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米英格付け機関は8月までに発表される日本の財政再建計画と、来月6月に日本政府によって発表される成長戦略を非常に注視している。

4月4日の黒田日銀総裁の「異次元緩和策」決定の発表を受けて、格付け会社S&P(スタンダード&プアーズ)とムーディーズは、安倍政権下での日本経済に対する見解を表明。それらのレポートの概要をロイターが伝えている(※ 格付け機関のレポートはフリーファイルではない)。

まずS&Pについてはロイターが、

日本ソブリンの先行き信用力、政府の経済再生戦略が成否=S&P (4月23日)
http://jp.reuters.com/article/jpeconomy/idJPTYE93M01P20130423

S&P says more than 1/3 chance of Japan downgrade, cites risks to Abenomics (4月22日)
http://www.reuters.com/article/2013/04/23/japan-sp-idUSL3N0DA0ID20130423

これらの記事のなかでS&Pは今回、日本国債が格下げされる可能性が3分の1以上であるとしている。

ロイターの日本語版では「格付けのアウトルックは引き続きネガティブで、格下げとなる確率が3分の1以上との見方を変えていない」となっているが、S&Pが日本国債に対して「格下げ確率を3分の1以上」と言及したのは、アベノミクスが動き出してからの今回が初めてのはずである。日本語版のこの箇所は誤りだと思う。英語版では最初の書き出しはストレートである。

「スタンダード&プアーズは火曜日に、日本国債を格下げする可能性を3分の1以上とした。その理由は経済成長の回復とデフレの終息が成功するかどうか不確実なためである。」

(安倍政権発足後の2月18日の報道では、S&Pによる「格下げの可能性3分の1以上」の言及はなく、アウトルックの方はネガティブとし据え置いていた。今回、ロイターのほか米金融専門局CNBCのサイトでも「格下げは3分の1以上の可能性」を記事のタイトルに入れて報道している。)
(S&P:日本国債格付けを据え置き−見通しは引き続き「ネガティブ」 2月18日 ブルームバーグ)
 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MIEF8C6JIJUV01.html

そしてムーディーズの方の見解は、アベノミクスに対しS&Pよりもさらに厳しい見方のようである。

「(日銀の)緩和策は、信頼に足る構造改革および財政再建計画を日本政府が実施するまでの時間稼ぎにしかならないとの見解を示した。
また、日銀の大胆な緩和にリスクがないとは言えず、成長を促進できなかったり、日本国債市場の不安定化につながったりした場合には、国債利回りの上昇をもたらす可能性もあると警告。」

(日銀の緩和策、構造改革が実施されるまでの時間稼ぎ=ムーディーズ / 4月8日 ロイター)
 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE93701Q20130408

そして下記の記事は、ムーディーズ・シンガポールの上級副社長らによって書かれた記事の抄訳であるが、ムーディーズが4月4日に出した“Credit Analysis Japan”という題名のレポートの一部を説明している(括弧内は私が補足した)。

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Moody's: Japan's rating reflects affordability of government debt (4月9日 ムーディーズ・シンガポール)
http://www.moodys.com/research/Moodys-Japans-rating-reflects-affordability-of-government-debt--PR_270137

もし持続的な財政構造が整わないならば、日本国債への信用が最終的に揺らぐだろう。
日本の現在の状況において、最も深刻なリスクは日本国債の資金調達の危機であるだろう。私たちは日本の低コストな資金調達に、やがて危険にさらされる転換点がくるだろうと見ている。
(中略)
日銀は大胆に(政府と)協調的な政策を始めているが、今の円安の流れにおいて、経済の再浮揚に対する円安の効果は長続きしないだろう。またこの円安の流れは、信用度のある財政強化政策と補完的な供給サイドの経済改革が行われないまま、その意図するのとは反対に否定的な結果を導くかもしれない(“may lead”:約50%)。

安倍晋三首相の政策は今のところ順調である。それらは国内を対象に向けられたものではあるが、円安の進行は輸出と企業の収益性を押し上げている。しかしながら、その早急な活況は一時的なものでありそうだ。

それゆえ安倍政権から年央(6〜8月)に発表される中期的な財政再建計画と成長戦略は、今後の日本の信用度を示唆することになるだろう。つまり、より速いペースの経済成長が期待できれば、財政問題は今より管理しやすくなる。しかし一方、弱い経済成長が続き、累積債務が増えていくようであれば(国債の)信用度は否定的なものになるだろう。

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このムーディーズの記事では、円安による経済の浮揚効果は長続きしないという見方をしている。この円安の進行について大手金融機関クレディ・スイス証券は今年2月、3月のレポートでムーディーズ以上の悲観的な見方をしており、円安による輸出数量の伸びは限定的なものであり、現在の日本では、円安の進行は趨勢的に貿易赤字を悪化拡大させる方向へ作用すると分析している。
(クレディ・スイス証券:「日本経済分析」・「日本経済アドバイザー」シリーズ 日本語版)

クレディ・スイス証券:円安による輸出増は限定的=「円安で貿易赤字は拡大へ」「赤字構造が定着した貿易収支」= (5月6日)
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/721.html


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