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※地図上、アラビア海、ベンガル湾はインド洋の一部。
インド洋の主なチョークポイント(要衝)は、バブ・エル・マンデブ海峡、ホルムズ海峡、マラッカ海峡、スエズ運河の南側入り口、ロンボク海峡。
インド洋にはアンダマン海、アラビア海、ベンガル湾、グレートオーストラリア湾、アデン湾、オマーン湾、ラッカディブ海、モザンビーク海峡、ペルシャ湾、紅海を含む。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E6%B4%8B

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アメリカの主要紙では保守論客による中国の海軍力、とりわけインド洋への中国海軍の勢力進出を警戒する論調が強まってきている。
 

   ◆ 中国のインド洋での勢力拡大の目的

中国がインド洋に勢力拡大し、制海権を掌握しようとする目的は「シーレーン」の確保だ。空母を建造してもそれを使いこなす技術と人材が育つまでには程遠いと揶揄されながら、中国は海軍力の増強に力点を置いてきた。ゲーツ国防長官は先頃、「この十年で、中国海軍の戦闘能力は非常に進歩した」と述べたとワシントンポストは伝えている。

そのレベルにまで追い上げてきた海軍力を使い、今年に入りインド洋での勢力拡大が顕著となってきた中国の動機の背景には、中央アジア、カスピ海から中国へのパイプラインにおけるアルカイダ、IMU(ウズベキスタン・イスラム運動)などのテロ組織によるリスク要因が大きく作用している。
http://en.wikipedia.org/wiki/String_of_pearls_(China)

“The rugged inaccessible terrain of Central Asia and the presence of terrorist groups such as Al-Qaeda present obstacles to the transportation of oil and natural gas by pipeline.”

“In order to hedge against the growing militarization of Central Asia China has begun construction on a new massive deep-water port in Gwadar, Pakistan[8] which is expected to help China gain a strategic foothold for naval operations in the Indian Ocean and Persian Gulf. The port will also act as the down stream hub for pipelines linking to Central Asian natural gas fields through Afghanistan.”


    ◆ アメリカ第七艦隊と中国の衛星攻撃能力

西太平洋とインド洋を担当地域とするアメリカ第七艦隊には、中国に対して警戒し恐れている2つの重要な軍事的問題がある。
1つは来年の前半までには、対洋上標的への実験段階を迎えると見られている対艦弾道ミサイルASBMの開発。2つ目は中国のミサイルによる衛星攻撃能力の技術的な進歩だ。
中国によるASBMの開発については、今年6月に明らかにされた。
http://obiekt.seesaa.net/article/121430076.html

2つ目は、アメリカの通信衛星体制を狙った攻撃の軍事戦略を中国が進めているもので、昨年位からアメリカの軍事当局者などの間で大問題になっている。この問題はハドソン研究所の日高義樹氏の書籍レポート、『オバマ外交で沈没する日本』(2009年6月刊)で伝えられている。この問題は、昨年の大統領選挙の少し前に実施された、太平洋空軍の大規模な訓練演習の過程で明らかになった。

アメリカの太平洋軍は一部の特殊レーダー衛星、あるいは偵察衛星を除き一般の衛星を使っている。これに対して中国のミサイル攻撃能力は飛躍的に向上しており、日高氏によれば、ワシントンの軍事専門家は、
「アメリカ軍が民間の衛星を使っている限り、中国軍によってあっという間に通信体制を破壊されてしまう。戦争が始まるやいなや、口もきけない、耳も聞こえない状態になる」
と言っているそうだ。また、第七艦隊の幹部であるドーラン中将は、
「アメリカ第七艦隊はすべてを衛星に頼っている。通信衛星が機能しなくなれば、旗艦ブルーリッジと空母機動艦隊、駆逐艦隊との通信が不可能になる」
と日高氏に語ったそうだ。日高氏は、
「アメリカ軍は通信衛星や偵察衛星を防御する必要が明確になったが、これらをはじめとするあらゆるアメリカの衛星が、仮想敵国である中国、北朝鮮、イランによって標的にされる可能性がある。」
と述べている。


    ◆ インド洋をめぐるインド・米国と中国との対立

ワシントンのジェームズタウン財団(シンクタンク)が11月4日に、
“Maritime Multilateralism: China's Strategy for the Indian Ocean”(海洋における多国間外交:インド洋での中国の戦略)というレポートを公開している。
http://www.jamestown.org/single/?no_cache=1&tx_ttnews%5Btt_news%5D=35692&tx_ttnews%5BbackPid%5D=7&cHash=9ed1a946b0

この中に“sting of pearls” (「真珠の首飾り」)という中国の海洋軍事政策が出てくるが、中国にとって、スーダンから香港に及ぶ遠大な海岸地域を掌握することは、石油物資ほか中国の輸出入物資の輸送レーンを確保する重大な政策だ。これらの長大な海岸地帯に建設される港湾施設は、軍艦艇が燃料補給や修理に利用できる中国の海軍基地となる。

中でも先の英文Wikipedia が述べた、ペルシャ湾の入り口とでも言うべきパキスタンのグワダル港(Gwadar)の港湾施設の中国による建設は、インド洋とペルシャ湾での海軍活動のために重要な足場である。ホルムズ海峡まで約400キロに位置するグワダル港は水深も深く、「ここを押さえれば戦略的に中国の利となる」(中国紙)。グワダル港は中央アジアの天然ガスのパイプラインの帰着港としての役割も果たす。是非、地図検索され位置を確認されたい。

中国海軍による石油物資、輸出入品が輸送されるシーレーンの確保は、インドの制海権と衝突する。政権交代の平均期間を8年とするアメリカ政権は、3年後、もしくは7年後に共和党政権に政権交代されることとなる。それを見越したアメリカの保守勢力と国防総省は、インドの軍事力増強を図っており、中国の死活線であるインド洋でのシーレーンを抑える方向で動くと考えられるが、オバマ政権にはこの重大な状況に危機感は無いようだ。これとは対照的にアメリカの同盟国イスラエルは、ロシアとともにインドへの兵器供給国であり、インドへの軍事協力を進めている。

イスラエル、アメリカによるインド空軍との軍事協力 (11月6日 「an Arms Watcher」)
http://blog.livedoor.jp/ippikiwakazou/archives/51556719.html


参考記事:
「中国、インド洋に勢力拡大 周辺国の港湾整備 橋頭堡か」(2009年5月25日 産経)
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090525/chn0905250005000-n1.htm


DOMOTO
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html