5年ごとに改定されるSDRの通貨割合が、来年2011年に改定される。

おそらく、その次の2016年の改定をスケジュールに入れての発表だと思うが、2009年4月に中国中央銀行の周総裁が発表した「SDR構想」は、現在4カ国の通貨バスケット(ドル44%、ユーロ34%、円11%、ポンド11% )で構成されるSDRに、中国の元を組み入れるというものだ。

先月、6月18日、ロシアのメドベージェフ大統領は、サンクトペテルブルクで開かれている「国際経済フォーラム」で講演し、ルーブルについて、新たな準備通貨を作り出すなどという考えは「ほんの3-5年前までは、まったく幻想でしかなかった」とした上で、「われわれは今、それを真剣に議論している」と語り、

「中国との間で議論を続けていることを明らかにするとともに、世界には6種類程度の準備通貨が必要ではないか」

との考えを示した(プラス2:ロ・中)。そしてそのために「モスクワを世界の金融センターに育てることを目指す姿勢を新たにするとしている。(6月19日 ブルームバーグ)

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920010&sid=a1g6YKJV0UpA

2008年9月のリーマン・ショック以降、世界の各国政府は膨大なカンフル剤的な財政出動を行ったが、今年春のギリシャ債務危機を契機に、6月に入り欧州を中心として大緊縮政策に潮目が転換した。

一方現在、株式市場からリスク回避するマネーが金や債権市場へシフトしているが、この先この債権市場から更に、今はおとなしくしている石油・穀物などの商品市場へマネーが向かうというのが、経済アナリストである朝倉慶氏の予測だ。この3年間、朝倉氏の予測は、リーマン・ショック以前から基本線でほぼ当たっている。

http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/31241599.html

但し、借金隠しのギリシャ債務問題のために米国債買いが進んでおり、最終段階ともいえる朝倉氏が言う「商品相場の急騰開始」は未だその時期が遅れている。

投資家のジム・ロジャーズは、石油をはじめとする商品市況の長期的な強気相場を予測する投資家として知られるが、商品相場の急騰が開始したら、石油産出国ロシアの覇権は飛躍する。

冷戦終結後、1990年代を通じて経済の停滞が続いたロシアの国力は、1990年後半からの原油価格上昇で再び台頭を始めた。サウジアラビアに次ぐ石油埋蔵量を誇り、石油供給次第で世界の原油高に大きな影響を与えるロシアは、本格的な大恐慌時代に突入すれば、世界的覇権を向上させるだろう。このほかに、サウジアラビアを筆頭に中東全域のシーア化を目論む天然ガス・石油国のイランと、ベネズエラなどの中南米の反米資源国の台頭も警戒するべきだ。

「モスクワを世界の金融センターにする」というのは、ブッシュ政権中頃プーチンが言い出したことだが、当時の私はこれを知って失笑した。しかしメドベージェフの言うように、ドルの役割低下が進み、世界的ハイパーインフレも懸念される現在、ルーブルのSDRへの組み入れは、下降局面に入っている中国経済の元よりも、将来的に現実味を帯び始めている。

ハーバード大のケネス・ロゴフ教授は、その著書や雑誌インタビューの中で、リーマン・ショック以降の世界における国家破綻の連鎖を予測し、「過去、世界経済は何度も金融危機に見舞われたが、多くの場合、2,3年後あたりから、ソブリン・デフォルトの波が押し寄せた」と警告している。ロゴフ教授の研究は、欧州、北米、南米、アジア、アフリカ、オセアニアの66ヶ国の数世紀に及ぶデータを精査したもので、1930年代時の世界大恐慌では、世界の国の半分がデフォルトに陥った事実を指摘した。(『裏読み日本経済』 朝倉慶著 2010年2月刊)

DOMOTO

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http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html