日高義樹著、『オバマ外交で沈没する日本』(2009年6月刊)の第1章から、オバマ政権の北朝鮮政策の実情に関した基本的背景の一部を以下に紹介。



オバマ政権には、北朝鮮問題の専門家がいない。政権が替わり、クリストファー・ヒル代表の後に北朝鮮政策の担当者となったボスワース特別代表は、タフツ大学の国際学の専門家だ。しかし、大学運営の難しい問題をかかえ過ぎているボスワースは、北朝鮮政策の担当者としてはパートタイマーだと、ワシントンの日高氏は言っている。



北朝鮮は、「通信衛星」の打ち上げと銘をうち、テポドン発射を2009年4月4日から8日の間に予告してきたが、日本時間の午前11時30分に青森県にあるアメリカ陸軍の特殊レーダーが探知したテポドンを、チェコのプラハのホテルにいたオバマ大統領は、「ミサイルを打ち落とすな」と命令した。



プラハのホテルのオバマの部屋は、衛星同時中継でペンタゴンとホワイトハウス地下二階にあるシチュエーションルームと即応体制でつながっていた。アメリカ側は、軍関係者をはじめ、単純な軌道を一直線に飛んでくるテポドンを迎撃し、打ち落とすことにかなりの自信を持って臨んでいたと言う。



プラハでオバマが下したテポドン迎撃の拒否により、オバマ政権は北朝鮮に対する基本政策や外交政策を全く持っていないと見なされた(それから1年余り、パートタイムのボスワース特別代表は交替することもなく在任している)。



アメリカ外交のトップで、ボスワースの上にいるクリントン国務長官は、2007年、国務省の官僚とともに、マカオのデルタ銀行に隠されていた金正日の麻薬資金を北朝鮮へ返すことに賛成するなど、北朝鮮に同情的な発言をするとされる政治家だ。現在アメリカ外交の主導権は、平和志向を持ち国際協調を旨とする国務省のリベラル派が握っているが、対北朝鮮強硬派のジョン・ボルトンは「北朝鮮政策は、国務省のリベラル派に乗っ取られてしまった」と言っているそうだ。





次回は、共和党も含めたアメリカの今後の北朝鮮政策と朝鮮半島戦略を推測し、今回の北朝鮮による哨戒艦沈没事件が、今後どういう展開になるのかを考えてみたい。経済情勢いかんにより、ユーロ問題や世界経済危機の深化の方は、常日頃からネット記事を追って見ているので、予定が変わる事もあるかもしれません。