(※ 「東南・東アジアの膨大なドル資産と人民元の台頭 ―南・東シナ海での中国の国家戦略③―」の続き)

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    ■ なぜ中国共産党はドル支配体制を打倒せねばならないのか



これらはアメリカにとってドル経済体制に対する極めて重大な挑戦だ。

しかし、13億4千万の人口を抱える中国共産党にとってドル経済体制に対する挑戦は、国家の社会体制を維持するための高い必要性から生じてくるもので、ファーガソン教授らが主張する「米中の利害対立の拡大」は極めて必然的で不可避なものになってくるだろう。

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中国共産党政府は、景気変動による大量失業で社会秩序が悪化に陥らないようにするために、毎年最低8%以上の経済成長を義務づけられている。世界中から石油を掻き集めるのも、鉄鉱石を掻き集めるのも共産党政権の維持のためだ。



米ハドソン研究所のデータでは、中国の老齢化は急速に進み、60才以上の人口は、2020年には17.1%、2030年には国民の約4分の1の23%と推計されるという(今年5月に発表になった日本の65才以上の人口が全体の23%)。1人の老人を支える労働者の比率(依存比)で見ると2006年の5.2が、2030年には2.2へ急上昇。中国には労働者2.2人で老人1人を養う、つまり9億の労働者が4億の老人を養う時代が待っている(注1)。中国共産党は急速に進む高齢化社会へ向けて、全くなおざりにされてきた社会福祉体制の恒久的財源を確保せねばならない。



現時点で明らかな事は、中国共産党政府は、広大な中国国内の社会秩序を未来にわたって維持するために、「ドル」と類似した「人民元」の還流経済システムを少なくともアジア圏で作ろうとしている事だ。世界最大の経済成長力をもつアジア圏での人民元基軸通貨体制は、必然的に世界を支配しているドル体制を瓦解・崩壊させる。(※ アジア圏でこの問題を考える場合には、中国のインド政策、中印関係について検討しなければならないが、インドとの問題についてはまたの機会としたい。)



「DNA」(新ドル圏)諸国の特徴は、サウジアラビア、クウェートが含まれるようにアメリカの軍事力と政治力に依存している事だ。中国はこのアジア圏で人民元を基軸通貨にするために、その必須条件である「軍事力」をアジア圏でより一層高めなければならないが、それはアメリカ第七艦隊との覇権争いを意味する。





  <<続く>>





■(注1)『アメリカの日本潰しが始まった』第5章 P.190 (日高義樹著 2010年3月刊)



■ 関連リンク

 「東南・東アジアの膨大なドル資産と人民元の台頭 ―南・東シナ海での中国の国家戦略③―」 (8月25日)

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 「始動する人民元の国際通貨化 ―南・東シナ海での中国の国家戦略②―」 (8月19日)

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