②日米軍事同盟は、日本国債暴落の前までの暫定的同盟となった―中国による植民地化へ進む日本―

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(上写真は最新鋭無人偵察機、RQ-4 グローバルホーク サムネイル左写真はCNASのパトリック・クローニン)

<下記リンクからの続き>

「①日米軍事同盟は、日本国債暴落の前までの暫定的同盟となった ― 中国による植民地化へ進む日本 ―」

http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/34222861.html

さて、現在の東アジア情勢を見ると北朝鮮問題ではアメリカ主導の米韓日の緊密な連携が図られ、日米同盟も強化に向けた取り組みが進められ、対中戦略といわれる日本の新防衛大綱・中期防計画が昨年12月に改定された。

民主党が策定した新防衛大綱の骨格は、民主党政権と防衛省の日本政府が主導して策定したものではなく、アメリカのオバマ政権の政策集団に要請されたものであるようだ。

東アジアの安全保障問題を取り仕切っているカート・キャンベルらが2007年に共同で設立したCNAS(新アメリカ安全保障センター)は、オバマ政権の、特にアジア政策に影響力を持つ。CNASの主要スタッフ、上席研究員パトリック・クローニンは、アメリカ国防大学(NDU)の国家戦略研究所(INSS)の元所長で、昨年9月の尖閣問題で東アジア情勢が動揺した以降から、その発言と活躍が目立ち始めた。

クローニンは日米同盟の回復を強調し、11月下旬から再び緊張が始まった北朝鮮問題では、ブッシュ政権では見られなかった、「米韓日の軍事的・外交的な連携を最優先させることによって中国と北朝鮮を動かすテコにするという基本的な外交戦略」(産経)をとっている。

The Promise of Trilateralism in Asia (12月8日)

http://www.cnas.org/node/5408

1月19日に予定されている米中会談では、米韓日の緊密な連携を強化しながら、6カ国協議の再開には安易に応じない立場を明確に示すそうだが、北朝鮮問題を米中関係の緊密さへつなげてしまう中国のこれまでの外交戦術は変わらないだろう。

パトリック・クローニンの数本のレポートは、CNASサイトから入手できる。

http://www.cnas.org/asia

私は未だ目を通していないが10月27日に公開された、”The Japan-U.S. Alliance and the Liberal International Order” は、日米の有識者からなる研究レポートで、アーミテ―ジ元国務副長官、前米太平洋軍司令官キーティングが名を連ねている。

尖閣問題の後の、この”The Japan-U.S. Alliance and the Liberal International Order”のレポートについての解説記事が、公開と同日にウォールストリート・ジャーナル日本版に掲載されている。

「米安保政策シンクタンク、米日同盟に新たな提案」(10月27日)

http://jp.wsj.com/japanrealtime/2010/10/27/%E7%B1%B3%E5%AE%89%E4%BF%9D%E6%94%BF%E7%AD%96%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%80%81%E7%B1%B3%E6%97%A5%E5%90%8C%E7%9B%9F%E3%81%AB%E6%96%B0%E3%81%9F%E3%81%AA%E6%8F%90%E6%A1%88/

この記事でCNASの報告書が日本に対してストレートに要求している「長距離無人航空機やディーゼル攻撃潜水艦、機雷の増備」は、CNASのサイトでクローニンが主張している。「長距離無人航空機」とはアメリカの最新鋭無人偵察機「グローバルホーク」のことだ。このほかこれまで進めてきているミサイル防衛での技術開発協力についても主張している。

U.S.-Japan Alliance is Ripe for Renewal (11月15日)

http://www.cnas.org/node/5321

Japan’s Next Stage of Military Expansion: Drones? (11月15日)

http://www.cnas.org/node/5322

このウォールストリート・ジャーナルの解説記事だけでアメリカが何を考えているのかを理解するのは、少し難しいと思う。先に挙げた私の10月23日のブログ、副題「米軍の新アジア・太平洋戦略」を参考にしてもらえれば分かりやすいと思う。

http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/33607093.html

ウォールストリート・ジャーナルの記事では、現在のアメリカと日本の二国間関係は「戦略的環境が先例なきほどに複雑化するなか、転換期を迎えている」と記されている。

実は、尖閣問題以降の日米同盟の深化にアメリカが積極的であるのは、リーマンショックによるアメリカの財政難から大幅な削減が始まった国防予算の削減から来ている。

ゲーツ米国防長官は1月6日、2012会計年度(11年10月~12年9月)から5年間で国防予算を実質約6兆5000億円削減する方針を発表した。陸軍と海兵隊の兵力を合計で最大約4万7千人縮小する計画を含める(日経 1月7日)。

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE2E5E2E39C8DE2E5E2E3E0E2E3E39C9CE2E2E2E2;at=ALL

「米軍の新しいアジア・太平洋戦略」は、理論的には在日米軍を撤退させてもアメリカ単独で中国と北朝鮮との戦争に勝利しうるものであるが、今年7月撤退開始によるアフガニスタンとパキスタンの情勢の混乱、イエメンを拠点とするアルカイダとイランによる中東情勢の混乱などの今後の多正面作戦を浴びせられているアメリカは、北東アジア情勢における軍事コストを少しでも削減したい。

最新鋭無人偵察機グローバルホークは製造費用が高額であり、グアムでの配備は当面3機体制だ。アメリカと中国の海軍における軍事力の優劣は、潜水艦戦力が多くを決定すると思われるが、憲法9条の制約がある日本の自衛隊でも、ディーゼル攻撃潜水艦を偵察監視と哨戒任務の役割で使えばいい。

「中国・北朝鮮を監視…無人偵察機の導入検討」(12月30日 読売)

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20101229-OYT1T00786.htm

このようにアメリカの国防予算で賄っていた中国軍への偵察・監視任務の役割を日本が負ってくれれば、アメリカのアジアでの軍事コストはかなり削減できる。「米軍の新しいアジア・太平洋戦略」では、リアルタイムの偵察・監視の能力を向上させることが「エアシーバトル戦略」の重要な目標の一つであり、その情報を基に米軍によるリアルタイムの攻撃が可能になるからだ。

■ ④ 日本国債暴落と中国による植民地化

さて、日本国債金利の急騰はもう時間の問題で、カウントダウンの段階に入っている。

団塊の世代が年金受給者となる2012年から、年金基金の財政は厳しくなる。日本国債の投資家別の保有比率を見ると公的年金が11.6%を占める。

また国内銀行の預貯金残高の25%を占める郵貯の貯金額は、2000年の260兆円から十年後の2010年には175兆円へとひどい落ち込み方をしている。この175兆円の内、155兆円が日本国債だ。

2012年の団塊の世代の年金受給の開始により公的年金と郵貯が国債の売り手に回り、国債金利が急騰するのは時間の問題だ。(『2011年 本当の危機が始まる! 』 朝倉慶著 2010年11月刊)

また、最近になってマスコミは金属資源価格と石油価格の上昇を騒ぎ始めたが、一部の投資家や経済アナリストはリーマンショック後の2009年の時点でそれらをいち早く警告していた。

尖閣問題がおきる以前から、中国によるレアアースの値上げを警告していた経済アナリストの朝倉慶氏は、2011年には銅、ニッケル、アルミ、鉛などの非鉄金属の価格急騰=「メタルショック」が世界を襲うと警告している。エコカーには1台当たり60~70グラムの銅が使用される。資源分野における国家的な戦略的政策が脆弱な日本政府の下で、日産やトヨタなどの日本企業は、またしてもリーマンショック前と同様な空想的売上げの皮算用をしている。

「メタルショック」による輸出企業の大幅な赤字は日本の税収の減少に追い討ちをかける。

そのような、個人破産寸前の多重債務者と全く変わらない日本との同盟を進めているアメリカにとって、同盟を進めるそのメリットとは一体、何なのだろう。

① 国債暴落前の日本から米国の軍需産業への利益誘導を図ると同時に、米国の北東アジア地域にかける軍事コストの削減につなげる。

② 米国のより優先的国益の地域である南シナ海、東南アジアでのプレゼンスを強化していくために、日米同盟は暫定的に必要である。

①については先程、「グローバルホーク」導入の検討と潜水艦導入などが新防衛大綱に盛り込まれたことを見てきた。②についてはアメリカ政府の元安全保障当局者が、「日米同盟が弱まり、在日米軍が撤収する事態になれば、韓国やベトナム、その他の東南アジア諸国は相次いで中国の勢力圏に組み込まれるだろう」と予測している(1月6日 日経)。

①、②によるアメリカとしてのメリットも、日本国債が暴落するあと数年という限定期間内でしか有効性がない。日本国債暴落後の復興の見地からは、アメリカは「あと数年という限定期間内での日米同盟」として日本を考えていると見るべきだ。

アメリカ政府のヘッジファンドとも呼ばれるゴールドマン・サックスを含めて、「外資は、日本国債暴落前には日本での資産を全部売り払う必要性から、日銀、大手金融機関、郵貯、公的年金の内部情報を十分に監視しているはずだ」(前出朝倉書)。

ヘッジファンド、グリーンライト・キャピタルのデビット・アイホーンは、現在日本でも投資家を募り、日本国債の暴落で大儲けを狙っている。

冒頭で米国債のデフォルト懸念に関する記事をとりあげたが、ネットでは、日本国債が暴落する前に米国債が暴落するという意見をよく目にする。しかし、現在95%が国内消化されている日本国債は暴落時に買い支えてくれる者がいない。それに反して米国債の暴落過程では、中国をはじめとして世界の多くの債券国が買い支えの介入に入るはずだ。

日本の国債暴落後は、アメリカも関わってくるであろうが、中国による日本への大規模な財政・経済支援による日本の大植民地化の計画を、中国共産党が画策し狙っている兆候はすでにおきている。

「今年、日本の保守系市民団体は反中デモを実施。在日本中国大使館に向かった。日本の保守系メディアも一年中、『中国が日本を買い占める』と警告している。日本の不動産、森林資源から誰も住んでいない無人島まで、だ。」(2010年12月26日 Record China)

http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=48049&type=1

DOMOTO

http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735

http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html