコミでは原油価格の下落が話題となり、ロシア経済を危ぶむ声が多かったのですが、プーチンは、原油価格の動きを左右する中東地域での地政学的な策略を練り、いまも行動に移しているのだと考えます。

また、全面戦争かと言われるウクライナ情勢の重要な局面を打開するために、2月11日夜(現地時間)、ミンスクで始まった4カ国首脳会談の直前、プーチン大統領は2月9-10日の日程でエジプトのシーシ大統領と首脳会談をしています。

スエズ運河を領土内にもつシーシ大統領との間では、「軍事や経済分野で関係強化を図る包括的な協定が締結された」そうです(2月11日 毎日新聞)。

ウクライナ情勢と「イスラム国」対策で頭が一杯になっている欧米諸国と比べ、プーチンは中東から欧州への石油・ガスのシーレーンの支配と制御までを考えて行動しているように見えます。

このほかにも、この地域でプーチンがさらに手を広げようとしている国を挙げると、トルコ、レバノン、スーダン、リビアが挙げられます。
また、イスラエルのリーベルマン外相はモスクワを訪れ、今年1月26日にロシアのラブロフ外相と会談しています。

いま、ユーロ圏諸国との対立を背景にロシアが急接近しているギリシャから順々にこれらの国を並べてみると、ギリシャ〜トルコ〜シリア〜レバノン〜イスラエル〜エジプト〜リビアで地中海の東半分をきれいに包囲することができます。

そして地中海からエジプトのスエズ運河を通り、南東方向へ長く伸びる紅海の西側の沿岸にはエジプト、そしてスーダンです。

このあたりは地図で確認してもらえればと思います(※ 冒頭の地図を参照)。

また、第1節で述べましたが、現在、混乱しているイエメンの南部を、イランが支援しているホーシー派(ザイド派の分派)が支配すれば、イランはホルムズ海峡とバブ・エル・マンデブ海峡(紅海からインド洋への出口)で軍事的影響力を持つことができます。

このイランと協力関係にあるロシアが連携して、軍事協力を進めているエジプトとも連携すれば、スエズ運河も加え、巨大なアラビア半島のチョークポイントの3つ全部で、ロシアは石油・ガスのタンカーと船舶に対して軍事的支配力を持ち、欧州に対して政治的影響力を持つことができます。

プーチンとロシアが考えていることは、シェール革命とアメリカ民主党の中東政策により、中東地域での米国の影響力のバランスが崩れつつある中で、中東でのロシアの勢力圏を拡大することです(下記記事参照)。

シェール革命の影響と米国の中東政策 (2014-12/25 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39207813.html


■■『プーチンの地中海・中東戦略』は、以下の記事を参考にして執筆しました。

What's behind Russia's Mideast strategy? (11/30-2014 アル-モニター)
http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2014/11/russia-mideast-strategy-behind-scenes.html

Israel offers to mediate talks between Ukraine, Russia (2/01-2015 アル-モニター)
http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2015/02/russia-reaction-israel-mediation-ukraine-proposal.html

Russia steps up its Middle East policy (12/11-2014 アル-モニター)
http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2014/12/russia-middle-east-policy-palestine-israel.html

Are there any prospects for Moscow-Libya cooperation? (1/13-2015 アル-モニター)
http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2015/01/russia-libya-cooperation-militia-islamists-egypt.html

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ロシアとエジプト、バーレーン、スンニ派政権

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2014年8月、黒海に面した港ソチでの歓迎式典に出席したエジプトのシーシ大統領とプーチン。誘導ミサイル巡洋艦で行われた。(“What's behind Russia's Mideast strategy?” Al-monitor, November 30, 2014)


【◆◆以下は、有料メルマガ2月12日号の第3節で、第2節「プーチンの地中海・中東戦略」の各論にあたるものです


   【3】 ロシアとエジプト、バーレーン、スンニ派政権


トルコについては有料メルマガ1月22日号ですでにお伝えしました(『ロシアとトルコ:中東と地中海への布石』)。これまでのパイプライン計画を見直し、中東と欧州圏を結ぶ位置にあるトルコを経由させるように変更することによって、トルコをロシアに取り込もうという策略です。

ロシアとトルコ:中東と地中海への布石─プーチンの欧州への策略―
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39245447.html

今回の記事では、第2節であげた中東と北アフリカの国の中からエジプトやバーレーンとロシア、そしてこれらの地域のスンニ派政権の国家とロシアの関係を取り上げた記事を見てみたいと思います。

米国のシンクタンクからもリンクされる中東専門のウェブサイト『アル-モニター』から、マキシム A. スチコフ氏の記事を取り上げます。

What's behind Russia's Mideast strategy? (「ロシアの中東戦略の背後に何があるのか?」 2014/11/30 アル-モニター)
http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2014/11/russia-mideast-strategy-behind-scenes.html

この記事では、近年ロシアは、米国の同盟国であるエジプトとバーレーンとの関係を強化してきたと言っています。


     ■ エジプト


ロシアによる武器と弾薬のセールスは約20億ドルに達し、2014年6月に就任したシーシ大統領は、最初の外国への訪問先として8月にモスクワを訪れました。

またプーチン大統領は、2月9日から2日間、今年初めての外国訪問をエジプトからスタートしました。プーチンはシーシ大統領が国防相であった時から関係強化を推進し、外務・防衛閣僚協議(2プラス2)も開き、軍事分野での協力推進で一致しています(日経 2014/2/14)。

また、ロシアとエジプトは、自由貿易圏を創設する可能性について調査しており、これは2014年8月のプーチンとシーシ大統領の会談の際に明らかにされています。

ロシアとエジプト 自由貿易圏創設の可能性を調査 (2014/08/13 ロシアの声)
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_13/roshia-ejiputo-keizai/

今月2月の首脳会談では、「軍事や経済分野で関係強化を図る包括的な協定を締結し、エジプトの原発建設計画をロシアが支援することでも合意し」、「ロシア製兵器の売却などが協議された」そうです。

露エジプト首脳:包括的協定を締結…対「イスラム国」など (2015/02/11 毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150211k0000m030114000c.html

前述のエジプトとロシアの関係を扱った『アル-モニター』の記事の執筆者は、マキシム A. スチコフ氏ですが、この人はロシアの戦略問題研究所(Institute for Strategic Studies)の研究員で、『アル-モニター』のほかカーネギー・モスクワセンターの“Eurasia Outlook”にも寄稿しています。

そのスチコフ氏は2014年8月にシーシ大統領が就任後の最初の外国への訪問先としてロシアを選んだ事は、「エジプトはワシントン以外へ向かうことにするという、米国当局への明快なメッセージである」と指摘しています。

Earlier in February, after seizing power in a coup, Sisi traveled to Russia as his first choice in foreign destinations — a clear message to US authorities that Egypt has “places to go” besides Washington.

これは、2013年7月のエジプトのクーデターの後に溝が深まった米国とエジプトの関係悪化をプーチンが好機と見て、米国の影響力を侵食しているのです。


    ■ バーレーンと中東のスンニ派政権


スチコフ氏は、長年米国の同盟国として忠誠心が厚く、アメリカ第5艦隊の司令部が置かれているバーレーンがロシアとの関係を強化しているのは、とりわけ興味深いと言っています。


現在の経済的束縛のもとで、ロシアは新しい収入源を考慮しており、それゆえバーレーンをペルシャ湾岸での重要なパートナーとして考える。2国間の課題(スケジュール)は、エネルギー、投資、そして金融部門が主役となる。(訳注:バーレーンはドバイ、カタールに次ぐ中東の金融センターでもあります)

2014年10月に、プーチンとバーレーンの国王がロシアのソチで会談した後、主要な航空会社であるバーレーン・ガルフ航空とともに初めての直通便を開設した。
それは、ロシアに対する米国主導の制裁の影響を受ける恐れがあるにも関わらずに行われた。

(“What's behind Russia's Mideast strategy?”「ロシアの中東戦略の背後に何があるのか?」)



そしてスチコフ氏は、中東のスンニ派政権とロシアの政策について次のように述べています。

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ロシアはイランと協力関係を持つところからその政策を「親シーア派」と評価されることが多いが、ロシアのイスラム教徒の圧倒的多数はスンニ派である。実際、ロシア国内の一部のイスラム教指導者たちはロシアの中東政策に懸念を表明した。この問題についてロシア政府は真剣に受け止め、これを考慮に入れなければいけない。

それゆえ、エジプト(スンニ派)やバーレーンとパレスチナのスンニ派指導部と協力することは、ロシアの政治的・経済的領域を拡大するだけでなく、ロシア国内のイスラム政治団体からのロシア政権への支持を強固にするのに役立つ。パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス大統領(PLO議長を兼任)は北コーカサスを二度訪問している。

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ロシアとトルコ:中東と地中海への布石─プーチンの欧州への策略―

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トルコのエルドアン大統領とプーチン(2012年12月 BBC )


【◆◆以下の記事は有料メルマガ1月22号の一部です】


 
   【2ロシアとトルコ:中東と地中海への布石


       ─プーチンの欧州への策略― 


 
米国のシンクタンクからもリンクされる中東専門ウェブサイト『アル-モニター』は、昨年1210日の記事のタイトルで「ロシアは中東政策を強化する」と見出しを打ちました。


経済と財政の面からは八方塞がりな状況が伝えられるプーチン大統領ですが、その動きをいろいろと追って見ていくと、確かに中東での動きが目立つように思えます。


また、ロシアの南下政策は17世紀から始まりますが、黒海のさらに南の海域である地中海、このあたりにもプーチンのターゲットがあります。もともとロシアの南下政策には地中海が含まれます。


この地中海の沿岸国であり中東の北に位置し、中東と欧州圏を結ぶ位置にあるトルコへ、先月12月にプーチンが行動を起こし、欧州を驚かせています。このことは、日本のニュースではほとんど話題になりませんでした。



201412月初旬、ロシアのウラジミール・プーチン大統領がトルコを訪問した。その際、当地で会見し、黒海経由のパイプライン「サウス・ストリーム(SS)」プロジェクトについて突如、計画中止を表明。それに代わり、トルコ向けパイプライン計画の構想をぶち上げた。


ロシア=サウス・ストリーム撤回で混沌とするパイプライン網再編 1/07-2015 リム情報開発)




2つのパイプラインを示した下記URLの地図を参考にしてもらえれば、プーチンが行った策略の優れた点が理解してもらえると思います(201212月の『ロシア・ツゥデイ』から)。


イメージ 2

地図とパイプライン:「サウス・ストリーム」と「ブルー・ストリーム」http://rt.com/files/business/news/russia-south-stream-launch-506/i2890c46e006a0865b663c2914fa60c2a_south_stream.jpg
 
元記事:Gazpromand partners kick off construction of South Stream pipeline
 
地図とパイプラインを示した上記URLの図を見てください。プーチンはトルコを経由せずに黒海を経由して天然ガスを送るパイプライン「サウス・ストリーム」を中止しました。そして意図的にトルコを経由する「ブルー・ストリーム」へ計画を変更したのです。
 
このトルコでのパイプラインの中止と変更は、欧州の指導者を驚かせ、シンクタンクの専門家たちが注目しています。その中から米国のブルッキングス研究所のフィオーナ・ヒル氏の書いた記事が、プーチンの狙いと効果を分かりやすく解説していると思うので挙げておきます。
 
Putin’sTurkish and Indian Gambits 12/12-2014 ブルッキングス研究所)
 
この記事の中でヒル氏は、プーチンは「サウス・ストリーム」を生贄にしてトルコに大きな「利」を与えたと言っています。それによりNATOには加盟しているが、EUへの加盟はなかなか申請の受け入れがしてもらえないトルコを、ロシアが取り込もうというのです(「サウス・ストリーム」は経営上の問題も抱えていました)。
 
「トルコは、欧州と中東を結ぶ重要なエネルギーの貿易中継地(ハブ)になりたいという強い願望を持っている」
 
InTurkey, Russia already has a gas export pipeline in place that can be expanded;and Turkey, itself, has aspirations to become a major energy trading hubbetween Europe and the Middle East.
 
現在、EUはウクライナ危機を受け、エネルギーのロシア依存からの脱却に向けた模索をしています。2014年5月に発表した脱ロシア依存に向けたエネルギー安全保障戦略では、中長期的にカスピ海沿岸と欧州を結ぶパイプラインの建設を急ぐことにしていました(下記記事参照)。
 
欧州委がエネルギー安全保障戦略を発表、ロシア依存脱却を加速 6/02-2014 FBC)
 
しかし、トルコがロシアに取り込まれれば、黒海はロシアの黒海艦隊が押さえているので、カスピ海沿岸と欧州を結ぶパイプラインを阻止することができます。このことは地図で確認してもらえればと思います。
 
以下のURLの地図は、中東やカスピ海からトルコへ入り込む計画中のパイプラインの数々を示しています。そのパイプラインのガスやそのほかの石油はトルコや地中海を経由して欧州へ運ばれるのですが、そこを押さえてしまおうというのがプーチンの策略なのです。<※ この点については有料メルマガ2月12号で、さらに大きな視点で解説しました。>

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元記事:TURKEYPUSHES CROSSROADS POLITICS 2013-11/25


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朝鮮半島統一を描く米韓とロシア

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※ 今後プーチンは、南北の朝鮮半島統一を目標に金正恩を説得していくと思われます。

有料メルマガ1月22日号の「朝鮮半島統一を描く米国と韓国」を掲載します。1月23日付けハンギョレ新聞の以下の報道と併せてお読みください。



南北首脳会談の手配に積極的なロシア (1月23日 ハンギョレ新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150123-00019419-hankyoreh-kr

ロシア共産党機関紙プラウダは1月20日、「プーチンにはいかに南北を和解させるかについてプランがある」とのタイトルの記事で、「米国は北朝鮮に新たな制裁を加えるが、プーチン大統領は南北首脳会談を準備している」と報じた。

さらに「プーチンが平和のための仲裁者に」なり、「もしプーチンの“ミッション”が成功すれば、ロシアの国際的な地位が高まるだけでなく、朝鮮半島統一の礎となるという点で、西側にはダブルパンチになるだろう」と付け加えた。

(上記URLの記事の一部を要約)



【◆◆以下は有料メルマガ1月22日号の一部です】


    【1】 朝鮮半島統一を描く米国と韓国

        ─北朝鮮のこの先を135名の専門家が予測―


昨年12月10日に、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)と韓国の東アジア研究所(EAI)が共同で組織する「CSIS-EAI 朝鮮統一会議」によるフォーラムが開催されました。その時の国務次官補ダニエル・ラッセル氏の演説が国務省のHPに掲載されています。これを読むとオバマ政権での国務省は南北朝鮮の統一を視野に入れ、その方向で北朝鮮への政策を考えていることがうかがえます。

CSIS Korean Unification Conference (12/10-2014 米国国務省)
http://www.state.gov/p/eap/rls/rm/2014/12/234944.htm

2014年2月に出版された米ハドソン研究所首席研究員の日高義樹氏の著作レポートによれば(※注-1)、米国陸軍とCIAには、北朝鮮と韓国は統一・合併すると見る分析官が多くなっているといいます。政治状況が現状のようであるにも関わらず、統一・合併の方向に向かうと見ているのです。

フォーリン・アフェアーズ日本版では昨年の7月号の広告ページで、元CIA上席分析官のスー・ミ・テリー氏が、「朝鮮半島統一の恩恵に目を向けよ」という主張をしているのを見ました。

北朝鮮の崩壊を恐れるな―リスクを上回る半島統一の恩恵に目を向けよ (フォーリン・アフェアーズ日本版 2014年7月号)
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201407/Terry.htm

この問題について戦略国際問題研究所(CSIS)は、2014年11月に朝鮮半島の南北統一とその将来に関する調査レポートを公開しています。それは、7つの国と地域からなる、135名の北朝鮮と安全保障の専門家たちへの質問調査の結果のレポートです。

The Future of North Korea (11/04-2014 戦略国際問題研究所 PDFファイル)
http://csis.org/publication/future-north-korea

調査は2014年の5〜6月にかけてで、報告者はキム・ソンハン氏。キム・ソンハン氏は高麗大学大学院教授でイルミン国際関係研究院の理事長です。

以下はこの調査記事の一部の抄訳です。


(抄訳開始)

金正恩政権の耐久性について最もよく見られた回答は一様に5〜10年で、これは韓国の専門家の40.8%、韓国以外の専門家の37.2%がそう見ている。その一方ですべての回答者の33.3%が、正恩政権は10〜20年間存続するだろうと答えた。

しかしながら調査結果によれば、今後3〜5年の間の直近の将来の北朝鮮の国内政治は、国内の不安定化の高まりや体制の崩壊(35.5%)よりも、金正恩体制の強化が特徴づけられる(48.1%)。

専門家の過半数が、もし金正恩体制が崩壊するならば、その失脚は経済的失敗(27.4%)や人々の反乱(3%)よりはむしろ、おそらく指導部内での権力闘争の結果(64.4%)であるだろうと回答した。その権力闘争は最終的な政権の崩壊の中での極まりから支配層の間で起こることが予想されている。

中国の専門家でさえ体制崩壊の原因として、指導部内での権力闘争(50%)は経済的失敗(33%)よりも、より起こり得ると予測した。

核兵器計画についての北朝鮮の戦略の質問に応えて、回答者の95.6%のすべてが、核兵器での北朝鮮の譲歩(敗北)の可能性について悲観的であった。北朝鮮は継続的に核戦力を強化するだろうと51.9%が答え、核戦力を維持する一方で核について開かれた話し合いに応じるだろうと答えたものが43.7%いた。

「豊富な鉱脈」としての朝鮮の統一について、回答者たちは北朝鮮の崩壊を通しての統一(31.1%)よりも、北朝鮮と韓国の間の協定を通しての統一が(60%)より望ましいと答えた。このことは、もし統一が北朝鮮の崩壊を通して達成されるならば、南北朝鮮の統一は相当困難な仕事であるかもしれないという事を示唆している。

回答者の68.1%が「北朝鮮政府による統一への反対」が朝鮮統一への最大の障害だろうと答え、16.3%が「韓国政府の不十分な準備」を2番目の統一への障害と答えた。これは、もし韓国に適切な準備ができていなければ、統一のプロセスは相当な難題と困難に直面する恐れがあるという懸念を示している。

とくに、中国の専門家では25%の回答者が「韓国政府による不十分な準備」を選び、これは韓国の専門家が20.4%の割合でそれを選んだのに比べより大きな割合を占めた。このことは、統一が起きるとき、韓国がしっかりと準備できていないために、北京に著しい重荷が降りかかるシナリオを中国が心配していることを示唆している。

(抄訳終了)


2014年10月に米国と韓国の間で、有事の際の作戦統制権を在韓米軍から韓国軍に移す時期が、予定の2015年12月から延期になりました。その理由は核・ミサイル開発を続ける北朝鮮の軍事力に対応する能力が、韓国に十分に備わっていないということでした。

しかし、キム・ソンハン氏の135名の専門家から調査したレポートが示すように、北朝鮮の指導部内での権力闘争、そして国内の不安定化の高まりや体制の崩壊といった予測を考慮して、有事の際の作戦統制権の移管が延期されているという理由もあると思います。

2014年9月4日にワシントンのCSISの本部では、米韓両国のシンクタンクによる2日間の会議『新しい時代での朝鮮の統一』(“Korean Unification in a New Era”)が行われました。この時の議事録が12月1日にネット公開されています。

Korean Unification in a New Era (12/01-2014 戦略国際問題研究所 PDFファイル)
http://csis.org/publication/korean-unification-new-era

私はまだ、この長い議事録のはじめの方をざっとしか目を通していないのですが、南北朝鮮の統一が大きな経済・投資効果をもたらすことがかなりの分量で、会議の出席者たちによって述べられています。

また、「ロシアは朝鮮統一のなかで重要な役割を演じるプレーヤーになるだろう」とも言っています。「エネルギーや輸送、とくに鉄道とインフラ基盤などの分野での潜在的な共同パートナーであることができる」と述べています。


■ ※ 注-1 『アメリカの大変化を知らない日本人』 第5章 2016年、アジア大混乱が始まる(日高義樹著 2014.3.10刊 PHP研究所)


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イスラエルとサウジの軍事協力の可能性 / 終わらない米国の5つの戦争

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【◆◆以下の記事は有料メルマガ1月8日号の一部です】


【目次】(※ 一部)
【序】 日本とペルシャ湾での中東冷戦
【1】 イスラエルとサウジの軍事協力の可能性
【付】 終わらない米国の5つの戦争


    【序】 日本とペルシャ湾での中東冷戦


昨年10月まではロシアのプーチンの戦略について書くことが多かったのですが、原油下落にともなうプーチンの勢いが鎮まるにつれ、中東地域で「イスラム国」以外で、サウジとイランの「新中東冷戦」の緊迫化が目立ってきています。
とくにサウジ政権を取り囲む国内外の中東情勢は、世界の原油価格や私たちの暮らしに大きく関わってきます。

キッシンジャー氏などは、中東の現状においては「イスラム国」よりもイランの方がより重大で困難な問題であると言っています。また戦略国際問題研究所(CSIS)のアンソニー・コーデスマン氏は先月12月の長編レポートのなかで、中東での紛争国とそれに関わるテロ組織のすべてのなかで、イランの問題が一番重要だと言っています。

私は日頃、戦略国際問題研究所(CSIS)の中東地域の新着記事の題名にはなるべく目を通すようにしていましたが、11月からイランとサウジが対峙するペルシャ湾をはさんだ軍事的リスクに関するレポートがいくつか出てくるようになりました。

(「新中東冷戦」という語はブルッキングス研究所のグレゴリー・ゴーズ氏が、2013年7月ぐらいの記事から使っています。)

中東地域、とくにペルシャ湾をはさんだ戦争リスクでは、我が国では安倍政権が集団的自衛権の容認を推し進めようとしているので、米国から協力しろとかなりの圧力をかけられるようになると思います。


    【1】 イスラエルとサウジの軍事協力の可能性


サウジをはじめとする湾岸諸国が、米国のオバマ政権に非常な懐疑心や不満をもっていることは、昨年12月25日号のメルマガでお伝えしました。

とくにサウジは、中東での米国の軍事力とそのプレゼンスが弱まることからくる、イランや「イスラム国」に対しての非常な脅威を持っています。

イランに対してはイスラエルも核兵器開発への脅威を持っていますが、イスラエルは、サウジとイランが起こすペルシャ湾岸地帯の軍事的リスクの高まりを非常に注視しています。

昨年12月2日に行われたワシントン中東政策研究所のディスカッションで、イスラエルのイタマ−ル・ラビノビチ元駐米大使が、次のように言っています。

『イスラエルにとっての前向きな、先を見越した選択肢の一つは、湾岸諸国をふくむスンニ派の国々と戦略的なパートナーシップを築くことかもしれない』

ラビノビチ元駐米大使は、「サウジとカタールは、とくにイスラエルとの協力に前向きである」という意見を述べています。

Rabinovich, … One proactive option for Israel moving forward may be to form strategic partnerships with Sunni Muslim states, including those in the Gulf. Rabinovich expressed his belief that the Saudis and Qataris, in particular, would be willing to cooperate with Israel.

Israel's Geostrategic Position at a Time of Regional Instability (12/2-2014 ワシントン中東政策研究所)  
http://www.washingtoninstitute.org/policy-analysis/view/2014-scholar-statesman-award-dinner

ラビノビチ元駐米大使が提示したイスラエルのこの戦略的オプションは、サウジなどスンニ派諸国がもつ、米国に対する信頼感の低下から生まれるニーズを戦略に活用しようとするものです。
この記事の中では、その報告者がこう述べています。

『ISIS、イラン、そしてムスリム同胞団という共通の脅威を考えると、イスラエルと湾岸諸国は、これまでにかなりの目立たない協力をしてきた。しかし、これを率直で継続していくパートナーシップに変えることができるかどうかは現時点では不明である』

このイスラエルとサウジを軸とした協力体制の構想は2013年にはもうあったそうで、ブルッキングス研究所のブルース・リーデル氏が、2013年11月の記事で取り上げています。リーデル氏は、CIAや国家安全保障会議(NSC)のスタッフを長年務めた中東と南アジアの専門家です。


リーデル氏によると、イスラエルとサウジには、お互いの敵に対して暗黙に内密な協力をしてきた長い歴史があるそうです。しかし、2013年11月時点ではサウジは、それ以上のどんな関心も持っていないと彼は見ていました。

リーデル氏の結論はこうでした。


・・・しかし、両国(イスラエルとサウジ)がもつイランへの嫌悪と米国への苛立たしさは、ユダヤ人の国とサウド王国のあいだの、より接近した関係の前兆にはおそらくならない。イスラエルはより接近した関係を歓迎する。しかしサウジアラビア人はイスラエルを信用していない。サウジアラビア人はパレスチナ人の権利を支持し、イスラエルの核プログラムが取り除かれるのを見るのを望んでいる。



しかしながら、リーデル氏のこの見解は2013年11月のもので、それから1年余りたった現在、イランにしてもISISにしても、サウジにとって脅威の状況は少しも改善されていません。とくに昨年11月以降の戦略国際問題研究所(CSIS)は、イランによるスンニ派湾岸諸国への脅威が、よりいっそう増大していることをいくつかの報告書で伝えています。


    ■ 終わらない米国の5つの戦争


現在アメリカは、アフガニスタン、ISIS、イラク、シリア、イエメンと「アラビア半島のアルカイダ」というように『5つの進化している戦争』に参加しています。

戦略国際問題研究所の幹部であり、広範な軍事問題の研究と地域的には中東と中国の専門家として知られるアンソニー・コーデスマン氏は、これら5つの戦争について次のように述べています。

『米国が撤退し負けることを選ばない限り、これら5つの戦争のどれもが、次の米国の大統領が就任する時までに、終わっている見込みはほとんどない』

The Obama Administration: From Ending Two Wars to Engagement in Five – with the Risk of a Sixth (12/03-2014 戦略国際問題研究所)
http://csis.org/publication/obama-administration-ending-two-wars-engagement-five-risk-sixth


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プーチンはいつ再び武力を行使するか

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相変わらずプーチンが強気な行動を続けています。

焦点:強気姿勢崩さぬプーチン大統領、ウクライナ情勢緊迫で思惑も (1/29-2015 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jpRussia/idJPKBN0L20S220150129?sp=true

有料メルマガ1月22日号でお伝えしましたが、現在のプーチンはウクライナ問題と自国経済の悪化のなかで、中東地域と地中海への戦略・政策へも力を入れています。それが目立ち始めたのは昨年の11〜12月のようです。2014年のアジアシフトからの更なるシフトです。


【◆◆以下の記事は有料メルマガ1月8日号の一部です】


    【2】 プーチンはいつ再び武力を行使するか


※ この節はメルマガ12月11号の、『プーチンは経済成長を捨てて侵略する選択を』の続編にあたります。
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39183999.html(ブログ版)


大幅な原油下落で経済的な苦境にたっているロシアのプーチンは、いったい何を考えて行動しているのでしょう。
海外のアナリストには、プーチンのいまの最悪な状態がこのまま続くと見る人もいれば、現状打破の手段として武力行使に出てくると見るアナリストもいます。私はプーチンという政治指導者の資質と性格から後者の見方をとっています。

後者のアナリストのなかには、ロシア経済の悪化が深まるなかで、プーチンが軍事力を行使して権力の延命を計るのはいつぐらいの時期かに言及している人もいます。

戦略国際問題研究所のアンドリュー・クチンス氏は、CNNへの寄稿記事でこう言います。

『プーチンより前のロシアの指導者ミハイル・ゴルバチョフとボリス・エリツィンが、主に国家経済の経済的困窮という結果で最後には不人気になったのと全く同じように、長期にわたる経済の下降は、クリミア併合の強い高揚感の後の現在の人気の高まりを深くむしばんで(侵食して)いくだろう』

Will economy be Putin's downfall? (12/07-2014 CNN)
http://edition.cnn.com/2014/12/07/opinion/kuchins-putin-economy-problems/

この指摘から、いまのプーチンの高い支持率は(伝えられるところでは80%)、<領土拡大の興奮>からまだ国民が覚めていない部分が大きいことがうかがえます。

クチンス氏は記事の最後の方でこう言います。


プーチンが2012年に大統領に戻った時、ほとんどのロシア人と海外の観測筋は、彼の任期は少なくとももう12年続くことを(2024年まで)あきらめて観念したように見えた。しかし、現在の状況では、最近の出来事が2018年の彼の再選に疑問を投げかけるだけでなく、もし経済的下降が続くならば、2016年に予定されているロシアの国会議員選挙はそのシステムをぐらつかせるだろう(訳注:ロシア下院選挙)。

ロシアの歴史を学ぶ学生なら誰でも、ロシアの進路はしばしば非直線的な出来事によって妨害されるという事を知っている。そして現在、もうひとつの出来事が(訳注:侵略)この先数年後に起こるだろうという危険性が、ますますあるように見える。

When Putin returned to the presidency in 2012, most Russians and outside observers seemed resigned to at least another 12 years of his leadership, through 2024. But as things stand, not only do recent events call his re-election in 2018 into question, but if economic decline continues, the Duma elections scheduled for 2016 could shake the system.

Any student of Russian history knows that Russia's path is frequently disrupted by nonlinear events, and today it appears increasingly possible that another could happen even in the next few years.



ロシア大統領の任期についてウィキペディアの説明を引用しておきます(大統領の連続3期の任期は法律で禁じられています)。

「2008年の憲法改正により、今任期から連邦大統領職の任期が6年となったため、任期満了は2018年となる。また、仮に次期大統領選挙に出馬・再選された場合には、2024年まで在任することになる」


CNN記事の上記の箇所のように、クチンス氏は2018年の次期大統領選挙の前にプーチンが武力行使にでてくるだろうと予測しています。
これに対してアメリカン・エンタープライズ研究所のマイケル・オースリン氏は、ロシア経済の悪化が深まれば、それにより2015年がプーチン政権にとって危険な年になるので、そうすれば今年中にも軍事力行使を行うだろうと示唆しています。

Russian Caveat (12/23-2014 アメリカン・エンタープライズ研究所)
http://www.aei.org/publication/russian-caveat/

そしてオースリン氏は、経済悪化につれて起こる反政府的騒乱や暴動に対しては、厳重な取り締まりを強化するだろうとも言っています。


■ 関連リンク
プーチンは経済成長を捨てて侵略する選択を (12/11-2014 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39183999.html

プーチンは停戦を遵守するかー「ノヴォロシア」の復興ー (10/09-2014 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39109236.html



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サウジは国内秩序動乱の入り口にいる―シェール革命の影響と米国の中東政策―

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【◆◆以下の記事は有料メルマガ12月25日号で、それに修正加筆したものです】 http://www.mag2.com/m/0001627731.html


    サウジは国内秩序動乱の入り口にいる

      ―シェール革命の影響とペルシャ湾岸情勢―


【目次】
【1】 中東混乱とサウジの石油の安売り
    ―シェール革命の影響と米国の中東政策― 
【2】 サウジは国内秩序動乱の入り口にいる



  【1】 中東混乱とサウジの石油の安売り
      ―シェール革命の影響と米国の中東政策―


原油価格が下落を続けています。原油下落を進行させるサウジを中心とした湾岸産油国の石油政策は、米国のシェール革命によって引き起こされました。サウジはシェールに対抗し、米国シェール産業をとことん潰すつもりでしょう。

このとき見逃してならないのは、米国のシェール革命は湾岸産油国に、中東での米国の軍事的役割について、懐疑的感情(不確実性)を与えているということです。

この指摘は戦略国際問題研究所(CSIS)の11月11日公開の論文『新しいエネルギー革命と湾岸』の中にあり(本文でPDF8ページほど)、米国のシェール革命が湾岸産油国に与えている、軍事的な影響と経済・財政的な影響の2つの側面から詳細な考察をしています。

The New Energy Revolution and the Gulf (『新しいエネルギー革命と湾岸』 11/11-2014 戦略国際問題研究所)
http://csis.org/files/publication/121114_Barnett_GulfEnergy_Web.pdf

執筆者は戦略国際問題研究所(CSIS)で中東問題を研究しているキャロリン・バーネット氏で、彼女はとくに湾岸諸国と北アフリカが専門です。

この論文は中ほど以降から2部構成になっており、米国のシェール革命が湾岸産油国で引き起こしている動揺と不確実性を、軍事的な影響と経済・財政的な影響の2つに分類して論じているので、その2つの側面を見ていきたいと思います。

※※ この論文を紹介する中で「湾岸諸国」と私が省略して訳すのは、湾岸協力会議(GCC)加盟国のことで、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、バーレーン、オマーンの6カ国を指します。イランとイラクは除きます。私が「湾岸諸国」と訳す時は、原文では“GCC”(湾岸協力会議加盟国)となっています。

以下、この論文の『不確実なスーパーパワーとしての米国』(“The United States as an Uncertain Superpower”)の章の要約と抄訳を記します。


(要約と抄訳開始)

米国のシェール革命が注目されるようになったのは、2010年12月からチュニジア(ジャスミン革命)やエジプト(ムバラク長期政権崩壊)で始まった反政府抗議暴動に見られる「アラブの春」の頃である。

また、その後のリビアなどアラブ各地での暴動、シリアやイラクでの永続的な内戦が起こり、湾岸産油国の指導者たちがそれらの自国への波及を恐れる脅威が高まっているさなかに、米国のシェール革命の影響が中東へ押し寄せてきた。

湾岸産油国の指導者たちは、増産されていく米国のシェール生産を「米国のエネルギーの独立」の兆候と見た。
彼らは「米国のエネルギーの独立」の進行を見ることで、米国が中東で行う(湾岸産油国へ向ける)政策の『意図』に懐疑的になった。これはまさに、湾岸産油国が「アラブの春」以降の各国内での暴動に、脅威と脆弱さを感じていた時期であった。

2011年に、エジプト革命から波及したバーレーンでのデモに対してサウジは軍隊を介入させ、その後バーレーン、オマーン、イエメンの各政府に総額80億ドル以上の支援をした。

シェール革命による「米国のエネルギーの独立」により、来たるべき「米国が湾岸諸国を捨てる」という時期が、もう数年前から始まっている。

The GCC’s new activism is a reaction to regional upheavals, but it also reflects the impact of a narrative that emerged over the past few years of a coming U.S. abandonment of the Gulf. (PDF5ページ)

混乱の中にある中東において、湾岸諸国は、現在の米国からの助言をただ単に役に立たないばかりでなく、実際には危険であると感じている。中東地域でいくつかの同時に起きている米国の行動とその動向は、湾岸諸国に対する米国の安全保障の信頼性を揺るがしている。

筆頭にあげられるのはイランへの米国の態度、イラン核問題の解決への米国の『意欲』だ。中東地域の世論指導者たちは、オバマ政権のこの地域での安全保障に対する熱意の欠如を、厳しく批判している。

長期的な恐れとして、米国とイランの関係正常化は、湾岸諸国の安全保障への米国の関与を弱める。

連合を組む湾岸協力会議(GCC)の加盟国は、より広い中東全域での「イランとの冷戦」という状況の中で、アサドを倒し、理想的にはイラクの新政府へのイランの影響力を押し返すという目標を熱望的に維持している。

イラン核問題の交渉が現在も続いているが、この核問題が湾岸諸国にとってどんなに進展しようとも、湾岸諸国の指導者たちは、この地域でのイランの行動を抑制する、もっと包括的(総合的)なアプローチをより望んでいる(※ 注-1)。

(※注-1:訳者注:例えばオバマ政権はイランとの核交渉は継続していますが、スンニ派の湾岸諸国には、中東地域でのテロ戦争で、シーア派勢力を弱体化させようという米国の意思が非常に希薄に感じられ、この地域での脅威が高まっています。このようなオバマ政権の中東政策は、サウジなどスンニ派諸国にとってとても包括的なアプローチとは言えません。)

(要約と抄訳終了)


このような中東情勢、とくに湾岸情勢を踏まえて、現在、国際金融市場で注目されている原油価格の下落の現象を見てみます。

そこでは、米国とサウジがロシアに対抗して原油下落を共同で仕掛けているという見方がありますが、これは現在、中東情勢のなかに置かれているサウジとイランと米国の関係を考えれば、おかしな見方だと言えます。

バーネット氏の論文で見てきたように、サウジをはじめ湾岸産油国は米国のオバマ政権の中東政策、とくに対イラン政策に非常な不満を持ち、湾岸産油国に関わる米国の政策の「意図」に懐疑的になっています。また、米国の中東政策が湾岸産油国にとって危険な場合さえあると見ています。

そのように、サウジなど湾岸産油国が米国に対して、非常な不満、懐疑心、時に危険といった感情を持っているということ、また、巨大な損失を伴い、長期化すれば財政赤字に陥るリスクを負っているということを考慮せずに、原油下落はサウジと米国が協力し組んでやっているのだというコラムをいくつも見ました。それはニューヨーク・タイムズやフィナンシャル・タイムズでも見られました。

私は、このあたりがマスコミ情報の限界かとも思いますが、荒唐無稽とまでは言わないまでも、それはただの憶測、おもしろく聞こえる当て推量に過ぎないと思います。

サウジの石油政策と行動は、米国との関係のなかで軍事と経済をワンセットで考えなければだめで、サウジと米国の軍事と経済の関係を切り離してこの問題を考えるのは、事象を2つに分解してその片方だけを振り回しているようなものです。それは現実から遊離しています。

ブルッキングス研究所のグレゴリー・ゴーズ氏が、現在、中東ではサウジとイランによる「新中東冷戦」(“The New Middle East Cold War”)が行われていると言っています。

サウジは、中東地域で米国による安全保障に依存しているため、米国に守ってもらわなければ国家の存亡に関わるため、<これから先も米国の消費者に石油をこれまでと同じように買ってもらい、米国の消費者をつなぎ止めておく必要がある>のです。
そして、そのために米国のシェール産業を潰そうという側面があるのです。

米国の対ロシア戦略のためや、米国のためにやっているのではなく、あくまでも「新中東冷戦」下での、サウジ自身の国家生き残りのために、必死な思いで石油の安売りをしているのです。

原油下落が続けばイラン核交渉では、サウジにとってイランを抑制できるのではという観測がありますが、イランは1970年代はじめのパーレビ国王の核兵器構想発表以来、40年以上も核兵器製造への確固たる意志を貫いてきています。イスラエルはもちろん、サウジも、原油下落程度でイランが核兵器製造を後退・譲歩するなどとは思っていないでしょう。

もし、本当にサウジと米国が共同して原油下落を仕組んだとすれば、その見返りとしてもうすでに、中東地域での米国の行動と政策がこれまでと大きく転換し、サウジなどスンニ派に大きく肩入れし、イランに対して米国がより強硬になっているはずですが、そのような現象は全く見られません。

また、原油下落はロシアのプーチンを思いきり痛めつけていますが、プーチンはサウジの市場シェア確保の石油政策の「とばっちり」、巻き添えを食らっているだけであると私は見ています。


    【2】 サウジは国内秩序動乱の入り口にいる



(原油の)価格低迷が続けば、サウジは財政赤字に陥り、政治的安定に新たな問題が持ち上がるかもしれない。だが、サウジは巨額の外貨準備を抱えるため、歳入が減っても耐えられると多くのアナリストはみている。

原油価格下落を静観するサウジの深遠な思惑 (10/17-2014 フィナンシャル・タイムズ邦訳版)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H0N_X11C14A0000000/



いったい、サウジは原油価格低迷にどの程度まで耐えられるのでしょうか。

サウジなど湾岸諸国に詳しいワシントン中東政策研究所のサイモン・ヘンダーソン氏は、石油収入が2013年の半分に落ち込んでも、まだ、サウジは気前のいい助成金や公務員への給料を、何年も支払っていく十分な資金があるといいます(※ 下記記事より)。湾岸産油国は労働人口に占める公務員の比率が高いといわれます。

Falling Oil Prices and Saudi Decisionmaking (10/17-2014 ワシントン中東政策研究所)
http://www.washingtoninstitute.org/policy-analysis/view/falling-oil-prices-and-saudi-decisionmaking

ヘンダーソン氏は、この気前のいい国民へのお金の支給は、サウジの王国の暗黙の社会契約として絶対必要なものとしてみなされているといいます。すなわちその社会契約とは、サウド王家の家父長的な気前の良さのために(諸々に対するお金の支給)、人々は民主主義の自由がないのを我慢しているという暗黙の契約です。

チャートを見ると2013年の原油価格(WTI)が年平均でざっと1バレル100ドルで、現在12月半ば以降、53ドル〜56ドルのレンジを横ばいです。

戦略国際問題研究所でエネルギー問題が専門のサラ・ラディスロー氏は、「多くのアナリストが、シェールオイルなどの増産を食い止めるには、1バレル50ドルレベルで数か月かかるだろうと考えているようだ」と言っています。

Most analysts seem to believe that it would take a $50 price level over a period of several months to stop the growth in tight oil production.

An Oil Market Experiment (12/16-2014 戦略国際問題研究所)
http://csis.org/publication/oil-market-experiment

しかしながら、サウジと米シェール業界との戦いで、どちらが敗北するのかは私にはわかりません。
サウジは巨額の外貨準備が強みですが、サウジと米シェール業界の戦いは長期化するとその外貨準備とは関係のないところで、サウジを脅かす非常に脅威的な出来事が起こってきます。

それは、原油生産量も外貨準備もサウジとは格段に少ない湾岸諸国で、「アラブの春」のような政変・暴動・反乱が起き、それがサウジに直接的に波及する場合です。

つまり、サウジの東側に隣接するアラブ首長国連邦、クウェート、カタール、バーレーン、オマーンの地域の財政と経済が、1バレル50ドルレベルかそれ以下の価格低迷で悪化した場合です。

前出のバーネット氏の論文によれば、これらの湾岸諸国は、いま、公共支出の増加、とりわけ社会福祉と水道設備、そしてエネルギー補助金の増加に直面しているそうです。これらの膨らむ支出は、「アラブの春」で中東各地に暴動や反乱が始まり、その混乱に対する懸念が高まるにつれ増やされてきました。

GCC governments face rising public spending commitments, particularly for social welfare and water and energy subsidies—and these commitments have grown in response to concerns about unrest since the Arab uprisings began.

サウジが2011年に、エジプト革命から波及したバーレーンでのデモに対して軍隊を介入させたことは、戦略国際問題研究所のほかの論文でも注目されています。
シリアやリビアは「アラブの春」の暴動から内戦状態になったケースですが、湾岸諸国は今まで潤沢なオイル・マネーで国民の不満を抑え込んでいたわけです。

ペルシャ湾岸諸国で「アラブの春」の暴動・反乱がおこり、それがサウジに飛び火した場合の、最悪のシナリオはどうなるのでしょうか。

「イスラム国」がイラク南西部の国境を超え、サウジに勢力を拡大した場合、そしてアルカイダがサウジ国内で民衆の混乱に乗じて活動を活発にさせた場合は、最悪の内戦となり、サウジは世界経済の火薬庫になります。

イスラム国、空爆開始後に失った支配地域はわずか1% 米発表 (1/24-2015 AFP)
http://www.afpbb.com/articles/-/3037554


■ 関連リンク

サウジの核武装と米シェール潰し (2014-11/27 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39155494.html

ペルシャ湾の火薬庫 ―バーレーンをめぐるサウジとイランの衝突―(2011/03/08 拙稿)
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/34602314.html

サウジ老齢王室の政策決定と原油下落―その軍事的側面― (2014-12/11 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39182019.html


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プーチンは経済成長を捨てて侵略する選択を―プーチンは何を考えて行動しているのか―

イメージ 1

(注)85 年まではアラビアンライト、86 年以降はドバイの原油価格
(出所)BP 統計 下記の小宮山涼一氏の文献から作成
最近の原油価格高騰の背景と今後の展望に関する調査(2005年10月)
http://eneken.ieej.or.jp/data/pdf/1154.pdf



ロシアのプーチン大統領は4日、モスクワで今後の施政方針を示す年次教書演説を行った。(中略)大統領は今後の経済成長に関しては構造改革を進めることで「3〜4年で世界平均(約3%)以上の成長率を達成する」と述べた。だが、年次教書演説で示した経済対策はいずれも小手先の内容にとどまり、手詰まり感も見えた。

ロシア大統領、欧米との対決姿勢強調 施政方針演説 ルーブル安対策も加速
(12/04-2014 日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM04H8J_U4A201C1FF2000/


上記報道のように、プーチン大統領は昨年12月4日、経済の悪化が深まるなかで経済の「構造改革」を行ない、ロシア経済を苦境から脱出させることを国民に向けて表明しました。

このロシアの経済構造改革については、プーチンの施政方針演説のまえ11月にCSISのアンドリュー・クチンス氏が、崩壊前のソビエト連邦の指導者が構造改革に失敗した状況に酷似していると言って、非常に悲観的な見方をしています。そしてそれが、次なるプーチンのアクションを呼ぶとも言っています。


【◆◆以下の記事は有料メルマガ12月11日号の一部で、それに加筆したものです】
   【2】 プーチンは経済成長を捨てて侵略する選択を

       ―プーチンは何を考えて行動しているのか―


戦略国際問題研究所(CSIS)が2015年の国際情勢について長編の予測集を出しています。その中でロシアが専門のアンドリュー・クチンス氏が、リセッション間近と言われる悪化しているロシア経済のなかで、プーチンがどのように考えて行動しているのかを、『プーチンのジレンマ』という記事で解説しています。

そこでは、経済の構造改革と経済成長を断念せざるをえなかったプーチンが、国外への侵略を活路にして権力の延命を図る姿が解説されています。

Putin's Dilemma (「プーチンのジレンマ」 11/13-2014 戦略国際問題研究所 PDFファイル)
http://csis.org/publication/putins-dilemma

この記事の一部を抄訳します。


(抄訳開始)

プーチンは大統領に就任して以来、二期にわたって(2000〜2008年)、年に約7%の経済の成長をなし遂げてきた。ロシアの石油と天然ガスの生産高を飛躍的に増やしたことが、高い経済成長を支えた。世界的な経済危機の後でさえ、2010年と2011年には4%以上にまで回復させた。

プーチンに対する一貫した政治的に高い評価の基盤は、ロシアの人々の、経済の見込みが絶えず良くなっていくという認識であった。

プーチンが2012年5月に大統領の職に戻った時、彼は難しい選択に直面した。その時、経済の停滞の兆候がすでに明らかになっていたからだ。彼は増えていた中産階級を、彼らの経済的不安に対処することによって吸収し、構造的な経済改革に着手するか、または、彼の「垂直なパワー」と呼ばれる政治的な基盤を弱体化させる危険を冒すかの、どちらかの選択に直面した。

プーチンのジレンマは、1980年代初期のソ連政治局を思い出させる。

石油による多くのドル収入にもかかわらず、ソ連経済は構造的に非常に非効率であったために成長率はゼロに近かった。
ソビエトの経済停滞が深い底にあった時、ブレジネフと彼の後継者たちは、構造経済改革は政治的に危険すぎると判断して、改革をせずにどうにか切り抜けようとした。

もし、原油価格が高いままであったなら、その動きはうまくいったかもしれない。そしてソ連は持ちこたえていただろう。
しかし言うまでもなく、原油価格は急落し(訳注:1981〜1986年にかけて)、ソ連は改革を試み、ソ連崩壊は起こった。(※ 冒頭グラフ参照)

プーチンは、クリミア併合とウクライナでの戦争の前でさえ、原油価格が歴史的に高かったにもかかわらず、(ソビエトの前任者たちのように)構造改革を避けてきて、ロシア経済は停滞を続けてきた。

それはプーチンが、政治的な人気と権力の基盤のための経済成長と繁栄を断念することを、すでに決心したように見えた。

このリスクの高い政治戦略は、彼の指導力を正当化する<新しい政治的な物語>を必要とする。経済成長と繁栄をもはや絶対必要なものではないとするならば(権力維持のために)、<新しい政治的な物語>を必要とする。

この新しい政治戦略(物語)は2012-2013年に形ができ始めた。それは「公式な愛国心」という19世紀のロシアの政策の中にある伝統的なロシアの価値観に重点を置くことを、(国民のあいだに)強化することとともに行なわれた。その「公式な愛国心」は独裁政治、正統性、ロシア人の愛国心の3つを中心に展開する。

ウクライナの危機は、この新しい政治的物語をさらに強化するための理想的な機会を提供した。

(抄訳終了)


上記のクチンス氏の記事から考えると、プーチンが米国のシェールオイルの生産拡大と中国などの需要減少から、2014年中からの原油価格の下落をある程度予想していれば、プーチン政権の第3期(2012年〜)で経済構造改革をすることは、崩壊したソビエトの二の舞となると考えたでしょう(実際には予期せぬサウジの生産量の維持で、原油はさらに大きく値下がりしました)。

だから経済構造改革による経済成長をあきらめて、ウクライナへ侵略を始め、国民の関心を国内から外部へ向けた。サウジアラビアなどがこのまま減産せずに、シェールオイルの生産縮小が進めばいずれ原油価格は上昇を始める。

そうやって権力の延命を図っていけば、やがてアジアと欧州のユーラシア大陸での広範囲な石油・ガス事業と、地球温暖化とともに重要視されつつある北極圏のエネルギー資源と北極海航路での地政学的な優位から、大国への復権が果たされる。

クチンス氏の分析を補って言えば、短期的な経済成長を断念したプーチンの中長期戦略は、大まかにいって以上のようなものであったのではないだろうか。しかし、プーチンの誤算はサウジなど湾岸産油国の生産量の維持でした。

プーチンがウクライナ国内の「ノヴォロシア」と呼ばれている地域の、失地回復のビジョン(構想)を掲げていることは、クチンス氏のこの記事の中でも取り上げられていますが、同氏の別の記事から「ノヴォロシア」の失地回復(復興)について、以下の記事に地図入りでまとめてあるので参考になればと思います。

プーチンは停戦を遵守するかー「ノヴォロシア」の復興ー(10/09-2014 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39109236.html

私がこれまでロシアのプーチンを注意して見てきているのは、米欧の経済制裁によってロシア経済が悪化を深めていけば、残忍で危険なこの権力指導者は、きっと何かしでかすと思っているからです。

2002年に起きたチェチェンの反政府武装勢力によるモスクワでの劇場人質事件では、人質のロシア国民130人が死亡しましたが、その際の人質を巻き込む作戦は、人質の身体に対して乱暴かつ残虐で冷血なやり法で、多数の市民が犠牲になり死亡しました。(※ 注-1)

ユダヤ系ロシア人でジャーナリストのマーシャ・ゲッセン氏は『顔の無い男』という著書の中で、「プーチンほど残虐な指導者はいない」と非難しているそうです。(※ 注-1)


■ 注
※ 注-1:『アメリカはいつまで日本を守るか』, 第7章 アメリカはいまもロシアを敵視している, (日高義樹著 2013.11.30刊 徳間書店)


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サウジ老齢王室の政策決定と原油下落―その軍事的側面―

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          サウジのヌアイミ石油鉱物資源相


【◆◆以下の記事は有料メルマガ12月11日号の一部で、それに加筆したものです】


    【1】 サウジ老齢王室の政策決定と原油下落 

          ―その軍事的側面―


11月に続いて12月も生活に密着している原油価格の下落が関心をよんでいます。この原油価格下落の主役はいうまでもなくサウジアラビアです。このサウジが米国のシェールオイル潰しを企てているのではないかという見方は、有料メルマガ11月27日号の『サウジの核武装と米シェール潰し』で取り上げました。

その記事で取り上げたサウジの動向に詳しいサイモン・ヘンダーソン氏が、シェールオイル潰しに加えて少し違った角度から状況を見ています。それは同氏の10月17日以降の記事からです。
ヘンダーソン氏は、サウジの原油の政策決定の現状について解説しています。

Falling Oil Prices and Saudi Decisionmaking (10/17-2014 ワシントン中東政策研究所)
http://www.washingtoninstitute.org/policy-analysis/view/falling-oil-prices-and-saudi-decisionmaking

ヘンダーソン氏は、サウジが米国のシェールオイル潰しを企てているのではないかというマスコミの見方も取り上げています。しかし、そのあとで、1973年の中東戦争の際に米国へ石油の輸出禁止を行ったような、米国への対決姿勢をサウジが実行した例は、過去において稀であると言い、現在の見方としては、サウジの行動は原油価格の支配・制御(controlling)というよりはむしろ状況反応的な(reactive)行動であると言います。

そしてそれを確信する理由の一つは、サウド王室の<老齢な指導力の状態>であると言います。

Yet that has rarely been Riyadh's practice, and the current perception is that Saudi behavior is reactive rather than controlling.
One reason for this belief is the kingdom's geriatric leadership situation.

この<老齢な指導力の状態>についての記述を抄訳します。

=========================================
アブドラ国王は今年91歳になるが、長年のヘビー・スモーキングに苦しんでおり、酸素ボンベが離せず、介助者なしでは歩けない。
また、アブドラ国王の後継者であり、異母弟であるサルマン皇太子は、78歳で、持病を抱えている。

理論上、サウジの石油政策は、国王、年長の王子たち、そして関係閣僚たちで構成された最高石油会議によって決定される。しかし最近は、この閣議でのどのような公の声明もなされていない。

その代わりに、これらの決定は長く石油大臣を務めているアリ・アル・ヌアイミ(ヌアイミ石油鉱物資源相)に任されているように見える。

=========================================

この記事のなかでヘンダーソン氏は、「高い輸送費にもかかわらず(※注-1)、サウジは地政学的な重要性のために米国への石油のトップ輸出国のままでありたいと望んでいる」と言っています。

(※注-1:米国への輸出は欧州などと比べて遠いので、サウジは引渡し地までの運送料、保険料を含む価格(CIF 価格)を負担して調整しているようです。下記参照)

石油市場の国際的な取引慣行に関わる基礎的調査 (財団法人 中東経済研究所)
https://jime.ieej.or.jp/htm/extra/2004/08/11/itaku02.pdf


サウジアラビアは4日、米国とアジア向けの1月積みの原油価格を大幅に引き下げると発表した。アナリストの間では価格を引き下げることで市場シェア拡大に向けた動きを加速させているとの見方も出ている。

サウジが米・アジア向け原油値下げ、シェア拡大へ動き加速か (12/04-2014 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jp_mideast/idJPKCN0JI25620141204



サウジは市場シェア維持、またはシェア拡大を最優先して価格下落を容認しているとの観測が一般的ですが、12月4日のロイター記事が伝えるように、<米国向け>原油価格を大幅に引き下げると発表しました(ロイター記事で、サウジがアジア向けの価格を大幅に引き下げるとあるのは、アジア地域が一番の経済成長地域でシェアを確保しておく必要があるからです)。

サウジが価格を大幅に引き下げてでも米国での石油シェアを確保したいというヘンダーソン氏の指摘は、「イスラム国」(ISIS)が引き起こしている現状の中東情勢で、サウジが米国にテロ戦争で安全保障を軍事的に求めている証拠かもしれません。

いまは気前のいい財政で、国民の機嫌をとっているサウジですが、米軍に対して形勢有利な「イスラム国」によって、サウジアラビアがイラクやシリアのように内戦状態に陥ることは否定できないからです。

いまのサウジの石油政策は、米シェール潰しであると同時に、サウジにとって米国が石油の第一のお客であってもらわねばならない軍事的な目的もあると考えます。
このサウジの石油政策の軍事的側面は、シェールオイルの増産がペルシャ湾岸の軍事情勢へもたらす影響と密接に関係してきます。


■ 関連リンク

サウジの核武装と米シェール潰し (11/27-2014 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39155494.html


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