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http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/37842380.html

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世界的なヘッジファンドの一部に限られた動きである。

(中略)

これが国債市場にとって、一番危険なシナリオだ。この話は、まもなく刊行される拙著「ハイブリッド・バブル」で詳細に分析したが、重要なのは、まともな投資家が国債市場から退出し、乱高下をチャンスととらえるヘッジファンドなどが、国債市場の取引ウェイトを上げていくということが起きていると言うことだ。これは、長期的には、国債市場を日銀だけが買い支える安楽死へと向かわせることになる。

(中略)

危険な流れが金融市場に生まれている。

株価上昇の裏で進む「日本売り」のシナリオ―国債価格の乱高下で明らかになった、危険な兆候-(小幡績 5月16日 東洋経済)

http://toyokeizai.net/articles/-/13983

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■ 結: 日銀と世界最大級のヘッジファンド

久保田氏は前述の5月15日の記事のなかで、「ここで注意したいのは、10日の欧米の債券市場でも国債利回りが上昇していたことである」と指摘している。5月10日の日本の国債市場で利回りが乱高下した同じ日に、米国、ドイツ、フランス、オランダ、オーストリア、英国でも、大幅に国債利回りが上昇していた。

この10日の世界同時(同日)の大幅な利回り上昇があった事実からは、ヘッジファンドの中でも世界的規模で売買を行うグローバル・マクロファンドがすでに日本の<国債市場>に参入している可能性が考えられる。2月のフィナンシャル・タイムズでは、日本の<株式市場>にグローバル・マクロファンドが参加しており、それらのグローバル・マクロファンドが、やがて日本で起こるであろう債券から株式への資金の流れの中で大儲けを狙ってくる可能性が示唆されていた。

安倍トレードで復活するマクロ・ヘッジファンド (2月14日 フィナンシャル・タイムズ)

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM14053_U3A210C1FF1000/

日本への参加が予期される(またはすでに参入していると思われる)<国債売り>のグローバル・マクロファンドの代表といえば、レイ・ダリオが率いる世界最大級のブリッジウォーターが筆頭として挙げられるだろう。ブリッジウォーターは2011年の世界のヘッジファンド業界でトップの最高収益を上げている。

レイ・ダリオは2012年12月にニューヨークタイムズが主催した「DEALBOOK」と呼ばれた投資討論会で、「債券の空売りは最大の投資機会だ」と公言し、米国メディアの注目を浴びた。5月16日の米CNBC放送でもキャスターやコメンテーターから「彼は転覆を予測している、グランド(グレート)・ローテーションのことだ」とコメントされている(※ 「グレート・ローテーション」:大循環。債券から株式などへの世界的規模の資金のシフト)。

Biggest Opportunity Will Be Shorting the Bond Market: Dalio (12月12日/2012年 CNBC)

http://www.cnbc.com/id/100307150

[Video] Dalio Cash & Bonds ‘Terrible’ Investments (5月16日 CNBC)

http://video.cnbc.com/gallery/?play=1&video=3000169330

Ray Dalio Cash, Bonds ‘Terrible’ Investments (5月17日 ValueWalk)

http://www.valuewalk.com/2013/05/ray-dalio-cash-bonds-terrible-investments-video/

レイ・ダリオは、2012年には米国債とドイツ国債と日本円に対して売りポジションで高収益を収め、今年初めのアベノミクスの開始とともに大規模な円売りを行って多大な収益を得ている。3月20日の米金融投資サイト・バリューウォークによれば、アベノミクス開始以降、大量の円売りをしている米国の2大マクロファンドとしてフォートレス・インベストメントとダリオのブリッジウォーターが挙げられている。

Fortress Joins Many Other Hedge Funds Shorting The Yen (3月20日 ValueWalk)

http://www.valuewalk.com/2013/03/fortress-begins-shorting-yen-possible-further-weakness/

Ray Dalio’s Bridgewater Shorts Japanese Yen (2月13日 ValueWalk)

http://www.valuewalk.com/2013/02/ray-dalios-bridgewater-shorts-japanese-yen/

またダリオのブリッジウォーターは、ウォール街で「グレート・ローテーション」の議論が活発に行われた今年1月から、積極的に世界各国の株式を買い上げている。

日銀は5月23日の国債金利の急騰で、2.8兆円の資金供給を市場へ通知し金利の混乱の応急措置を図ったが、日銀が、金利が上昇するたびに国債買入れオペを増額していけば、それはより多くの海外投機筋を集め、最終的にヘッジファンドなどに収奪され、日銀はヘッジファンドや外資にとって「大量のマネーが噴き上がる収益源」となる。

前述のフィナンシャル・タイムズで、「潜在的な次の収益源」として日本の国債市場をヘッジファンドがターゲットにし始めているとジョウンズ氏が言ったのは、まさにこのことだ。

黒田総裁も安倍総理も「市場との対話をしていく」「市場関係者との意見交換をしていく」と繰り返しているが、ヘッジファンドや海外投機筋と会話し意見交換することなどできるわけないのだから、すでに無策に陥ったと同然だ。

■ 関連記事

日本の国債市場の混乱は、もっと激しくなる (5月17日 東洋経済)

http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/805.html

■ 関連記事: 拙稿

S&P:「日本国債の格下げは3分の1以上の可能性」 ムーディーズ:「アベノミクスの活況は一時的なもの」(2013年5月9日)

http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/735.html

クレディ・スイス:円安による輸出増は限定的=「円安で貿易赤字は拡大へ」「赤字構造が定着した貿易収支」(2013年5月6日)

http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/721.html

「安倍総裁は『借金爆弾』大爆発の引き金を引く」-と国債暴落の仕掛け人カイル・バスが予告(2012年12月1日)

http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/699.html

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