経済戦略と国際情勢

救国済民。来るべきこの国の大量経済難民を、どう救うか

中ロ印の三国によるアジアの地殻変動−米国パワーの衰退−

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※ ベトナムをめぐる中ロ印の関係、中央アジアでの中ロ関係など中ロ印の三国関係は必ずしも一枚岩ではないようです。


【◆◆以下は有料メルマガ9月25日号で記事にしたものです】


     中ロ印の三国によるアジアの地殻変動

      −米国パワーの衰退−


【目次】
【序】 マラッカ海峡と中印の協力体制
【1】 中国・インド=ロシアのエネルギー統合
【2】 中ロ印によるアジア統合
【3】 中ロ:同盟責任のない同盟パートナー


    【序】 マラッカ海峡と中印の協力体制

いま日本のマスコミや欧米のマスコミでは「イスラム国」(ISIS)の報道が半ば一色でされています。欧米で中東のイスラム国の報道が大きく取り上げられるのは、欧州圏と中東イスラム圏が隣接していること、イスラム・テロ組織と米国と欧州が敵対していること、NATO諸国と中東イスラム圏が隣接していることが背景にあります。

日本も中東には石油・ガス輸入を大きく輸入依存してるので、マスコミ報道がそこへ集中するのはそれはそれでいいのですが、欧米マスコミが追いかけている話題をさらに日本のマスコミが後追いしているだけで、アジア圏や東アジアから世界を見る視座に欠けているように思えます。

いま、アジアではこの記事の題名にあげたような「中ロ印の三国によるアジアの地殻変動」が起こっています。

オバマ大統領がイラクやシリアへの空爆を掲げ、米国の力をアピールしているのは、11月初めの中間選挙が間近に迫っているのがその半分の理由で、低迷する支持率で身内の民主党内からも圧力がかかっているのです。

そもそも専門家達も(マスコミでさえ)、米国のこの行動は戦略的に勝算がまるで立たないことを指摘しています。オバマ政権は予想を上回る大規模攻撃を開始しますが、その効果はマスコミでさえ非常に疑問視しています。中間選挙が間近に迫っているので、派手な爆竹を鳴らして米国民の気をそらしているようなものではないでしょうか。

イスラムテロ組織との戦争には、停戦合意も講和条約の締結もありません。永遠なる「モグラ叩き」ゲームのようなものです。

これは9.11テロが起こる以前からもう15年以上も前から言われている事ですが、イスラムテロ組織との非対称戦は、テロを生む政治的・社会的構造(土壌)が大きな原因となっており、そこの是正を政策的に行っていかななければ、撲滅しても撲滅してもテロ組織はゾンビのように大量発生を繰り返します。

そして、欧米の政治家と中東のその友好国が、このように中東で永遠なる「ゾンビ叩き」をしている間に、現在ユーラシア大陸のアジアでは中国、ロシアとインドの三国を中心とした協力体制が着々と築きあげられています。

中国とロシアの二国間の協力体制については6月の有料メルマガでお伝えしましたが、この中ロ勢力にインドが取り込まれる動きが出てきました。

インドと中ロの結びつきが強くなることは、私たち日本の中東石油や物資のシーレーン確保に対して安全保障上の大きな問題・支障が出てくるという事です。

「アメリカ国防総省がまとめた『2025年の世界』という予測の中では、米国軍が東シナ海、西太平洋、南シナ海、そしてインド洋から兵力を引きあげるため、大きな軍事的変動が起きると予測している。」(日高義樹著 『アメリカの大変化を知らない日本人』 2014年2月刊)

そしてこの国防総省の予測では、米国海軍の引きあげとともに、中東から東アジアへのびる「シーレーンの確保に中国とインドが重大な役割を果たす」ようになり、インドと中国の同盟体制が確立することになる」とされているそうです。

同予測では2016年以降、インドネシアのイスラム勢力が暴動を起こし、マラッカ海峡やロンボク海峡の閉鎖を行うと見ていますが、それに「中国とインドが積極的に介入し、インド海軍がマラッカ海峡までを制圧する」とされているそうです。


    【1】 中国・インド=ロシアのエネルギー統合

インドは9月12日、中国、ロシアが主導する上海協力機構への加盟を申請したと発表しました。


上海協力機構 インド加盟申請 中ロ、欧米対抗狙う (9/13-2014 日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM1201M_S4A910C1FF2000/

インド外務省は12日、中国、ロシアが主導する上海協力機構(SCO)への加盟を正式に申請したと発表した。近く、加盟国と具体的な交渉を始める。中ロはインドを取り込むことで、地域安全保障などでのSCOの発言力を高め、欧米への対抗軸をつくることを狙っている。一方、インドは日米を含めた「全方位外交」を進めており、中ロとは思惑の違いもある。



日経は、インドは「全方位外交」をとっていると言っています。ほかの記事でも日経は「等距離外交」の見方をしていますが、果たしてどうでしょうか。

8月12日のイタル・タス通信(ロシアの国営通信社)によれば、ロシアはウクライナ制裁のなかでインドとの貿易関係の強化と多様化を計画しており、両国は実行可能な多数の長期プロジェクトを持っているといいます。

その中でも両国関係を強化すると思われるのが、ロシアからインドへのガス・パイプラインの建設です(アルタイ・ガス・パイプラインの拡張)。これは今活発な交渉が行われていますが、6月24日のイタル・タス通信からすると、7月のBRICSサミット(ブラジル)ですでに話し合われていたようです。

このパイプラインはロシアから中国を経由してインドへ建設されますが、中国経由が可能になったのは、今年5月のロシア-中国間の30年間のガス供給の契約で、中国とロシアの協力関係が格段に高まったことが下地にあります。

またトルクメニスタンの天然ガスを、アフガニスタンを横断してパキスタンとインドへ運ぶガス・パイプライン・プロジェクトの交渉でも、ロシアとインドは関与しており話し合いが行われているそうです。

国連によればインドの人口は2028年までに中国を抜き、世界1位の15億人となり、その後も増え続けると言います。インドにすれば国家の存亡に影響する、非常に魅力的なエネルギー・プロジェクトです。


He said that the two countries were engaged in active negotiations about extending the Altai gas pipeline from Russia through China to the Indian border, and about building a pipeline to carry Turkmen natural gas across Afghanistan to Pakistan and India, known as the Turkmenistan-Afghanistan-Pakistan-India (TAPI) gas pipeline project.

Russia, India to bolster trade ties amid Western sanctions (8/12-2014 イタル・タス通信)
http://en.itar-tass.com/russia/744704


「ロシアの欧州と西側諸国に対する相対的に経済的な優位が、石油・天然ガスの供給を第一の理由としてきたのと全く同じように、<アジアにおける戦略的統合はエネルギーによって左右されている>。」

これはロシアとユーラシアが専門のアンドリュー・クチンス氏(戦略国際問題研究所:CSIS)の見解ですが、「ロシアのアジアへの旋回」は中国に加えて核大国でもあるインドへも重心を移してきました。


    【2】 中ロ印によるアジア統合

中国という国は、世界戦略的な長期的ビジョンに基づいて、黙々とプロジェクトを推進させていく国です。反欧米的な国際秩序建設のリーダー的存在でした。
ところが、ウクライナ危機以降は、反欧米的な国際秩序の建設でプーチンの非常に精力的な行動が目立ってきています。

これについては、戦略国際問題研究所(CSIS)の「比較と関係」シリーズから「中国-ロシア関係」のレポートが9月15日に出ており、そこでまとめて述べられています。
この著者は東アジアが専門のユー・ビン氏で、6月の有料メルマガでも紹介しましたが、2013年1月のレポートで、早くから「ロシアのアジア・シフト」を指摘していた人です。

Comparative Connections v.16 n.2 - China-Russia (9/15-2014 戦略国際問題研究所 PDFファイル)
http://csis.org/publication/comparative-connections-v16-n2-china-russia

このレポートによると、5月以降からのウクライナ騒乱とは別に、中国とロシアの関係はこの4か月間で急速な動きで進んでおり、5月下旬の30年間のガス契約に署名する一方で、5月20-26日の東シナ海での中ロ共同軍事演習、上海ではアジア相互協力信頼醸成措置会議(CICA)が開催されました。

さらにロシアと中国は、500億ドル(自己資本)のBRICSの開発銀行と1000億ドルの準備基金の設立を中心になって進めてきました。この設立の発表は7月のBRICSサミットでした。これはIMFと世界銀行が資金不足で融資を受けられない途上国の、不満や苛立ちを吸収する狙いもあります(ユー・ビン氏)。

前述の8月12日のイタル・タス通信の記事の中で、ロシア科学アカデミーのインド研究センター所長のタチアナ・シャウミャーン氏はこう言っています。

「欧州と米国が経済的圧力をロシアにかけてくる時に、BRICSを構成するブラジル、ロシア、インド、中国などの国の集まりのなかで、ロシアが協力協働することは著しく重要である」

またウクライナ騒乱後のロシアにとってみると、上海協力機構(SCO)の存在も今まで以上に重要になってきています。この数年SCOの軍事演習の規模は縮小傾向にありましたが、8月24-29日の共同軍事演習は過去最大規模で行われました。

8月28日の『ディプロマット』誌によれば、ロシアのマスコミは最近、上海協力機構への関心のなかにロシアの復活・再起を見い出すようになっており、国営通信社RIAノーボスチの8月の論説では、上海協力機構のことを「新しく西側(欧米)に代わるもの」(“A New Alternative To The West”)と呼んでいるそうです。

Russia and the SCO Military Exercises (8/28-2014 ディプロマット)
http://thediplomat.com/2014/08/russia-and-the-sco-military-exercises/

前述のユー・ビン氏のCSISのレポートを読むと、プーチンは私たちが想像する以上にロシアの現在と今後の経済的基盤の構築に力を入れ、経済戦略をめぐらしていることがわかります。

プーチンが5月下旬に上海で習近平と首脳会談した際には、上海協力機構の議題のほかにユーラシアの統合、ロシア-中国-インドの三者間対話、「新シルクロード経済ベルト」の構想なども話し合われました。

二人はこのほかに、東アジア共同体の創設を視野に入れた「東アジアサミットやASEAN地域フォーラム、APEC,CICAなどの多国間フォーラムでも協力し合うだろう」とユー・ビン氏は述べています。

Other projects either jointly or singly managed by Moscow and Beijing – such as the Shanghai Cooperation Organization (SCO), Eurasian integration, Russian-China-Indian trilateral dialogue, New Silk Road Economic Belt – were also discussed. The two also would work together in other multilateral forums such as the East Asian Summit, ASEAN Regional Forum, APEC, and CICA.

日本も、当てにもならないような米国のオバマ政権にぶらさがり、円安による輸出成長モデルが壊れた「アワ(泡)ノミクス」などをいつまでも頼りにしていると、いつのまにか東アジアのなかで、中国とロシアの属国になりかねないと私は危惧しています。

下記にウィキペディアからSCOとCICAのリンクを張っておきました。加盟国を色分けした勢力分布図(地図)が掲載されているので参考にしてください。




    【3】 中ロ:同盟責任のない同盟パートナー

このほかにユー・ビン氏のレポートでは、プーチンが4月と7月に、中国との関係について「軍事的にも政治的にもいかなるタイプの同盟も築く計画はない」と発言していることを挙げ、これはプーチンが、「そのような同盟(という概念)は時代遅れになった」と考えているからだと説明しています。

これと同じ意味を表わすものとして、ロシア大統領府長官のセルゲイ・イワノフが7月に北京で発言した言葉をあげ、「多大な中国との協力にもかかわらず、ロシアと中国は<同盟責任のない同盟パートナー>である」と取材記者に答えたことをあげています(PDF8〜9ページ:下記に引用)。

これは軍事的・政治的な同盟責任がない同盟パートナーであることを示し、ある意味、状況次第では非常に柔軟で自由、かつ強力な同盟関係になります。

In a press interview in late April, Putin said that Russia and China had no plan whatsoever to build any type of military and political alliance. This was because such an alliance had become outdated. He reiterated this in his talk to Russian diplomats at the seventh conference of Russian ambassadors on July 1. Ten days later, Ivanov told reporters in Beijing that despite fruitful cooperation with China, “I do not see any significance for a new military alliance with China, and China, too, also does not see any significance,” and “Russia and China “are alliance partners without alliance responsibilities.”


      (了)

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ロシアの核兵器戦力の準備とウクライナ―NATOを背後に―

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ロシアの核ミサイル部隊(RVSN)の「RS-12Mトーポリ」(大陸間弾道ミサイル)


10月に入り、戦略上の要衝であるドネツクでは政府軍と親ロシア派の間で激しい砲撃戦などが起こり、「今後、戦闘が再び激化するのではないかという懸念が出ています」。

ウクライナ 停戦が事実上破綻 戦闘激化懸念 (10/03-2014 NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141003/k10015082121000.html

ウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力の戦闘は、米国とロシアの代理戦争です。
プーチンはこの先、どのように動くのでしょうか。

【◆◆以下の記事は有料メルマガ9月11日号に加筆・修正したものです】


    ロシアの核兵器戦力の準備とウクライナ

      ―NATOを背後に―

【目次】
【1】 核兵器戦力の準備
【2】「予防的核攻撃」



ウクライナ情勢を巡り、欧米諸国とロシアの対立が深刻化している問題で、ロシアのプーチン大統領は29日、「ロシアは核大国だ。関わり合いにならない方が良い」と述べ、欧米側を露骨に威嚇した。西部トベリ州で、ロシアの若者を集めた対話集会で語った。

・・・国営テレビが生中継した。欧米との対立を巡って「ロシアが大規模な紛争に突入することはない」と述べつつ、「核戦力をより小型で効率的かつ近代的なものに強化している」と語った。

ウクライナ情勢:露大統領「核大国」強調…欧米を威嚇 (8/30-2014 毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20140830k0000e030237000c.html


この報道はNHKテレビでも流されましたが、核兵器の使用をちらつかせたプーチンの発言に驚かれた方も多います。
毎日新聞はこれを威嚇と書いていますが、これは単なる威嚇ではなく、プーチン・ロシアはウクライナの背後にいるNATOとの戦争を想定して、最悪の状況での手段として核兵器による攻撃の準備を進め、軍事演習を行っています。

今回の記事では、NATO・ウクライナとの戦争で使われる核兵器戦力が、プーチンとロシアによってどのような形で準備されつつあるのかを、シンクタンクとニュースの情報をもとにまとめてみました。


    【1】 核兵器戦力の準備

9月3日、ロシア国防省は「戦略核兵器を保有する部隊が今月9月に大軍事演習を行うであろう」と発表しました。兵士4000人以上が参加します(ロイター)。


The forces responsible for Russia's strategic nuclear arsenal will conduct major exercises this month involving more than 4,000 soldiers, the Defense Ministry said on Wednesday,

Russia's strategic nuclear forces to hold major exercise this month (9/03-2014 ロイター)
http://www.reuters.com/article/2014/09/03/us-ukraine-crisis-russia-exercises-idUSKBN0GY0IB20140903


一方、モスクワ・タイムズによれば、プーチンが「核」の力をちらつかせた8月29日の発言の10日前、ロシアの核ミサイル部隊(RVSN)の大幅増強の計画が、部隊の報道官ドミトリー・アンドレーエフによって発表されていました。このアンドレーエフ報道官の発表は幾つもの英文ニュース・メディアのほか、戦略国際問題研究所(CSIS)のHPでも取り上げられています。

RVSNはロシアの膨大な核ミサイルを持つミサイル部隊で、現在その現代化と再武装化が進められており、2020年までに8500個の部隊に拡大されるという大計画です。これには23兆ルーブル(6500億ドル)が投じられるといいます。

プーチンが「核戦力をより小型で効率的かつ近代的なものに強化している」(8月30日 毎日新聞)と言ったのは、主にこのRVSNのこの核ミサイル部隊のことであると思われます。

Google画像検索で「RVSN」と入れて検索してもらえれば、核ミサイル部隊「RVSN」などの写真画像が多く見られると思います。


The missile forces, like the navy and the army, is in the process of being overhauled through a 23 trillion ruble ($650 billion) military modernization and rearmament program through 2020. The RVSN itself will see 98 percent of its equipment — much of which is comprised of aging Soviet-era ICBMs — replaced with newer models.

Russian Army to Expand Nuclear Missile Forces (8/19-2014 モスクワ・タイムズ)
http://www.themoscowtimes.com/business/article/russia-to-expand-nuclear-missile-forces/505410.html


RVSNでは核ミサイルを車両に搭載していますが、ロシア軍は核ミサイルを搭載できる戦略爆撃機を使った大規模な軍事演習を2013年9月に実施しています。

この陸海空軍を動員した大規模な軍事演習は“Zapad-2013” (“West-2013”)と呼ばれ、ロシア西部軍の管区とベラルーシで行われました。(ベラルーシはロシアを中心とした集団安全保障条約に加盟していて、NATOには加盟していません)

この“Zapad-2013”の軍事演習についての様子と分析が、ジェームズタウン財団から報告書としてウェブ公開されています。


この報告書の結論の部分では、ロシア軍が2013年3月に核ミサイルを戦略爆撃機に搭載して、ストックホルム(スウェーデン首都)の複数の標的を攻撃するシュミレーション訓練を行ったという情報を挙げています(本文11ページ)。スウェーデンはロシアとの間に軍事協力関係があるので、この訓練にはショックを受けたと報告書は伝えています。

下記のリンクはこれについてのスウェーデン語の解説記事ですが、興味がある方は機械翻訳でも読むことができます。

Övade med kärnvapen mot svenska mål (1/12-2014 Expressen.se)
http://www.expressen.se/nyheter/ovade-med-karnvapen-mot-svenska-mal/

ジェームズタウン財団から出されたこの報告書は、2013年9月の大軍事演習が、プーチンがウクライナ侵攻を2013年の夏以前から計画し、ウクライナとの全面戦争まで想定して準備を進めていたことを、明確に示していると思います。


    【2】「予防的核攻撃」    

さて、ロシアの国家安全保障会議は9月2日、「ウクライナ情勢を含む新たな脅威を踏まえ、軍事ドクトリンを年内に修正する方針だと」明らかにしました(下記記事から)。


現行の軍事ドクトリンは2010年に決定されており、北大西洋条約機構(NATO)の拡大を脅威とするとともに、国家の存立が脅かされた場合の核兵器使用の権利を確認している。

ロシアが軍事ドクトリンを年内に修正、新たな脅威受け=通信 (9/03-2014 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jpRussia/idJPKBN0GX1TQ20140902


ジェームズタウン財団のロジャー・マクダーモット氏(ロシアが専門)によると、いまロシアのマスコミでは、年内に改定される新しい軍事ドクトリンの条項に「予防的核攻撃」の文言が入るかどうかで騒がれているそうです。

「予防的核攻撃」というのは「核兵器による先制攻撃」のことにほかなりません。

マクダーモット氏によれば、新しい軍事ドクトリンの条項に「予防的核攻撃」の文言が入るというのはロシア国防省からのリーク記事であったそうです。その後、元参謀総長の Yury Baluyevskiy がこれを否定しましたが、これはロシア国防省が意図的に流したようだとマクダーモット氏は見ています。もちろん、ウクライナやNATOに対する「核」による一連の威嚇です。



【ジェームズタウン財団】先ほどの“Zapad-2013”の報告書もジェームズタウン財団から出ていますが、米国のこのシンクタンクは、東西冷戦時代からロシア(ソ連)と中国を専門領域としてきた歴史があるシンクタンクで、ロシアや中国について中身の濃い記事が多いと思います。


【編集後記】 今回は、プーチンが考えているNATOに対する核攻撃の方法などについても、資料をもとに書きたかったのですが、これらについてはまた稿を改めたいと思います。


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【後編】 中国のSDR戦略はドル・システムを衰退させるかーゴールドを含むポスト・ドル支配体制ー

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ゴールドと人民元を含むSDR通貨の案(第2節で詳述)
 黄色-ゴールド, ピンク-人民元, 黄緑-米ドル, 青-ユーロ
(●グラフ画像右下端にポインターを当てると拡大表示できます)


◆このブログ記事は有料メルマガ8月28日号の後半にあたるものです。
 http://www.mag2.com/m/0001627731.html

前半はブログで下記に掲載しています。

【前編】中国のSDR戦略はドル・システムを衰退させるか
     ーゴールドを含むポスト・ドル支配体制ー
 http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/38975115.html

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 中国のSDR戦略はドル・システムを衰退させるか

  ーゴールドを含むポスト・ドル支配体制ー


【目次】
【1】 中国の金保有量の推定
【2】 中国のSDR戦略
【3】 BRICS主導下のSDR構想


   【2】 中国のSDR構想 

次に中国のSDR構想です。人民銀行の周小川総裁は2009年4月に、現在のSDRに中国の人民元を加えたSDR構想を発表しています。

SDRとはIMF加盟国のなかでの融資を受ける「権利」です(「特別引き出し権」:Special Drawing Rights (SDR))。このSDRは、現在は「通貨」ではなく「権利」ですが、段階的な移行を経て、最終的に「通貨」として流通させ、ドルに代わる基軸通貨にしようという動きが中国・ロシア・ブラジルなどを中心にしてあります。
現在は米ドル、ユーロ、ポンド、日本円の通貨バスケットによる算出を行い、SDRの米ドルでの価値が毎日IMFのウェブサイトから提示されています。

SDRを解説した記事を以下に3つ挙げましたが、最後の記事はわかりやすく書かれていると思います。


IMF:特別引出権(SDR)の配分
http://www.imf.org/external/np/exr/facts/jpn/sdrallj.htm

ドルに代わる通貨システムは?〜2.SDRは現代の“金預り証”か?
http://www.kanekashi.com/blog/2009/10/1061.html

SDRの値は現在4通貨での通貨バスケットによる算出を行います。その際のSDRを構成する各通貨の比率は、現在、米ドル43%、ユーロ37%、英国ポンド12%、日本円8%です。

6月11日のロイターによれば、「IMFは、SDRの構成通貨に人民元を加えるかどうか、来年2015年1月までに決定する」そうです。米国のオバマ大統領は2011年1月の米中首脳会談の共同声明において、「中期的には人民元がSDRの構成通貨になることを支持する」としています。

ゴールドの動向と国際通貨システムが専門であるダン・ポペスク氏によると、「新しい国際通貨システムの準備をするために、IMFとBIS(国際決済銀行)が後ろだてとなった、公表されていない交渉が現在も続けられているらしい」ということです(4月の方の記事)。

実際に、新しい国際通貨システムのあり方には多くのシナリオがあるそうです。そのなかには、SDRの構成通貨にゴールドを組み入れたものもあり、2つのSDRの案をポペスク氏は紹介しています。

1つは1999年にノーベル経済学賞を受賞したロバート・マンデル氏(※注-1)が2009年に提案したSDRで、現行の米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円の構成比率を少なくして、ゴールドを50%の比率で組み入れてあります(※ 冒頭円グラフ参照)。

その後マンデル氏は、2011年11月に中国で開催された「中国ゴールド・サミット・フォーラム」で次のように提唱しています。

「SDRの構成通貨である米ドルとユーロへ中国人民元を加え、この3つの通貨にゴールドを組み入れた国際金本位制を創設する」(Forex News 2011年11月14日)

(※ このマンデル教授の提唱については2011年に私のブログで扱い、レポートしてあります−下記記事参照−)

中国の金本位制へむけた準備−ノーベル経済学賞のマンデル教授が人民元を加えた金本位制を提唱 (2011/12/14 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/36148686.html?type=folderlist

そしてもう一つのSDRの案は、ドバイのDIFC(ドバイ・インターナショナル・ファイナンシャル・センター)のエコノミスト達が2010年に提案したもので、現行の4通貨の比率を下げ、ゴールドを20%、中国人民元を15%、それにインドルピー、スイスフランを組み入れています(※ 冒頭円グラフ参照)。

上の2つの円グラフは、ダン・ポペスク氏による前出の“Gold and the Special Drawing Rights (SDR)”の記事のページにあるものです。

ジェームズ・リカーズ氏もダン・ポペスク氏も、将来的に中国が、このようなゴールドを組み入れたSDR通貨を、ドル基軸通貨に代わる通貨にする戦略で動いていると見ています。

また、ノーベル経済学賞を受賞したマンデル氏は、「SDRの構成通貨である米ドルとユーロへ中国人民元を加え、この3つの通貨にゴールドを組み入れた国際金本位制を創設する」と提唱したことは今述べたばかりです。

各国の中央銀行は外貨準備の一部としてゴールドを保有しています。
リカーズ氏が、「中国は新しい金本位制を創るためにゴールドを大量に買っているのではなく、人民元を魅力的にするためにゴールドを買っているのだ」と述べているのは、将来的にSDRが基軸通貨となった時に、そのSDRを構成する<準備通貨としての人民元>の価値を高め、魅力的にし、国際金融市場で優位に立とうとしていることを言っているのだと思います。


   【3】 BRICS主導下のSDR構想

さて、ここで果たしてこの3人が言ったように、中国は<IMFが>創設した現行のSDRへ人民元を組み入れることを、今現在でも本当に考えているのでしょうか。

7月15日、中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカの5カ国BRICSの首脳会議が開催され、「米国の金融覇権に挑む」(共同通信)新しい開発銀行の設立を決めました。
この新開発銀行は米国が主導する世界銀行やIMFに対抗し、それらから離れる試みとも見られています。

前述したように、2015年1月にIMFがSDRの構成通貨に人民元を加えるかどうかの決定を出すのを目前にしながら、米国主導のIMFや世界銀行に挑戦的、対抗的、そして揺さぶりともとれる行動を中国がロシアなどとともにとったのです。

これは中国が、IMFの下でのSDR構想からBRICS主導下のSDR構想へと、通貨戦略を変更させたのではないかと私は見ています。もちろん、BRICS主導下のSDR構想でも<ゴールド>が組み込まれます。

現在、財政難と資金不足から途上国の資金需要に対応できていない世銀グループに対して、BRICSの新開発銀行は加盟国を今後拡大させていくという見方もあります。

長い間、中国はIMFのSDRをドルに代わる基軸通貨にしようと主張し、交渉もしてきたようです。しかし、そもそも米国主導のIMFで、米国がドルの地位を放棄してSDRへ地位を譲り渡すというようなことを、ドル体制で法外な既得権益を手にしている米国がするでしょうか。

そのようなことはありえないと中国政府は判断し、BRICS主導下の<ゴールドを含む>SDR構想へと、通貨戦略を大きく変更させたのではないかと私は考えています。

※【ロシアとインドの金保有量】 2014年9月のワールド・ゴールド・カウンシルの統計ではロシアが世界6位で1105トン、インドが同11位で558トンです。この統計では、この数年で特にロシアの保有量が急増しています。ロシアはこれまでにSDRへ自国通貨ルーブルを入れるように主張していて、2008年のリーマン・ショック以降、大規模な金の購入も行っています。またインドは中国と同様、ゴールドの公的保有量を未発表にしていると市場から見られたことがあります。−2014.9.27記



Robert Mundell(Wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Mundell


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【前編】 中国のSDR戦略はドル・システムを衰退させるかーゴールドを含むポスト・ドル支配体制ー

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中国国内の金の産出量と香港からの純輸入量の推移
(●グラフ画像右下端にポインターを当てると拡大表示できます)


【◆この記事は有料メルマガ8月28日号の一部です】


【目次】
【1】 中国の金保有量の推定
【2】 中国のSDR戦略
【3】 BRICS主導下のSDR構想


8月14日の前号では、中国のゴールドの購入について、経済学者のジェームズ・リカーズ氏が、「中国は新しい金本位制を作るためにゴールドを買っているのではない」と主張していたところまでをお伝えしました。

■前号:
中国はなぜゴールドの保有量を増やしているのか
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/38950338.html

ベストセラー『通貨戦争』の著者でもあるリカーズ氏は、過去に「国防総省やアメリカの謀報コミュニティ、大手ヘッジファンドなどにグローバル金融について助言しており、国防総省が実施した初の金融戦争ゲームの推進役を務めた」ことがあります(邦訳著書『通貨戦争』著者略歴から)。

前号の2013年8月のフォーブスの記事と、ゴールドとSDRについて書かれた『ゴールド・ブローカー・コム』の記事を読むと次のようなことが言えます。

『中国が大量のゴールドを買っているのは、中国は将来的にSDRが基軸通貨となった時に(現在はまだ特別引き出し権という権利)、そのSDRを構成する準備通貨としての人民元の価値を高め、世界的に魅力的にすることを目標としているからである。』

Rumors Of A Chinese Gold Standard Are Overblown: CPM's Christian And Author Jim Rickards (2013-8/12 Forbs)
http://www.forbes.com/sites/kitconews/2013/08/12/rumors-of-a-chinese-gold-standard-are-overblown-cpms-christian-and-author-jim-rickards/

Gold and the Special Drawing Rights (SDR) (4/02-2014 GoldBroker.com)
https://www.goldbroker.com/en/news/gold-special-drawing-rights-sdr-458

『ゴールド・ブローカー・コム』のゴールドに関する動向の記事は、米国の金融投資サイト『ValueWalk』でも時々転載されています。


    【1】中国の金保有量の推定

この知見について、まず、中国の公的な金準備は2009年の1054トン以来数字が変わっていないではないかという疑問が出てくると思いますが、これについては前号でも触れました。中国政府は金保有量についてIMFへの届け出を未発表にしているようです。この指摘は、中国の公的金保有量を論じる専門家の英文記事に散見されます。

リカーズ氏は中国の公的金保有量の発表の更新は6年ごとに行われていると言い(2009年の前が2003年)、現在の推定量を4000トンから5000トンとしています。

先に紹介した“Gold and the Special Drawing Rights (SDR)”の記事の執筆者であるダン・ポペスク氏も推計で約4000トンと見込んでいます。ダン・ポペスク氏はゴールド市場と国際通貨システムの専門家で、約4000トンの算定根拠として中国国内の金の産出量と香港からの純輸入量の推移などから推計しています(冒頭グラフ参照)。

この保有量は2009年のおおよそ4倍に当たるもので、中国政府が、いま行われている経済構造改革の裏で、ゴールドの積み増しを急加速させてきたことを示唆しています。

ダン・ポペスク氏:China’s Role in the Gold Market (6/10-2014 GoldBroker.com)
https://www.goldbroker.com/en/news/china-role-gold-market-514

参考値としてワールド・ゴールド・カウンシルの7月の統計で見ると、中国は世界第7位で1054トンですが、推定量の4000トンから5000トンで見ると第2位になります。ワールド・ゴールド・カウンシルの統計がどこまで信頼できるかわかりませんが、これは米国の8133トンに次ぐ量になります。

世界各国の公的金保有量の比較については、ワールド・ゴールド・カウンシルが毎月データを更新しています。本稿ではとくに中国以外では、米国、ロシア、ユーロ圏などの保有量に注目しています。
http://www.gold.org/research/latest-world-official-gold-reserves



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【後編】 中国はなぜゴールドの保有量を増やしているのか

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            ジェームズ・リカーズ


◆このブログ記事は有料メルマガ8月14日号の後半にあたるものです。
http://www.mag2.com/m/0001627731.html

前半はブログで下記に掲載しています。

【前編】中国はなぜゴールドの保有量を増やしているのか
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/38950338.html

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   中国はなぜゴールドの保有量を増やしているのか


【目次】
【1】 金本位制と米国のメディア
【2】 中国:世界最大の民間ゴールド市場と公的金保有量
【3】 中国人民元の通貨戦略とは


    【3】 中国人民元の通貨戦略とは

さて、中国は、人民元をどのようにして国際的な準備通貨にしようとしているのでしょうか。
ネットでよく見かける現在のドル体制の衰退に乗じて人民元が覇権を狙うなどという意見は、現状の中国の金融改革の困難さや為替政策の現状を無視した単純な見方だと思います。

中国について、ニューヨークタイムズでは共和党議員のクウォーテング氏が中国の金本位制の採用を警戒し、ハートランド研究所のフェラーラ氏は、中国かロシアが金本位制を復活させる前に、米国が復活させよと主張します。

昨年の「フォーブス」によれば、2013年の7月から8月にかけて、いくつかのブログやニュースで、―中国政府と人民銀行が「新しいブレトン・ウッズ金本位制」を創る計画へ向けて、ゴールドを静かに買っている―という風説が強調されていたそうです。

このフォーブスの記事では、クウォーテング氏やフェラーラ氏の中国への警戒論に対して、『通貨戦争』のベストセラーで知られる経済学者のジェームズ・リカーズ氏が、「中国は新しい金本位制を作るためにゴールドを買っているのではない」と主張していることを述べています。

リカーズ氏は、中国は人民元をSDRの構成通貨となることを目指して、人民元をより魅力的にする政策をとっていると言っているそうです。2014年3月、人民元改革で、人民銀行が人民元の対ドル相場の変動幅を上下2%に拡大すると発表しましたが、大局的に見ると中国は人民元をSDRの構成通貨にすることを目標にしているというわけです。

(※ SDR:IMFの特別引き出し権。現在は米ドル、ユーロ、ポンド、日本円の通貨バスケットによる算出を行い、SDRの米ドルでの価値が毎日IMFから提示されています。中国・ロシア・ブラジルなどがドルに代わる基軸通貨の候補に挙げています。※注-2)


… rather it is aiming to make the Yuan more attractive, with the end result of being included in a basket of currencies, referred to as the Special Drawing Rate (SDR).

Rumors Of A Chinese Gold Standard Are Overblown: CPM's Christian And Author Jim Rickards (2013-8/12 フォーブス)
http://www.forbes.com/sites/kitconews/2013/08/12/rumors-of-a-chinese-gold-standard-are-overblown-cpms-christian-and-author-jim-rickards/



■注-2:特別引出権 (SDR) 
 http://www.imf.org/external/np/exr/facts/jpn/sdrj.htm ( IMF )

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バックナンバー8月
中国のSDR構想はドル・システムを衰退させるか(8月28号)
 ーゴールドを含むポスト・ドル支配体制ー

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【前編】 中国はなぜゴールドの保有量を増やしているのか

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【◆この記事は有料メルマガ8月14日号の一部です】


【目次】
【1】 金本位制と米国のメディア
【2】 中国:世界最大の民間ゴールド市場と公的金保有量
【3】 中国人民元の通貨戦略とは


「米連邦準備理事会(FRB)のフィッシャー副議長は11日、これまでの米国と世界の景気回復について「期待外れ」と述べた上で、潜在成長率の永久的な下方シフトを示唆する可能性があるとの見方を示した。」

(米・世界の景気回復は「期待外れ」=FRB副議長 8月11日 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jp_fed/idJPKBN0GB0LH20140811

米国と世界経済の「より構造的、より長期的な」下方シフトの見通しのなかで、金融バブル崩壊懸念を抱える中国が、金本位制への移行でバブル崩壊を乗り越えるという見方があります。


    【1】 金本位制と米国のメディア

この8月、金本位制について少し詳しくニュースネット検索をしましたが、3年前の2011年に金本位制のことを調べて記事にした時よりも、米国のメディアで金本位制が取り上げられることが多くなってきたように感じます。

金本位制というと誤解が多いのですが、金本位制へ復帰の支持の議論では、現在の世界の経済規模は現存の金の保有量では対応できないため、古典的な金本位制へ復帰することは考えていません。現在の経済システムへ適応させるための様々な提案があるそうです。

ニューヨークタイムズはずっと以前から時々、金本位制に関係した記事を掲載しています。
7月24日の同紙には、現在の米国の膨大な財政赤字を抱える米国経済を背景に、中国が金本位制の採用へ進むことを警戒したコラム記事が掲載されました。この記事は『戦争とゴールド』の著書がある共和党議員のクワシ・クウォーテング氏の寄稿です。

A Chinese Gold Standard? (7/24-2014 ニューヨークタイムズ)
http://www.nytimes.com/2014/07/25/opinion/a-chinese-gold-standard-renminbi.html

翌週8月1日には米国のニュース・メディア「ニュースマックス」が、「中国かロシアが金本位制を復活させる前に、米国が復活させよ」と題した記事を載せています。これの元記事は同日付けの「フォーブス」誌で、ハートランド研究所(公共政策)のピーター・フェラーラ氏が書いています。

「経済学極めて優秀」とされハーバード大学を卒業したフェラーラ氏(1955年生れ)は、レーガン政権とブッシュ政権(父の方)で政策スタッフとして働きました。

Heartland Institute's Peter Ferrara: Restore Gold Standard Before China or Russia Does (8/01-2014 Newsmax)
http://www.newsmax.com/Finance/gold-China-Russia-Ferrara/2014/08/01/id/586319/

Why the Gold Standard Is The Foundation For Restoring Booming Economic Growth (8/01-2014 フォーブス)
http://www.forbes.com/sites/peterferrara/2014/08/01/why-the-gold-standard-is-the-foundation-for-restoring-booming-economic-growth/


   【2】 中国:世界最大の民間ゴールド市場と公的金保有量

中国がゴールドを掻き集めているという話は聞いていたので、久しぶりにワールド・ゴールド・カウンシルのウェブサイトを覗いてみました。驚きました。このサイトはゴールドについての情報を提供する著名なサイトです。トップページには“China's gold market”のコーナーが大きく表示されています。このコーナーにあるレポート“China's gold market: progress and prospects”は注目です。このレポートには日本語の翻訳が用意されています。

中国の金市場:その歩みと展望(2014年4月 ワールド・ゴールド・カウンシル)
http://www.gold.org/supply-and-demand/china-report
(※ リンク先ページの下の方で、PDFファイルが無料ダウンロード可)

このレポートは詳細かつ非常に長いものですが、下記はその一部の抜粋です。


2013年の世界の民間金需要に占める中国の割合は26%に及ぶ。
<金価格の値下がりを受けて>、中国の消費者と投資家による宝飾品と金地金の購買量は合わせて259トン増加した。今日、中国の宝飾品市場と金地金現物市場はいずれも<世界最大>である。(PDF 3ページ)

中国で金地金への投資が解禁されたのは2004年。その年の金地金の需要はわずか10トンであったが、それが2013年には397トンにまで急増した。この驚異的な増加の主な背景には、中国では投資手段が限られているという事情がある。
ワールド・ゴールド・カウンシルの中期見通しは非常にポジティブで、中国の金地金の需要は2017年までに500トンに近づくと予測している。但し、2014年については調整の年になると見ている。(PDF 31ページ)



これは民間部門についてですが、公的部門では中国はIMFへ金保有量の届け出をしていないと専門家の多くが見ており、2009年以来届け出は1054トンで変わっていません。このレポートでは、いくつかのデータから中国は公的な金保有量を増やしていると指摘しています。

ハドソン研究所の首席研究員である日高義樹氏は最新の著作レポートで(※注-1)、金融バブル崩壊懸念を抱える中国が、金本位制への移行でバブル崩壊を乗り越えるという見方をしています。

日高氏によると、金についての情報は政府や公式機関の統計としては表れにくく、その情報はすべてあやふやであると言います。大雑把な推定としては、米国と欧州に10万トンのゴールドが貯蔵されていると言われているそうですが、そのうちの70%、すなわち7万トンのゴールドをすでに中国が集め終わっているといいます。これは消息筋の話であるといいます。

ですから、よくニュース記事で引用されるワールド・ゴールド・カウンシルの統計は、世界各国の公的金保有量のごく一部分に過ぎないということになります。

■注-1:『「オバマの嘘」を知らない日本人』 (日高義樹著 2014.6.21刊)

◆{次ページへ:【後編】 中国はなぜゴールドの保有量を増やしているのか
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/38962868.html

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北海道を狙うプーチンと中ロの秘密同盟

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米海軍研究所機関誌『プロシーディングス』は次のように伝えています。

「2020年までにプーチン大統領は空母を数隻、揚陸用空母を2隻、ウラジオストックに配備し、日本と軍事対決する。経済利権を確保するため北方領土を維持し、日本には返さない」

これは6月21日に発売された日高義樹著『「オバマの嘘」を知らない日本人』の第3章「プーチン大統領は北方領土を返さない」の見出しの横からの引用です。

日高氏はすでに2013年11月の著作レポートでロシアによる太平洋での潜水艦隊の増強について取り上げ、その主な背景の一つを次のように説明しています。

「ベーリング海は北極海の一部で、温暖化現象で北極海の氷が解け始めるようになってから注目されている。米国海軍の首脳は、「ベーリング海はこれからアジアからヨーロッパなどへの、マラッカ海峡に匹敵する重要な海上ルートの拠点になる」と言っている。」(『アメリカはいつまで日本を守るか』第6章)

プーチンは北極圏に埋蔵する豊富なエネルギー資源とともに、この先マラッカ海峡ルートに匹敵するとされるこの重要な北極海上輸送ルートを確保するため、極東太平洋艦隊の強化に乗り出しています。
日本海を経由する北極海上輸送ルートは、日本、韓国、中国、台湾、そして南シナ海のASEAN諸国へのエネルギー消費地帯・貿易輸出地帯になります。

戦略国際問題研究所(CSIS)のアンドリュー・クチンス氏の今年1月のレポートで、極東でのロシアの活動の報告がありましたが、日高氏の先月の最新の著作を読んで、プーチンの極東戦略がここまで進んでいるのを知り驚きました。

この著作の第3章第1部「ロシア極東太平洋艦隊が日本と対決する」が、PHP研究所から電子書籍として廉価で販売されています。

「プーチンは北海道を狙う」(BookLive!)
http://booklive.jp/product/index/title_id/273301/vol_no/001

ワシントンの軍事専門家は日高氏にこう言っているそうです。

「ウラジオストックを中心としてロシアの機動艦隊や潜水艦隊が行動することになれば、津軽海峡が極めて重要になってくる。しかも津軽海峡を常時ロシアの艦隊が航行することになると、北海道が日本列島から孤立して千島列島を含めたロシアの影響下に入ってしまうことになる」

「日本人が中国と尖閣諸島の危機に目を奪われている隙に、ロシアは海軍国家復活への道を歩んでいる」(日高氏)

つまり日本は、南方から尖閣諸島と沖縄を中国に、北方からは津軽海峡と北海道をロシアに「ハサミ撃ち」されている状況です。

南方から尖閣諸島と沖縄を中国が、北方からは津軽海峡と北海道をロシアが侵略する際、中ロ両国が「倒日同盟」を組んでくる可能性は充分にあります。

中ロ両国の対日本戦略に限らず世界戦略においても、ネット検索では中国とロシアが同盟を組んだという記事も事実も出てきません。それは至極当然で、両国が秘密同盟の方が都合がいいと考えれば、公表もしないし、検索結果にも出てきません。

しかし、米国の戦略国際問題研究所のアンドリュー・クチンス氏は、ロシアから中国への30年間にわたる天然ガス供給の契約(今年5月21日契約成立)の裏には、公表されなかった「国家機密」があると推測しています。

以下の記事は、7月10日の有料メルマガの一部「中ロ同盟は国家機密か」の記事です。

=====================================


    【1】 中ロ同盟は国家機密か

7月3日に私は自身のブログのトップページに次のように書きました。

「集団的自衛権では台頭する中ロ同盟には対処できない 中ロに対して米国が戦ってくれるわけがない その「抑止力」は破綻する」

ここで言う「中ロ同盟」とは、6月12日の有料メルマガで取り上げた「中国とロシアの軍事同盟的な協力体制」のことを指しています。
5月21日のロシアから中国への天然ガス供給の契約成立のニュースは、国際情勢の専門家に注目され多くの分析がされているようです。

中国国際ラジオ放送のウェブサイトによると、プーチン大統領が7月1日に中露関係について発言したそうです。中国外務省の洪磊報道官はこのプーチンの発言を高く評価し、次のように述べたそうです。

「洪報道官は、『両国の全面的戦略パートナー関係は、平等、信頼、相互支持、互恵共栄、世世代代の友好を基礎に建てられたものだ。同盟を結ばず、対抗せず、第三者に対する行動をとらないことは、大国間の平和共存、善隣友好、相互協力の模範といえる』と話しました。」

中国、ロシア大統領の中露関係の発言を高く評価 (7/02-2014 中国国際ラジオ)
http://japanese.cri.cn/881/2014/07/02/141s223161.htm

そこでは中ロ関係では「全面的戦略パートナー関係」では「同盟を結ばず」と述べています。
しかし、これを額面通りに受け取っていいものでしょうか。

米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のアンドリュー・クチンス氏(ロシアとユーラシアが専門)の1月の報告は、このことを考えさせます。

例えば現在、米国は国防予算の大幅削減にともない、通常兵力を大幅に削減していますが、核兵器戦力の即応体制は強化しています。仮に中ロ同盟が結ばれたとして、それを世界に向けて公言すれば、米国の中ロに対する核兵器戦力の即応体制は何倍も強化されるでしょう。

また中ロ同盟を世界へ向けて公表すれば、欧米の資本と両国の経済の関係が悪くなります。
中ロ両国にとって、もし同盟を結ぶのなら秘密同盟の方が都合がいいのです。

アンドリュー・クチンス氏は今年1月の時点で、「中国とロシアで天然ガス供給の協定が結ばれた場合、その協定の完全な内容は、本質的には(本質的な点については)国家機密になる」と分析しています(“will essentially be a state secret”:will 強い予測・確信)」


Possibly, China and Russia will finally resolve their difference over gas prices and supply arrangements, but the full nature of that agreement, if it is achieved, will essentially be a state secret.
(結論部, PDF 9ページ)

Russia and the CIS in 2013: Russia's Pivot to Asia(「ロシアのアジアへの旋回」)
(2014-1月 戦略国際問題研究所)
http://csis.org/publication/russia-and-cis-2013?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+CSIS-Russia-And-Eurasia-Related-Publication+%28Russia+and+Eurasia+-+Related+Publication%29



中国とロシアで結ばれた天然ガス供給の契約は、「ロシア側から2018年から30年間にわたり毎年380億立方メートルの天然ガスを供給。総契約額は4000億ドルを上回った」(ロイター)と見られています。

ロシアから中国への30年間にわたる天然ガス供給という、これほどの大きな契約です。
それゆえ、この契約のほかに「国家機密」として公開されなかった裏での取引きと協力事項があることを、ロシア問題の専門家クチンス氏は推測しているわけです。この天然ガス供給の裏で結ばれたかもしれない両国間での「国家機密」が、中ロの同盟的な協力体制である可能性を考えてみる必要があると考えます。

中国とロシアの軍事同盟的な協力体制 ( 6/12-2014 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/38843166.html

例えが悪いかもしれませんが、徳川家(米国)による幕藩体制を倒すために、<犬猿の仲>であった薩摩と長州が<秘密同盟>を結び、そして幕藩体制が倒されたという史実があります。この薩長の<秘密同盟>では薩摩が武器を長州へ渡し、長州は米を薩摩に渡しその絆を深めました。中国の欲しい兵器と天然ガスをロシアが、ロシアの欲しいマネーを中国がという具合にです。

私の目に触れたものとしては、ロシアと中国の天然ガス供給の発表があった後も、中国とロシアの同盟の可能性を否定する意見が多いように思います。

しかし、ロイターのコラムニストであるアナトール・カレツキー氏などはこの発表の後、
「北大西洋条約機構(NATO)と米国のアジアにおける同盟関係に匹敵する中ロ関係構築の可能性」、
「核保有超大国間の戦略的再編の始まりを意味する可能性」、
「中ロ関係は最高の組み合わせだ」
と述べています。

そして中ロの連携・協力の関係の考えを否定することが、「楽観的かつ短絡的だという理由」を5つ挙げています。さらにロシアが持つ「軍事面の先進技術や航空技術、ソフトウエアなどの分野」を中国が必要としていることも指摘しています。

コラム:ガス契約で急接近の中ロ、憂慮すべき5つの理由=カレツキー氏 (5/24-2014 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0E402B20140524?sp=true


■ 関連記事
プーチンのアジアへの旋回シフト( 6/12-2014 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/38830237.html


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マレーシア機撃墜 米国のロシアへの軍事介入はあるのか

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  乗客乗員298人を乗せて墜落したマレーシア航空MH17便(AFP)


7月17日にウクライナ東部で、親ロ派武装勢力によるものと思われるマレーシア航空機撃墜事件が起きました。

現在の時点では、オバマ大統領は米国が軍事介入を実施する可能性は排除しています(7月18日 ロイター)。

米国の戦略雑誌『ナショナル・インタレスト』に、この民間機撃墜についての記事があるというので読んでみました。ただし、この記事の執筆者はこの雑誌の編集者で、国際政治と軍事の専門家ではないようです。

The Ukraine Plane Disaster: Countdown to A New World War I? (7/17-2014  National Interest)
http://nationalinterest.org/blog/the-ukraine-plane-shooting-countdown-new-world-war-i-10903

保守系の雑誌らしく、「新世界大戦気悗離ウントダウンか?」と題名が付けられています。
私がこの記事を読んで1つだけ注目したのは、航空機を撃墜した地対空ミサイルの発射が誤射ではなく、親ロ派武装勢力がプーチンに彼らをもっと強力に支援させ、西側の欧米との対立をさらに悪化させるためのものであった可能性があるという指摘です。

One possibility may be that the rebels shot down the airplane in order to exacerbate the confrontation with the West--to force Putin to back them more strongly.

米国のシンクタンクであるブルッキングズ研究所は、マレーシア航空機撃墜のあったこの日、ロシア政府は親ロ派武装勢力への武器と援助物資の供給を止めなければいけないと言っています。

A New Tragedy in Ukraine: The Shootdown of Malaysian Airlines Flight 17 (7/17-2014 ブルッキングズ研究所)

しかしこの戦いは、オバマ政権の対ロシア戦略に敵対するプーチンの戦いなので、ロシアが武器と援助物資の供給を止めるわけもありません。オバマ政権の対ロシア戦略とはウクライナやグルジアをNATOに組み込むという戦略です。

旧KGB出身のプーチンはソビエト連邦の旧共和国をまとめあげ、「ソビエト帝国の復興」という悲願に執念をいまだ燃やし続けているのです。このことは米国のロシア専門家たちも承知しています。

そこで『ナショナル・インタレスト』の“Countdown to A New World War I?”(新世界大戦気悗離ウントダウンか?)の題名ですが、米国の「穏やかな」世界戦略を見る限り、この編集者の“World War”という言葉は、雑誌編集者の受け狙いとも取れるほど、アメリカ軍と米国の世界戦略からかけ離れているようです。

米国が抱える国際的に大きな火種は現在3つの地域にあり、それは(1)中国による東・南シナ海、(2)イラク南部の多くの石油施設を抱える中東、そして(3)ロシアが関与するウクライナです。(※ 米国でシェールガス・石油が多く産出されても、グローバルなエネルギー市場での価格高騰は米国の産業力に大きく影響を及ぼすので、中東地域への関与は依然として米国の重要課題です)

米国の太平洋軍の対外政策顧問であったマーク・ウォール氏(2012-13年在任)は、ロシアに脅かされるウクライナ情勢やヨーロッパに対しても、中国に脅かされる東アジアで行っている米国のリバランス政策が活用できると言っています。そして対中国政策でも使っている5つの指針を挙げています。


戦略国際問題研究所(CSIS)のウェブサイトに掲載されたマーク・ウォール氏の述べる5つの指針のなかから、『ナショナル・インタレスト』の雑誌編集者の“World War”の言葉が突飛に見えてしまう理由を挙げてみます。

First, don’t overplay the military component.
Limited military deployments are warranted.

軍備を重視し過ぎず、<制限された(限定された)>軍事配備が正当化される(必要となる)

It is important to provide such assurances, but also not to encourage them to act in ways that would incite conflict and drag the United States into fights not of its choosing.

「ウクライナやヨーロッパに確実さ(安心)を与えるのはよいが、対立を煽り立てて米国が戦闘に引きずり込まれるような方法で彼らを勇気づけない(助長しない)>ことが重要である

太平洋軍の対外政策顧問であったウォール氏のこの指摘は、中国による南シナ海でのベトナム船衝突事故や日本の尖閣問題などでも同じです。まるでオバマ政権の米国は、世界中のどこにおいてでも、戦闘や戦争に巻き込まれないことを最優先にしているように見えます

そしてウォール氏は、米国の軍事力行使の可能性について次のように述べます。

「米国はいま、海外で新たな軍事力行使に進めるベストな状況ではない。ワシントンの注意はいま、イラクに引き付けられている。そして米国政府は(国防)予算の制約という行き詰まり状態に直面している・・・・」

The United States is not in the best position to pursue new exertions abroad. Iraq now grips Washington’s attention. At home, it faces gridlock, budget constraints, and a public mood still smarting from interventions in Iraq and Afghanistan.

強制予算削減法による国防費の大幅削減の下で、ウクライナ及びロシアとの境界線に位置する国々、イラク、シリア、イランの中東、東・南シナ海を脅かす中国の3領域での火種を抱える米国は、ウクライナ一国のために世界全体の戦略と国家財政を狂わすわけにはいきません。

それゆえ、シリア攻撃を決断しなかったオバマ大統領は、ウクライナにしても尖閣諸島にしても、よくても「制限された(限定された)軍事力」しか投入して来ないことが予想されます。こういった情勢が第1次世界大戦前夜とは決定的に違うのです。

加えてウォール氏は、イラクとアフガニスタンへの軍事介入から、まだ苦痛を受けている国民の厭戦気分に米国政府が直面していることも挙げています。

マレーシア航空機撃墜やウクライナ情勢を近視眼的にとらえると、「世界大戦へのカウントダウンか?」などというように、よく目にするネット上の書き込みのような見方が出てきますが、米国の同盟国と友好国は世界中に多数存在します。曲がりなりにも米国はそれらの多数の同盟国や友好国の、敵からの防衛に大きく関わっています。

ロシア、中国、イラン、北朝鮮、イスラム武装勢力・・・・
<現実の世界では、>
ライトからの攻撃だけに気を取られていて、正面とレフトからの攻撃のことは忘れてました
では済まないのです。

国際政治アナリストのイアン・ブレマー氏は、金融・エネルギー面での経済制裁の強化は、「紛争の方向性を変えるわけではなく、問題をエスカレートさせることになる」と述べています。

コラム:撃墜事件がウクライナに与えた「3つの変化」=ブレマー氏 (7/18-2014 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0FP00H20140720?sp=true

イランと北朝鮮は欧米の経済制裁にもかかわらず、核兵器開発の道を進んでいます。プーチンの「ソビエト帝国の復興」という執念は、イランや北朝鮮の核兵器開発への執念と同じです。
ブレマー氏も主張していますが、ウクライナをとり巻く情勢はさらに悪化すると予想します。


■ 参考文献
 『アメリカはいつまで日本を守るか』 第7章(日高義樹著 2013年11月刊)

(了)

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原油価格と中東・アフリカ情勢−第3次イラク戦争をめぐってー

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上:ペルシャ湾最北の石油積出し港バスラ(イラク) 
下:NBCニュース “Iraq Turmoil”から


      原油価格と中東・アフリカ情勢

       ー第3次イラク戦争をめぐってー   


7月12日の今日の時点でのイラク情勢と原油価格情勢の報道で重要な3つの報道があります。

[1]
「イラクで攻勢を強める過激派組織は、首都バグダッド進攻に備え、指令ひとつで一斉に攻撃を開始する「潜伏要員」を首都中心部に送り込んでいるほか、周辺部からなだれ込む「支援部隊」を準備している。」

焦点:イラク首都で進攻に備える過激派要員、政府は摘発に躍起 (7/06-2014 ロイター)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140706-00000021-reut-m_est

[2]
「IEA(国際エネルギー機関)は「北部と西部を襲った暴力行為の影響をイラク南部の油田はこれまでのところ受けていない」とした上で、「同地域に不可欠なインフラを武装勢力が標的とし、大規模あるいは長期的な混乱を引き起こすリスクは残っている」と付け加えた。」

混乱続くイラク、南部の原油輸出は7月に回復の見通し−IEA (7/11-2014 ブルームバーグ)
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140711-00000047-bloom_st-nb

[3]
イラク軍、士気低下し指揮も混乱 (7/11-2014 フィナンシャル・タイムズ)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1101O_R10C14A7000000/


以下に、6月26日に有料メルマガで配信した「原油価格情勢と米国の中東石油へのスタンス」の一部を掲載しました。


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    原油価格情勢と米国の中東石油へのスタンス

     ―第3次イラク戦争をめぐって―


【目次】
【1】 原油価格と中東・アフリカ情勢
【2】 米国のエネルギー安全保障とグローバル石油市場


    【1】 原油価格と中東・アフリカ情勢

ブルームバーグによると、「ゴールドマンサックスは6月23日付の資産配分リポートで、エネルギー価格は今後1年間に5%下落する」と予想したそうです。ある経済評論家がこの記事について、「イラク南部の石油施設はほとんど被害を受けていないのでイラクの混乱で上昇した石油相場や金相場はそう時間をかけずに落ち着いてくると思われる」と述べていました。

これは下記の記事についてのコメントだと思います。

ゴールドマン:商品相場、向こう1年間で5.5%下落と予想 (※ 抜粋記事 2014-6-24 ブルームバーグ)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N7P2TR6JTSEC01.html

Goldman Sees Commodities Dropping 5.5% After Iraq-Driven Rally(上記記事原文)
http://www.bloomberg.com/news/2014-06-24/goldman-sees-commodities-dropping-5-5-after-iraq-driven-rally.html

この記事だけで「ゴールドマンの指摘通り石油相場は基本的に下落基調でしょう」などと言ってしまうのは余りにも早計です。
このブルームバーグの記事はイラク南部に武装勢力が進攻することは除外して書かれているのです。しかし、「規律と士気を欠き、独り立ちしていない力不足のイラク軍」(共同通信)に米軍が加勢したとしても、武装勢力による南部の油田・石油精製施設への進攻には警戒しておかなければいけないでしょう。

この記事には、ゴールドマンのコモディティーのチーフ・アナリストで著名なジェフリー・カリー氏のコメントがありますが、ジェフリー・カリー氏を含めた3人のゴールドマンのアナリストが、6月13日にはメール・レポートで次のように述べているそうです。「“ ”」で囲まれた部分がゴールドマンからの引用になります。


If the conflict reached the southern oil fields and the port of Basra, it would “likely have a significant impact on crude prices given current supply disruption in other OPEC members, in particular Libya,” the Goldman analysts said.

現在のほかのOPEC諸国で起きている供給途絶(混乱)、とくにリビア情勢を考えると、戦闘が、イラク南部の油田やペルシャ湾最北のバスラ港にまで及んだ場合、恐らく原油価格に大きな影響を与えるだろう。

Oil Topping $116 Possible as Iraq Conflict Widens (2014-6/17 Bloomberg)
http://www.bloomberg.com/news/2014-06-15/oil-topping-116-seen-possible-as-iraq-conflict-widens.html


ニューヨークを拠点としエネルギー市場を重点とするヘッジファンド(「アゲイン・キャピタル」)のジョン・キルダフ氏は、「イラクの供給の途絶は世界のエネルギー危機を意味する、これは誇張ではない」と電話で述べたそうです(6月13日に)。

―イラクの石油供給懸念は大きくなるが、それと同時に、リビアで続く戦闘は北アフリカでの原油産出を抑制し、核開発を行うイランへの国際的な制裁は輸出を削減し、ナイジェリアでの妨害活動は原油の流れを減少させる。―

このようなOPEC加盟国の状況からキルダフ氏は、イラクの供給不安について次のように述べています。

「イラクの原油産出量は日量約300万バレルで、これはOPEC全体の約10%を占める。リビアの供給不全とナイジェリアの不安定供給で、OPECは限られた予備供給能力しかない状態のままになっている。サウジアラビアはイラクの損失を埋め合わせることはできない。

このような状況に対し、OPECはこれまでの日量3000万バレルの産出目標を維持するとしています。OPECは世界の原油の約40%を供給しています。

イラク情勢は現在のところ米国次第ですが、過去のイラク戦争を振り返っても、米軍を増強し投入してもイラク国内の治安が正常化することは非常に難しいでしょう。そもそも前ブッシュ大統領への強い反抗意識から軍事専門家たちの反対を押し切って、オバマ大統領が2011年12月までに米軍を完全撤退させたことが誤りであったと言えるのです。

オバマによるイラクの完全撤退については、それによりテロリストや過激派が再びイラクへ多く侵入してきて、スンニ派とシーア派の対立と戦闘が再び激しくなることは当時から指摘されていました。

原油価格の高騰は、原発が停止していて円安政策をとる日本の、国債金利の高騰と経済・財政の悪化を招くことになります。これについては下記の記事で考察してあります。

▲撻襯轡穗僂任粒ぞ絅謄軅鐐茲如∪こγ罎龍睛と日本国債の金利が急騰する (2012-1/18 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/36285732.html

これとは反対に原油価格の高騰は、1日あたりの原油生産量で第1位のサウジアラビアとほぼ同水準のロシアのエネルギー世界戦略には強力な追い風となるでしょう(BP石油統計2013年)。ロシアが中国やアジア地域に対して天然ガス・石油のエネルギーによる支配を開始していることは、6月12日に有料メルマガで配信しました。

プーチンのアジアへの旋回シフト―中ロ同盟はアジアの覇権を目指す―(2014-6/12 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/38830237.html

(◆ 7/12 リンクURL書き換え)


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中国とロシアの軍事同盟的な協力体制

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今日お伝えする記事は、有料メルマガで6月12日に配信した「プーチンのアジアへの旋回シフト」の第2節です。第1節は6月28日にブログで公開しました。第1節の続きにあたる内容になっていますので、併せてお読みください。

プーチンのアジアへの旋回シフト(第1節)
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/38830237.html


【序文】 中国の防空識別圏とロシアの空軍戦力(7月5日)

「ロシアの情報によると、中国は間もなくロシアと第4世代戦闘機Su-35の購入契約を締結する。中国は第1陣として24機を購入する。早ければ来年から引き渡される予定。」(6/30-2014 新華社通信ネットジャパン)

中国がロシアからSu-35戦闘機を24機購入へ−中ロ同盟の飛躍的強化が進んでいる−(7/01-2014 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/38835753.html

「Su-35はロシア軍事技術の粋を集めた戦闘機で、アメリカの戦闘機を上回っているとも言われている」(日高義樹氏 2013-11/30)

戦略国際問題研究所(CSIS)の2013年12月の報告では、2013年の3月の時点ですでに「中国はロシアから高度な軍事兵器を大量に購入しており、」その中にはSu-35も含まれているとあります。2013年3月というのは中ロ関係が同盟へ向かい始めた転換点にあたる月で、今日掲載する記事にはその解説がしてあります。

中国が東シナ海に防空識別圏の設定を宣言したのは2013年の11月ですから、中国の防空識別圏はSu-35などのロシアの空軍戦力が導入され、それが基礎になった構想と言えます。


In March 2013, Russian and Chinese media reported that Beijing was acquiring significant quantities of advanced military equipment from Russia. Among the multi-billion dollar systems to be bought by the Chinese military are six Lada-class attack submarines and 35 SU-35 fighter jets. These acquisitions are significant because they are sophisticated systems and it has been more than a decade since China purchased any significant weapon systems from Moscow.

From Russia without Love: Russia Resumes Weapons Sales to China (CSIS 2013-12/12)
http://csis.org/publication/pacnet-89-russia-without-love-russia-resumes-weapons-sales-china




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   プーチンのアジアへの旋回シフト
 
    ー中ロ同盟はアジア-太平洋の覇権を目指すー


2014年6月12日

【目次】
【1】 プーチンのアジアへの旋回シフト
【2】 中国とロシアの軍事同盟的な協力体制


  【2】 中国とロシアの軍事同盟的な協力体制 

冒頭で紹介した戦略国際問題研究所の Tales of Different “Pivots” という2013年1月のレポートでは、中国とロシアの間で「もっとも重大な問題として、軍事技術の協力と軍事協力の問題」が議論されているとすでに報告していました。

“The most serious issues of military-technical cooperation and military cooperation were discussed,” commented Deputy Defense Minister Anatoliy Antonov, who attended the meeting. 

今年5月20日の日経は、「中ロ首脳『戦略的関係、新段階に』 米国をけん制」と見出しを付けて報道しました。しかし、中国とロシアは2013年3月に習近平とプーチンのモスクワでの首脳会談で、両国間の強い協力関係を強調した共同声明を発表しています。その首脳会談でプーチンは「ロシアと中国の戦略的な同盟体制は、極めて重要である」と習近平に対して述べました。

この時の共同声明には初めて中国とロシアのあいだで「新しいタイプの大国関係」(“New Type Great Power Relations”)という言葉が使われました。この中ロ間で用いられた「新しいタイプの大国関係」については米国のシンクタンクであるジェームズタウン財団のウェブサイトに、これを考察した論文があります。中ロ間がエネルギー分野で連携し急接近を表明した今年5月の記事です。

Conceptualizing “New Type Great Power Relations”: The Sino-Russian Model (2014-5/07 ジェームズタウン財団)
http://www.jamestown.org/programs/chinabrief/single/?tx_ttnews%5Btt_news%5D=42332&cHash=13148cfd7311153f1728b8fc16411b7b#.U5kubfl_uJl

この記事によると冷戦終結後、1995年に江沢民のスピーチのなかで使われた「新しいタイプの関係」(“New Type of Relations” (NTR))という言葉は、それよりも前から中国の専門家たちが使っていました。それから18年後の2013年3月の習近平・プーチン会談での共同声明で “Great Power” という二文字が採択され加えられ、「新しいタイプの大国関係」(“New Type Great Power Relations”)となったそうです。そしてそれは、オバマ大統領が米中両国について「新しいタイプの大国関係」という言葉を習近平との会談で使った3か月前のことです。

NTR remained in official Sino-Russian statements until “Great Power” was added and adopted by both China and Russia in March 2013 -- three months before use by President Obama at Sunnylands (Xinhua, March 22, 2013; White House, June 8, 2013).(※訳注 Xinhua 新華社)

米国と中国の間で「新しいタイプの大国関係」という言葉が公式に使われたのは、2012年2月の習近平(副主席)の訪米での講演が初めてですが、日本のマスコミではこの米中間の「新型の大国関係」ということばかりしか取り上げていないようです。しかし、その米中会談のほぼ1年後に、中国とロシアは従来のお互いの関係を「新しいタイプの大国関係」として、大きく前進させようと公言しているのです。

この記事のなかでは、この中ロの「新しいタイプの大国関係」という概念が、1990年半ば以来の中ロ関係の歴史を経て改良され、よく発達を遂げた、首尾一貫した中国の外交政策の帰結であるとしています。

またこの「新しいタイプの大国関係」という概念は、中ロの関係を安定させ、<アメリカの行動様式と異なる「新しい国際秩序」を確立するための手段>であるとも述べています。

First, NTGPR is a well-developed, coherent outgrowth of Chinese foreign policy with a history of use and refinement in Sino-Russian relations since the mid-1990s.
Sino-Russian joint statements articulate the concept as a means to stabilize their relationship and establish a “new international order” to shape U.S. international behavior.

2013年3月の中ロの共同声明の話は、米国のハドソン研究所の首席研究員である日高義樹氏の著作『アメリカはいつまで日本を守るか』(2013年11月刊)の中にもあります。しかし、米国のマスコミは、この習近平とプーチンの共同声明を殆んど伝えなかったそうです。

それは米国の専門家の多くが、中国とロシアが軍事的協調や同盟体制をとるのは極めて難しい、または不可能だと考えていたのが、その共同声明が注目されなかった理由だと日高氏は説明しています。

これに対して日高氏は、欧米に対抗するために、過去からこれまで敵対関係が基本線であった中国とロシアの関係は変化しているとその著作で言っていました。そして中ロは、軍事的関わり合いを飛躍的に強化し、両国は同盟体制に走り始めていると分析していました。(Su35の中国への売り渡し、空母建造での中国への技術協力など)

もちろん日高氏は、両国が同盟体制をとることは不可能だとする考え方も取り上げ、米国や欧州と経済的に密接に結びついている中国とロシアが、欧米と対決するのは経済的に見て非常に難しいといった見方も紹介しています。

ただ、歴史的事実はその反対事象も示していると述べ、密接な経済的関係があったにも関わらず、当事国間で戦争が始まった事例を挙げています。そして経済的・文化的に密接な関係があったとしても、それを超える要因があれば、戦争や軍事対決は容易に始まるとも述べています。

「戦争」という言葉が出てきましたが、私は、核兵器を含む大量破壊兵器が地球上に氾濫し、グローバリゼーションで世界経済が密接にかみ合う21世紀において、IQの高い大国の首脳や政権・官僚がそうそう簡単に、アニメゲームのように大きな戦争を起こすことはないと常に考えています。

大国同士の戦争とは、今まで築き上げてきた国家基盤に計り知れない巨大な損失を被る行為です。これは多くの人々の認識でもあると思います。日高氏のいう歴史的事例とは別に、中国とロシアの軍事的・経済的協力関係は世界秩序と国際情勢において、もう少し戦争とは別の形で具現化されていくと考えています。

前述の日高氏の2013年11月の著作レポートでは、第6章の「中国とロシアは軍事同盟を結ぶのか」で、中国とロシアの軍事力の状況についても書かれています。以下に私が注目した箇所を一部要約してみました。


(要約開始)
アメリカ海軍は第4世代の潜水艦作戦である海底ネットワークの開発を進めている。これは太平洋や東シナ海での中国のA2AD戦略を無効化し消滅させるものだ(A2AD:Anti-Access Area-Denial 接近阻止・領域拒否)。それに対抗して、ロシアは急速に古い潜水艦を新しいものに変えており、太平洋における潜水艦の戦いは新しい時代に入ろうとしている。「やや時代遅れの中国の潜水艦を尻目に」、アメリカとロシアの最新鋭の潜水艦が太平洋で活発な行動を展開している。

ベーリング海は北極海の一部で、温暖化現象で北極海の氷が解け始めるようになってから注目されている。米国海軍の首脳は、「ベーリング海はこれからアジアからヨーロッパなどへの、マラッカ海峡に匹敵する重要な海上ルートの拠点になる」と言っている。

ロシアと中国の海軍は明らかに責任の分担を図っている。ロシアが北極海からベーリング海、そしてオホーツク海から日本海へと海軍力を強化する一方で、中国海軍は東シナ海と南シナ海、さらに西太平洋の広大な地域で、強力な海軍力を展開しようとしている。<ロシアと中国の軍事同盟の目標は>当面、ロシアと中国が協力して海軍力を行使し、アメリカ軍を追い出すことである。
(要約終了)


先ほど戦略国際問題研究所の Tales of Different “Pivots” という2013年1月のレポートで、中国とロシアの間で、「もっとも重大な問題として、軍事技術の協力と軍事協力の問題」がすでに議論されていることを述べました。

安倍総理「ロシアとは融和、中国へは批判」G7で強調 (2014-6/05 テレビ朝日)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000028275.html

6月4日にベルギーで開かれたG7首脳会議では、ウクライナ問題で制裁強化を求めるアメリカなどとは対照的に、安倍首相はロシアへの融和を訴えました。集団的自衛権の議論を聞いていてもそうですが、安倍政権と自民党は国防情勢や国際情勢に弱いと思います。中ロの軍事的・経済的な協力ということを、まるで想定していない。「アワ(泡)ノミクス」と同じです。

5月24日に中国機が自衛隊機へ異常接近し、6月11日には中国のSu-27戦闘機が自衛隊機に2回異常接近するという事態が起こっていますが、非常に強気な中国のこのような行動は、中国とロシアのこれまで述べてきたような同盟体制という背景から考えるべきでしょう。


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執筆予定 2019.8.20 記
『国際情勢の英文サイトを 本業の片手間に読むテクニック』

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