①共和党候補ケイン氏と金本位制コネクション

目次

■ ① 共和党候補ケイン氏と金本位制発言

■ ② ヘリテージ財団と金本位制コネクション

■ ③ ドルとユーロと金のリンク

今年に入ってからのアメリカの金本位制への議論とその動きをレポートしている日高義樹氏(米ハドソン研究所首席研究員)は、10月の新刊のあとがきで次のように述べている。

このまま基軸通貨ドルの力が減少し続ければ、アメリカの保守主義者たちの間から、金本位制に近い形を使ってドルを基軸通貨として維持させようとする動きが強くなって出てくるだろう(要約文:注-2011.10.日高)。

現在の世界経済では金本位制は成り立たないので、「部分的に金を使用して通貨体制を再構築する」という「修正金本位制」の考え方を8月に阿修羅サイトで紹介した。

「世銀総裁の「修正金本位制」発言 と 世界主要国の中央銀行の金への急速なシフト-」 (2011年8月3日)

http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/616.html  (阿修羅サイト)

http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/35472860.html  (修正加筆版)

アメリカの各州では金や銀を鋳造することや通貨として流通させること、税金を金や銀で支払うことなど、ドルから金へとの流れが州単位で、法制化される動きが活発になっている。ユタ州、バージニア州、モンタナ州、ジョージア州、アイダホ州、コロラド州、インディアナ州、オクラホマ州、テネシー州など、米国各州に金本位制に向けた実験的な動きが水面下で始まっている。(『2012年、日本経済は大崩壊する』 朝倉慶 2011年7月刊)

また現在アメリカでは、様々なサークルやアメリカの大学生の間で、インターネット上での金本位制の議論が活発に行われているそうだ。

■ ① 共和党候補ケイン氏と金本位制発言

「米紙ニューヨーク・タイムズとCBSテレビが25日発表した合同世論調査結果によると、来年11月の米大統領選に名乗りを上げた共和党候補者の党内支持率は、実業家ケイン氏が25%でトップとなった。2位は21%のロムニー前マサチューセッツ州知事。」(10月26日 時事通信)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111026-00000023-jij-int

9月下旬から支持率が急上昇していた、元ピザチェーン経営者の黒人ハーマン・ケイン氏が、ついに党内支持率トップとなった。

いまアメリカでは、米共和党候補者の間で大統領選を向かえたうえで示唆されている、金本位制への復帰についての発言が注目されている。ケイン氏は先月9月に、金本位制への復帰についての発言を示唆し、「(米国経済の再建のためには)金本位制が必要である」と発言したそうだ。

Herman Cain, the former pizza executive who is now a popular Republican contender, hinted last month that he would like to return to a world where “a dollar is a dollar” and added that “yes, we do need a gold standard for that”.

Is there a shadowy plot behind gold?  (10月21日 フィナンシャルタイムズ)

http://www.ft.com/intl/cms/s/2/90effa18-faa3-11e0-8fe7-00144feab49a.html#axzz1bhnSOc6C

先週以降では、米共和党系の代表的な雑誌サイト「ウィークリースタンダード」で、共和党候補者に挙がっているハーマン・ケイン、ニュート・ギングリッチ、ロン・ポールなどが金本位制への復帰が望ましいと示唆する発言をしていることを取り上げた。そして同時に金本位制の対極にあるFRBの金融政策のあり方を批判している。この記事はCBSサイトにも掲載された。

Republicans Learn Moneyball (10月17日 The Weekly Standard)

http://www.weeklystandard.com/articles/republicans-learn-moneyball_595929.html?page=1

GOP candidates need to talk more about the Fed (10月17日 CBS)

http://www.cbsnews.com/stories/2011/10/17/opinion/main20121287.shtml

FRBの金融政策のあり方を批判するのに、ケイン氏など共和党候補者たちが示唆する金本位制に触れる論調は、10月24日付のワシントンタイムズにも見られる。

Focusing on the Fed

http://www.washingtontimes.com/news/2011/oct/24/focusing-on-the-fed/

いまの段階で、活字メディアとしてハーマン・ケイン氏を全面的に支援しているのは、世界長者番付などで知られるアメリカの経済誌『フォーブス』だ。最近の『フォーブス』では、金本位制の回帰を目的とする団体組織「American Principles Project」のスタッフや、レーガン政権時のスタッフ(金本位制を計画していた)、アメリカの大学で金本位制を研究する学者などのコラムニストの記事が目につく。

金本位制の回帰を目的とする団体組織「American Principles Project」は2011年に「ゴールド・スタンダード・2012キャンペーン」を立ち上げた。前出のフィナンシャルタイムズの記事によると、「American Principles Project」は、金本位制への復帰の問題を2012年の大統領選での争点にするために全力を挙げているという(「American Principles in Action」とは「American Principles Project」のこと)。

A group called American Principles in Action created a Gold Standard 2012 platform last year and is now fighting to make these issues an election issue next year.

10月17日のフォーブスによれば、「American Principles Project」のチャールズ・カドレック氏が、すでにケイン候補の経済チームに加わっているという。

Why I Support Herman Cain For President

http://www.forbes.com/sites/charleskadlec/2011/10/17/why-i-support-herman-cain-for-president/

American Principles Project

http://americanprinciplesproject.org/

「フォーブス」で金本位制に関する記事を執筆する者や「American Principles Project」のスタッフの学歴を見ると、経済学が専門でないにしても社会科学系のハーバード大学の卒業者も多い。

日高氏は、金価格の高騰について日本人が基本的に見落としている大きな問題として、「欧米では、金がキリスト教と神に強く結びついている」ことを挙げている。「ティーパーティーの人々の中には、こうした宗教的な意味合いから資産として金を信じている者が多い」(注-2011.10.日高)。ケイン氏は、そのティーパーティーからも強い支持を得ている。

<「②共和党候補ケイン氏と金本位制コネクション」へ続く>

http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/35937898.html