(以下は、阿修羅.「国家破産」BBS.8月4日の投稿に加筆したもの)

http://www.asyura2.com/08/hasan57/msg/709.html

国際情勢アナリストの浜田和幸氏が7月31日の公開記事で、ブッシュ政権開始以来の原油高騰の真犯人は、意図的に「中東の不安定化」政策を実行した同政権であると述べている。

http://moneyzine.jp/article/detail/79216

この仮説自体は目新しいものではないが、浜田氏は、メディアではヘッジファンドなどの投機が原油高騰の主要因とされているが、ブッシュ政権はヘッジファンドを悪役に仕立て上げる事に(見事に)成功していると述べている。

浜田氏は、「イランに対する経済制裁が解除されイラクにおける治安が完全に回復すれば、その時点で日産500万バレルの原油が国際市場に出回るようになり、原油価格は安定化に向かうことは間違いないだろう」と述べている。

この日産500万バレルは、現時点でのイラクの不安定な情勢とイランへの経済制裁下での数字で、アメリカの中東政策の変更により「中東の安定状態」が生まれれば、イラクとイランの市場への原油供給量は、何倍にも跳ね上がるだろう。

「私は、アメリカ軍のイラク占領後、テロ・ゲリラ戦が拡大し始めた早い時期(開戦前のアメリカの石油企業が目論んでいた青写真の計算違いが判明した時点で)、ホワイトハウスは、イラク情勢の混乱やイランの核開発問題を利用して、中東の中心に位置するイラクの混乱を長期化させるように、計画を切り替えたのではないかと見ている。

アメリカの軍産複合体の圧力が、ベトナム戦争の長期化を要求したように、アメリカの『石油大統領』は、イラク情勢混乱を長期化する計画によって、原油価格を高騰させ、石油企業の要請に応えているのではないかと見ている。イラク戦争の目的は、あくまでも『石油』だ。」

(「原油高騰と『イラク情勢混乱計画』―中東の混乱の長期化を狙うアメリカ―」 2004年10月

http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/iraq.2.html

ところが、「中東の安定状態」などは、石油メジャーにとって愚策極まりないものだ。

ブッシュ政権の終りになり、次期アメリカ大統領選挙が近づくにつれ、イラクでの治安は(タイムリーに)改善し始める。

一方で、アメリカの石油メジャーの支配が強いとされる軍事産業は、この夏イラクにミサイルと戦車、C130輸送機などの軍用装備品を、合計107億ドル(約1兆1500億円)で売却する商談が決まり、ロッキード・マーチン、ボーイング、レイセオンなどにボーナスがおりている。(日経 8月3日)

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080803AT2M0201N03082008.html

米ゴールドマン・サックスが、投機筋による原油高騰の仕掛け人であるという見方があるが、アメリカ政界との結びつきが深いゴールドマン・サックスが、原油高騰という目的を課せられたブッシュ政権と共謀としたとすれば、これだけの歴史的な原油高騰を現出したという点で、まさに芸術的な仕業だ。

下記に、投機筋による原油高騰は、ゴールドマン・サックスによる計画的なものであるとする記事2つを挙げる。

石油高騰の謎 (’08年5月14日)

http://tanakanews.com/080514oil.htm

原油価格高騰の謎を解く【中編】 (’08年7月18日)

http://keyboo.at.webry.info/200807/article_4.html

世界における基軸通貨の最も重要な基礎条件とは、「軍事力」「エネルギー支配力」「食糧支配力」「通貨がどこでも使えるか」の4つだとされるが、アメリカの経済謀略で、大幅なドル安を招く原油高騰を実行しても、ドルの基軸通貨の地位は堅持されるという読みの根拠として、ユーロに基軸通貨としての「基礎条件」が全くない事が挙げられる。

更に、アメリカ最大の切り札として、21世紀最大の戦略物資である食糧の供給体制を独占しているという事実は、来たるべきBEF時代(バイオ・石油・食糧)におけるアメリカの一人勝ちを物語る。軍事力の増強を図る人口13億の、食糧輸入国の中国など、アメリカの食糧戦略いかんによって、国内を分裂させるも政権を温存させるも、アメリカの手中にある。

「21世紀を支配する穀物メジャー『カーギル』 ―アメリカの最大の切り札―」(2008年8月3日)

http://otd9.jbbs.livedoor.jp/911044/bbs_plain?base=360&range=1

■関連リンク

「ゴールドマン・サックスは、アメリカ経済支配層の政治的目的と共謀して、サブプライム危機を計画実行したのではないか」(2008年3月17日)

http://www.asyura2.com/08/hasan55/msg/685.html

「中国株の大暴落で中国共産党政権は転覆されるか―『有事に強いドル』は有事を計画的・意図的に作り上げる―」(2008年3月14日)

http://www.asyura2.com/08/hasan55/msg/658.html

原油下落と 『ドル』 上昇のシュミレーション(2008年3月22日)

http://www.asyura2.com/08/hasan55/msg/807.html