プーチンはいつ再び武力を行使するか

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相変わらずプーチンが強気な行動を続けています。
 
焦点:強気姿勢崩さぬプーチン大統領、ウクライナ情勢緊迫で思惑も (1/29-2015 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jpRussia/idJPKBN0L20S220150129?sp=true
 
有料メルマガ1月22日号でお伝えしましたが、現在のプーチンはウクライナ問題と自国経済の悪化のなかで、中東地域と地中海への戦略・政策へも力を入れています。それが目立ち始めたのは昨年の11~12月のようです。2014年のアジアシフトからの更なるシフトです。
 
【◆◆以下の記事は有料メルマガ1月8日号の一部です】
 
    【2】 プーチンはいつ再び武力を行使するか
 
※ この節はメルマガ12月11号の、『プーチンは経済成長を捨てて侵略する選択を』の続編にあたります。
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39183999.html(ブログ版)
 
大幅な原油下落で経済的な苦境にたっているロシアのプーチンは、いったい何を考えて行動しているのでしょう。
海外のアナリストには、プーチンのいまの最悪な状態がこのまま続くと見る人もいれば、現状打破の手段として武力行使に出てくると見るアナリストもいます。私はプーチンという政治指導者の資質と性格から後者の見方をとっています。
 
後者のアナリストのなかには、ロシア経済の悪化が深まるなかで、プーチンが軍事力を行使して権力の延命を計るのはいつぐらいの時期かに言及している人もいます。
 
戦略国際問題研究所のアンドリュー・クチンス氏は、CNNへの寄稿記事でこう言います。
 
『プーチンより前のロシアの指導者ミハイル・ゴルバチョフとボリス・エリツィンが、主に国家経済の経済的困窮という結果で最後には不人気になったのと全く同じように、長期にわたる経済の下降は、クリミア併合の強い高揚感の後の現在の人気の高まりを深くむしばんで(侵食して)いくだろう』
 
Will economy be Putin’s downfall? (12/07-2014 CNN)
http://edition.cnn.com/2014/12/07/opinion/kuchins-putin-economy-problems/
 
この指摘から、いまのプーチンの高い支持率は(伝えられるところでは80%)、<領土拡大の興奮>からまだ国民が覚めていない部分が大きいことがうかがえます。
 
クチンス氏は記事の最後の方でこう言います。
 




プーチンが2012年に大統領に戻った時、ほとんどのロシア人と海外の観測筋は、彼の任期は少なくとももう12年続くことを(2024年まで)あきらめて観念したように見えた。しかし、現在の状況では、最近の出来事が2018年の彼の再選に疑問を投げかけるだけでなく、もし経済的下降が続くならば、2016年に予定されているロシアの国会議員選挙はそのシステムをぐらつかせるだろう(訳注:ロシア下院選挙)。
 
ロシアの歴史を学ぶ学生なら誰でも、ロシアの進路はしばしば非直線的な出来事によって妨害されるという事を知っている。そして現在、もうひとつの出来事が(訳注:侵略)この先数年後に起こるだろうという危険性が、ますますあるように見える。
 
When Putin returned to the presidency in 2012, most Russians and outside observers seemed resigned to at least another 12 years of his leadership, through 2024. But as things stand, not only do recent events call his re-election in 2018 into question, but if economic decline continues, the Duma elections scheduled for 2016 could shake the system.
 
Any student of Russian history knows that Russia’s path is frequently disrupted by nonlinear events, and today it appears increasingly possible that another could happen even in the next few years.
 




ロシア大統領の任期についてウィキペディアの説明を引用しておきます(大統領の連続3期の任期は法律で禁じられています)。
 
「2008年の憲法改正により、今任期から連邦大統領職の任期が6年となったため、任期満了は2018年となる。また、仮に次期大統領選挙に出馬・再選された場合には、2024年まで在任することになる」
 
 
CNN記事の上記の箇所のように、クチンス氏は2018年の次期大統領選挙の前にプーチンが武力行使にでてくるだろうと予測しています。
これに対してアメリカン・エンタープライズ研究所のマイケル・オースリン氏は、ロシア経済の悪化が深まれば、それにより2015年がプーチン政権にとって危険な年になるので、そうすれば今年中にも軍事力行使を行うだろうと示唆しています。
 
Russian Caveat (12/23-2014 アメリカン・エンタープライズ研究所)
http://www.aei.org/publication/russian-caveat/
 
そしてオースリン氏は、経済悪化につれて起こる反政府的騒乱や暴動に対しては、厳重な取り締まりを強化するだろうとも言っています。
 
■ 関連リンク
プーチンは経済成長を捨てて侵略する選択を (12/11-2014 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39183999.html
 
プーチンは停戦を遵守するかー「ノヴォロシア」の復興ー (10/09-2014 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39109236.html