経済戦略と国際情勢

救国済民。来るべきこの国の大量経済難民を、どう救うか

2011年10月

共和党候補ケイン氏と金本位制コネクション

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                              Lewis E. Lehrman


<「ゞο妥涕補ケイン氏と金本位制コネクション」からの続き>
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/35937645.html


      ■ ヘリテージ財団と金本位制コネクション

前出の「ウィークリースタンダード」の記事によると、米シンクタンクのヘリテージ財団が10月上旬に通貨に関する会議を主催したが、その席でニューヨークの投資家 ルイス・レーマンと「フォーブズ」のCEOのスティーブ・フォーブズが、以前から主張する「金」に裏付けされたドルの採用を提唱した。このヘリテージ財団の会議には銀行関係者や学者が集まったそうだ(10月18日 フォーブス)。

会議を主催したヘリテージ財団は「アメリカの保守的な政治家たちの聖地」とも言われ、現在、ハドソン研究所やアメリカンエンタープライズ研究所とともにアメリカ共和党保守派に大きな影響力を持つ(注-2011.4-日高)。アメリカの金本位制のニュース記事を追っているとヘリテージ財団のことがよく出てくるが、ハドソン研究所の首席研究員である日高義樹氏によれば、「ヘリテージ財団は、金本位制を提唱するための基本的な研究を行っている」という(注-2011.10-日高)。前出の24日のワシントン・タイムズの記事もヘリテージ財団社長の執筆である。

この会議の中心になった投資家ルイス・レーマンと「フォーブズ」のCEOスティーブ・フォーブズは、ともに現在のアメリカの「金本位制プロジェクト」のキイ・パーソンである。英文ウィキぺディアによれば、レーマンは1980年代後半にモルガン・スタンレーの専務を務め、シンクタンクではアメリカン・エンタープライズ研究所やヘリテージ財団の理事、そして「Project for the New American Century」(「新アメリカの世紀プロジェクト」)の理事でもあった。
http://en.wikipedia.org/wiki/Lewis_E._Lehrman

「新アメリカの世紀プロジェクト」(PNAC)は1997年から2006年まで続いたネオコンのシンクタンクで、ブッシュ政権時のイラク戦争の推進で知られる。主だった元メンバーにはラムズフェルド元国防長官、アーミテージ元国務副長官、リチャード・パール国防政策委員長、ジョン・ボルトン国連大使がいるが、ロバート・ゼーリック世界銀行第11代総裁(2007−現在)、ポール・ウォルフォウィッツ世界銀行第10代総裁(2005−2007)も「新アメリカの世紀プロジェクト」のメンバーであった。

Project for the New American Century
http://en.wikipedia.org/wiki/Project_for_the_New_American_Century

ブッシュ政権で活動した「新アメリカの世紀プロジェクト」の理念と目的は、世界規模でのアメリカの指導的役割を推進することであった。レーマンはこの「新アメリカの世紀プロジェクト」の理事も務めたが、同じ組織のメンバーであったゼーリック世界銀行総裁は2010年11月に金本位制発言をして物議を醸した(韓国でのG20首脳会議の数日前)。このゼーリック世銀総裁とルイス・レーマン達の金本位制へ向けた活動の間に、共和党保守政治の上での大きなコネクションはないのだろうか。

「世銀総裁の「修正金本位制」発言 と 世界主要国の中央銀行の金への急速なシフト−」 (拙稿 2011年8月3日)
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/35472860.html

ハーマン・ケイン氏と他の共和党候補者についてのアメリカのニュース記事では、レーガン政権時のことがたびたび持ち出される。

「1984年、レーガン大統領の再選にあたってアメリカ共和党は、党の綱領のひとつとして金本位制を復活させることを提案した。もっともこの時は、はっきりと金本位制という言葉は使ってはいなかった。」(注-2011.10.日高)

1970年代の高インフレ、前カーター政権(1977-1981)のスタグフレーション状態の経済を受け継いだ共和党は、レーガン政権(1981-1989)の2期目を迎え、党の綱領のひとつとして金本位制を復活させることを事実上提案した。レーガン政権の初年1981年にルイス・レーマンはロン・ポールとともに米国の金委員会のメンバーを務めている(Wikipedia)。レーガン政権時の金本位制政策立案に携わったスタッフが、現在「フォーブス」で金本位制復帰の文筆活動をしていることは第1節で触れた。


      ■ ドルとユーロと金のリンク

今年の初めスティーブ・フォーブス氏は、「アメリカは今後5年以内に金本位制に復帰する」と予測したそうだ(10月20日 IBtimes)。
http://www.ibtimes.com/articles/234990/20111020/return-to-gold-standard-gaining-traction-with-presidential-candidates.htm

ワシントンでアメリカの金本位制への議論とその動きを追っている日高義樹氏によれば、現在アメリカでは「金本位制に最も近い考え方として、ユーロとドルを関連づけ、そこに金を組み合わせて通貨体系を構築すべきだという主張がある」そうだ。10月の新刊で日高氏は、ユーロ崩壊を論じると同時にこの通貨再構築の考え方に注目しているようだ。これ以上のドルの下落とユーロ崩壊による世界経済の混乱を食い止めるために、金への部分的リンクがアメリカで議論されている。

第1節で挙げた10月21日付のフィナンシャルタイムズの記事の中で、経済コラムニストであるジリアン・テット氏は、金本位制への復帰について米国と欧州の中央銀行総裁のグループの「陰謀」が存在するという推測を述べている。この記事はアメリカのケイン氏ら共和党候補者の間から来年の大統領選へ向けて、金本位制の発言が飛び出してきていることを受けた推測記事になっている。

Is there a shadowy plot behind gold? 
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/90effa18-faa3-11e0-8fe7-00144feab49a.html#axzz1bhnSOc6C

このジリアン・テット氏の、米欧の中央銀行総裁のグループの「陰謀」が存在するという推測記事を裏付けるかのようなデータがある。
下記のデータは、2011年5月現在の各国の中央銀行ほか公的部門が保有する金の保有量(トン)と外貨準備に占める金の比率である。資料は金の国際調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のサイトのもの。これはIMF国際金融統計を使用している。7月版は5月時点の、10月版は8月時点の金保有量を表している。国名の左数字は世界順位を示す。

Latest World Official Gold Reserves
http://www.gold.org/government_affairs/gold_reserves/

July 2011 (2011.5月時、金保有量) 
 1  United States   8,133.5    74.7%     
 2  Germany      3,401.0    71.7%
 4  Italy         2,451.8    71.4%    
 5  France       2,435.4     66.1%
14  Portugal        382.5     84.8%   
19  Spain          281.6     40.7%     
30  Greece         111.5     79.5%   

October 2011(2011.8月時、金保有量)
 1  United States   8,133.5      74.2%
 2  Germany      3,401.0      74.7%     
 4  Italy         2,451.8      74.4%       
 5  France       2,435.4      71.5%       
14  Portugal        382.5      89.1%      
19  Spain          281.6      42.1%       
31  Greece         111.5      82.1%       

ドイツとフランスのみならず、ギリシャをはじめとするPIGS諸国4カ国はユーロ債務危機が深まる中でも、5月から8月まで1kg の金も売却してはいない。欧州各国は外貨準備に占める金準備の比率をこの数ヶ月でさらに高めている。

             ◆

アメリカ大統領選挙の民主・共和両党の大統領候補の指名は、2月から6月にかけて予備選挙と党員集会が行われ投票が行われるが、多くの場合、3月のスーパー・チューズデーによって党の大統領候補が事実上決定している。
大統領予備選挙まであと数ヶ月、「アメリカ経済の再建のためには、金本位制が必要である」と発言している共和党候補ハーマン・ケイン氏に注目したい。


■注:
・注-2011.10-日高:『アメリカの歴史的危機で円・ドルはどうなる』 日高義樹著 徳間書店 2011.10.8刊
・注-2011.4-日高: 『いまアメリカで起きている本当のこと』 日高義樹著 PHP研究所 2011年4.1刊

■参考サイト:
The Lehrman Institute 
http://www.thegoldstandardnow.org/

ハーマン・ケイン(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%83%B3

Forbes
http://www.forbes.com/


DOMOTO
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html

ゞο妥涕補ケイン氏と金本位制コネクション

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目次
 ■ 共和党候補ケイン氏と金本位制発言
 ■ ヘリテージ財団と金本位制コネクション
 ■ ドルとユーロと金のリンク


今年に入ってからのアメリカの金本位制への議論とその動きをレポートしている日高義樹氏(米ハドソン研究所首席研究員)は、10月の新刊のあとがきで次のように述べている。

このまま基軸通貨ドルの力が減少し続ければ、アメリカの保守主義者たちの間から、金本位制に近い形を使ってドルを基軸通貨として維持させようとする動きが強くなって出てくるだろう(要約文:注-2011.10.日高)。

現在の世界経済では金本位制は成り立たないので、「部分的に金を使用して通貨体制を再構築する」という「修正金本位制」の考え方を8月に阿修羅サイトで紹介した。

「世銀総裁の「修正金本位制」発言 と 世界主要国の中央銀行の金への急速なシフト−」 (2011年8月3日)
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/616.html  (阿修羅サイト)
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/35472860.html  (修正加筆版)

アメリカの各州では金や銀を鋳造することや通貨として流通させること、税金を金や銀で支払うことなど、ドルから金へとの流れが州単位で、法制化される動きが活発になっている。ユタ州、バージニア州、モンタナ州、ジョージア州、アイダホ州、コロラド州、インディアナ州、オクラホマ州、テネシー州など、米国各州に金本位制に向けた実験的な動きが水面下で始まっている。(『2012年、日本経済は大崩壊する』 朝倉慶 2011年7月刊)

また現在アメリカでは、様々なサークルやアメリカの大学生の間で、インターネット上での金本位制の議論が活発に行われているそうだ。


     ■ 共和党候補ケイン氏と金本位制発言

「米紙ニューヨーク・タイムズとCBSテレビが25日発表した合同世論調査結果によると、来年11月の米大統領選に名乗りを上げた共和党候補者の党内支持率は、実業家ケイン氏が25%でトップとなった。2位は21%のロムニー前マサチューセッツ州知事。」(10月26日 時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111026-00000023-jij-int

9月下旬から支持率が急上昇していた、元ピザチェーン経営者の黒人ハーマン・ケイン氏が、ついに党内支持率トップとなった。

いまアメリカでは、米共和党候補者の間で大統領選を向かえたうえで示唆されている、金本位制への復帰についての発言が注目されている。ケイン氏は先月9月に、金本位制への復帰についての発言を示唆し、「(米国経済の再建のためには)金本位制が必要である」と発言したそうだ。

Herman Cain, the former pizza executive who is now a popular Republican contender, hinted last month that he would like to return to a world where “a dollar is a dollar” and added that “yes, we do need a gold standard for that”.

Is there a shadowy plot behind gold?  (10月21日 フィナンシャルタイムズ)
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/90effa18-faa3-11e0-8fe7-00144feab49a.html#axzz1bhnSOc6C

先週以降では、米共和党系の代表的な雑誌サイト「ウィークリースタンダード」で、共和党候補者に挙がっているハーマン・ケイン、ニュート・ギングリッチ、ロン・ポールなどが金本位制への復帰が望ましいと示唆する発言をしていることを取り上げた。そして同時に金本位制の対極にあるFRBの金融政策のあり方を批判している。この記事はCBSサイトにも掲載された。

Republicans Learn Moneyball (10月17日 The Weekly Standard)
http://www.weeklystandard.com/articles/republicans-learn-moneyball_595929.html?page=1
GOP candidates need to talk more about the Fed (10月17日 CBS)
http://www.cbsnews.com/stories/2011/10/17/opinion/main20121287.shtml

FRBの金融政策のあり方を批判するのに、ケイン氏など共和党候補者たちが示唆する金本位制に触れる論調は、10月24日付のワシントンタイムズにも見られる。

Focusing on the Fed
http://www.washingtontimes.com/news/2011/oct/24/focusing-on-the-fed/

いまの段階で、活字メディアとしてハーマン・ケイン氏を全面的に支援しているのは、世界長者番付などで知られるアメリカの経済誌『フォーブス』だ。最近の『フォーブス』では、金本位制の回帰を目的とする団体組織「American Principles Project」のスタッフや、レーガン政権時のスタッフ(金本位制を計画していた)、アメリカの大学で金本位制を研究する学者などのコラムニストの記事が目につく。

金本位制の回帰を目的とする団体組織「American Principles Project」は2011年に「ゴールド・スタンダード・2012キャンペーン」を立ち上げた。前出のフィナンシャルタイムズの記事によると、「American Principles Project」は、金本位制への復帰の問題を2012年の大統領選での争点にするために全力を挙げているという(「American Principles in Action」とは「American Principles Project」のこと)。

A group called American Principles in Action created a Gold Standard 2012 platform last year and is now fighting to make these issues an election issue next year.

10月17日のフォーブスによれば、「American Principles Project」のチャールズ・カドレック氏が、すでにケイン候補の経済チームに加わっているという。

Why I Support Herman Cain For President
http://www.forbes.com/sites/charleskadlec/2011/10/17/why-i-support-herman-cain-for-president/

American Principles Project
http://americanprinciplesproject.org/

「フォーブス」で金本位制に関する記事を執筆する者や「American Principles Project」のスタッフの学歴を見ると、経済学が専門でないにしても社会科学系のハーバード大学の卒業者も多い。

日高氏は、金価格の高騰について日本人が基本的に見落としている大きな問題として、「欧米では、金がキリスト教と神に強く結びついている」ことを挙げている。「ティーパーティーの人々の中には、こうした宗教的な意味合いから資産として金を信じている者が多い」(注-2011.10.日高)。ケイン氏は、そのティーパーティーからも強い支持を得ている。


<「共和党候補ケイン氏と金本位制コネクション」へ続く>
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/35937898.html

∧胴饉ヾ政権が構想する「アジア版NATO」―冷戦型軍需経済の復活―

<「(胴饉ヾ政権が構想する「アジア版NATO」―冷戦型軍需経済の復活―」からの続き>
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/35873209.html
  

     ■ 米国の軍需経済復活と当事国である日本

「パネッタ米国防長官は、米議会で国防費の削減を求める声が強まっていることを受け、今後アメリカ軍の規模縮小は避けられないとして、日本など同盟国に対し、自国の防衛について今以上の役割を求めていく考えを示した。パネッタ米国防長官は10月11日、『同盟国には、アメリカによる軍事的な支援を引き続き保障する一方で、自国の防衛に今以上の責任を担ってもらう』と述べ、今後、日本などの同盟国に対しより大きな役割を求めていく考えを示した。」 (10月12日 NHK)

「アジア版NATO」の構想が出てきた背景には、オバマ政権での天文学的に拡大した米国債による米国の深刻な財政赤字がある。クリストファー・レインらが提言した「オフショア戦略」の基本的考え方に沿って、財政赤字の限界に達したアメリカは、冷戦初めに欧州で旧ソ連に対して集団安全保障体制を構築して対抗したように、中国に対する「アジア版NATO」を構築しようというのだ。

(※ 「オフショア戦略」とは脅威を及ぼす国から遠く離れた所から、外交・軍事力配置・経済政策などを用いて、その対象国を封じ込めるアメリカの伝統的な基本的軍事・外交戦略である。offshore:沖合いへ向かって)

但し、今回の「アジア版NATO」では、NATOのようにアメリカがソ連との軍拡競争の先頭に立って中国に対峙するという形ではなく、北東アジアや東南アジア諸国にアメリカ製兵器の軍備増強をさせ、かつアメリカの軍需産業を盛んにして国家的な経済成長を狙うという重要な意図があるようだ。

「ベトナム戦争以降の現代戦は、国家財政を大きく消耗させてしまうため長期的な需要とはなりづらい。国家の軍需産業にとって最も望ましいのは冷戦のような軍拡競争であるといわれる。」

『「戦争」による、アメリカの経済恐慌からの脱出は可能か』 (拙稿 2009年1月)
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/22192317.html

この「21世紀のアジア同盟」と名づけられた戦略構想は、アメリカの冷戦型軍需経済の復活によって、中長期にわたるアメリカ経済の復興に大きく貢献するだろう。

このような説明をすると日本のマスコミなどは米国アレルギーに見舞われるが、自国の主権を真面目に考えようとすれば、中国の危険な射程圏に位置する日本としては、アメリカ保守グループが構想する「アジア版NATO」の中で、多くの役割を果たすことを余儀なくされる。
それが嫌なら話は簡単だ。中国の支配下に置かれ、傀儡政権として属国として、中国に自分達の平和な生活を守ってもらうことを選択すれば済むことだ。

このアジア同盟という集団安全保障体制では、南シナ海での防衛では東南アジア諸国の参加の中で、とくにベトナム軍とインドネシア軍の役割を重視し、北朝鮮に対しては米軍のほかに韓国と日本を中心に据えている。
また、有事の際の中国のシーレーンの海上封鎖(マラッカ海峡、ロンボク海峡など)については、米国、オーストラリア、インドのほかに、やはりここでも日本の軍事力を主力の一つとして重視している。


     ■ 結語:米ソ冷戦との違いと構想の大きな問題点

さて、共和党保守派から出てきた「アジア版NATO」では米ソ冷戦との大きな違いを持つ。このブルーメンソールらの論文では、「アジア版NATO」のもとでの中国とアメリカの軍事的な競争は、米ソの「冷戦」とは異なったものになるという。この大国間の競争は、貿易の増大や経済的な統合が、激しくなる軍事的競争と共存する。米中の間には経済的に強い相互依存関係があるからだ。この協調と競争の関係は、アジアの安全保障に作用し、米ソ冷戦の時よりもはるかに高い脅威をともなった抑止力の働きを持つと述べている。

Sino-American security competition, however, does not prefigure a new Cold War. That is too simple a metaphor to describe the new complex reality. In this great power competition, increased levels of trade and economic integration will coexist uncomfortably with an intensified military rivalry. For Washington, this mix of cooperation and competition makes the tasks of reassurance and deterrence much more difficult than during the Cold War.

米ハドソン研究所の予測データでは、中国の老齢化は急速に進み、60才以上の人口は、2020年には17.1%、2030年には国民の約4分の1の23%と推計されるという(日本の2010年の65才以上の人口が全体の23%)。中国の1人の老人を支える労働者の比率(依存比)で見ると2006年の5.2が、2030年には2.2へ急上昇する。中国には労働者2.2人で老人1人を養う、つまり9億の労働者が4億の老人を養う時代が待っている(注-2010.3.日高)。

「アジア版NATO」が構築され、米中冷戦を2025年までアメリカが継続させた場合、中国は急激な高齢化と極端に遅れている社会福祉医療制度の膨大な支出の増加により、旧ソ連と同様な財政的理由による冷戦敗北の結果を見る。

また2020年から2025年にかけては、アメリカが開発を進めている軍事衛星を使ったサイバー兵器の実用化が始まり、サイバー兵器により中国の核兵器、ミサイル、空母、戦車の機動を停止させてしまう時代が来る。サイバービームが最初に実際に使われたのは、2008年8月のロシアによるグルジアの通信システムへの攻撃であった(注-2010.10.日高)。
中国はアメリカとの冷戦で軍事力の面でも敗北するだろう。

最後に、この論文の戦略構想がもつ最大の問題点について私見を述べてみたい。それは日本国債の暴落を考慮に入れていないことだ。R.カプランは中国の問題について、「予想される経済的・政治的な大混乱と激変を考慮に入れずに、実際の政策を立案することは本当は軽率なことだ」という意味のことを述べているが、この言葉は日本国債暴落による日本の国家破綻についても当てはまる。
http://www.cnas.org/node/7042

「アジア版NATO」で大きな軍事的役割をもち、軍備増強の圧力をかけられる日本が国家破綻してしまったら、ブルーメンソールらが描く「アジア版NATO」の骨組みは大きな変更を余儀なくされるだろう。
また、一国平和主義の日本の世論の激しい反発が起こり、日本の政権がアメリカの要求どおりに動けるかという非常に困難な問題が出てくる。

しかし、国債の長期金利が急上昇を始め、日本国債が暴落するまでは次期アメリカ政権の対日ベクトルは「アジア版NATO」の方向へ向かうというのが現時点での私の予測だ。日本の財政難によりベクトルの大きさには程度の大小が出てくるだろう。しかし、ベクトルの向かう方向は、ブルーメンソールらのこの計画の方向へ向かうと考えられる。


■ 注:
・注-2011.10.日高:『アメリカの歴史的危機で円・ドルはどうなる』 日高義樹著 徳間書店 2011.10.8刊
・注-2011.5.日高: 『世界の変化を知らない日本人』 日高義樹著 徳間書店 2011.5.31刊
・注-2011.4.日高: 『いまアメリカで起きている本当のこと』 日高義樹著 PHP研究所 2011年4.1刊
・注-2010.10.日高:『アメリカにはもう頼れない』 日高義樹著 徳間書店 2010.10.31刊
・注-2010.3.日高: 『アメリカの日本潰しが始まった』P.190 日高義樹著 徳間書店 2010.3.31刊

■ 参考リンク:
Project 2049 Institute
http://www.project2049.net/

‘Counter-Bismarckian’ Diplomacy (JamesR. Holmes, The Diplomat, September 8, 2011)
http://the-diplomat.com/flashpoints-blog/2011/09/08/%E2%80%98counter-bismarckian%E2%80%99-diplomacy/

地政学&地経学で読み解くTPP:「アジア太平洋国家・米国」の東アジア積極的関与戦略、TPPの先にあるFTAAP構想実現が狙いか (10月16日 「園田義明めも」)
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/10/16/6158108

『「戦争」による、アメリカの経済恐慌からの脱出は可能か』 (拙稿 2009年1月)
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/22192317.html


DOMOTO
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html

(胴饉ヾ政権が構想する「アジア版NATO」―冷戦型軍需経済の復活―

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  (サムネイル写真左はAEI のダン・ブルーメンソール Dan Blumenthal )


目次
 ■ 2012年米大統領選挙とロムニーの「強い米国の復活」
 ■ アジア版NATO
 ■ 米国の軍需経済復活と当事国である日本  
 ■ 結語:米ソ冷戦との違いと構想の大きな問題点


※ 本稿は、「米国によるオフショア戦略」の第5回として書かれたものです。


    ■ 2012年米大統領選挙とロムニーの「強い米国の復活」

来年11月のアメリカの大統領選挙まであと1年余りとなった。
米国主要都市で拡大しているリベラル左派が主体の抗議デモの大統領選挙への影響は不透明であるが、リーマンショック後のアメリカ経済の衰退と荒廃をもたらしたオバマの再選は難しいだろう。オバマをホワイトハウスへ送り込んだウォール街は、現在猛烈にオバマをバックアップし、ふんだんな選挙資金を再び提供しているそうだ。またアメリカ東部のマスコミには、ウォール街の力がかなり及んでいるようだ(注-2011.10.日高)。

2012年の米大統領選に向けた共和党候補の指名争いで、主流派が支持を固めている有力候補ロムニーは、「強い米国の復活」を掲げ、中国に対する強い警戒感を表明している。ロムニーは10月6日の外交政策の演説で、オバマ政権が方針を示している国防予算の大幅削減の流れを反転させ、国防支出を増加させることを公約した。オバマ政権は10年間で1兆ドルの国防予算の大幅削減をする方針を打ち出している。

In foreign policy address, Romney stretches on Obama’s record (10月8日 ワシントンポスト)
http://www.washingtonpost.com/national/national-security/fact-check-in-foreign-policy-address-romney-stretches-on-obamas-record/2011/10/08/gIQA5zdjUL_story.html

「強い米国」の復活目指す―ロムニー氏が外交政策演説 (10月8日 世界日報)
http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/111008-160530.html

本稿と共通のテーマを扱った前編の4編では、オバマ民主党政権のもとで米国防総省が主体として進めている、「オフショア戦略」と「統合エアシーバトル構想」について述べてきた。

「米国による中東からアジアへの軍事力シフト―米国のオフショア戦略(4)―」 (9月24日)
http://www.asyura2.com/11/senkyo119/msg/775.html

今回はアメリカの政権交代が行われた際の、次期共和党政権での「米国によるオフショア戦略」について述べてみたい。

アメリカの次期共和党政権での対日政策は、平和ボケした日本にとって苛酷である。
それは戦後66年に及ぶ軍事的な米国依存から、前方戦略の前線へと立たされる当然とも言うべき責務を担わされる。もう、「ぶらさがり国家」ではいられなくなるのだ。


       ■ アジア版NATO

前ブッシュ政権を支えた保守系シンクタンク、アメリカンエンタープライズ研究所は、現在、穏健保守のハドソン研究所やヘリテージ財団とともにアメリカ保守派に大きな影響力を持つ(注-2011.4.日高)。
8月の終りに、アメリカンエンタープライズ研究所(AEI)のダン・ブルーメンソールは、軍事系シンクタンクProject 2049 Institute の4人のスタッフらとともに ” ASIAN ALLIANCES IN THE 21st CENTURY” (21世紀のアジア同盟)という論文を発表した。ダン・ブルーメンソールはブッシュ政権からの北東アジアを専門とする軍事専門家で、同政権で国防総省中国部長を務めた。これまでに多くの彼の記事がAEIのHP上で公開されている。

Project 2049 Institute は、アジア太平洋地域と中央アジアを研究対象とするシンクタンクで、2008年1月に設立された。CEOのランドール・シュライバーはブッシュ政権前半で国務次官補代理を務め、リチャード・アーミテージ国務副長官の政策スタッフの責任者であった。Project 2049 Instituteの研究アドバイザーとしては、クリントン政権とブッシュ政権からの多くの人材を有し、日本では岡崎研究所をアドバイザーとしている。
この論文(PDF39ページ)の終りの5人の執筆者の略歴を見ると、いずれも保守派に属し、アメリカンエンタープライズから二人の構成となっている。また東アジア、とくに北東アジアを全員が専門としていることが共通している。

ASIAN ALLIANCES IN THE 21st CENTURY (2011年8月30日 公開)
http://project2049.net/documents/Asian_Alliances_21st_Century.pdf

この論文は、戦略国際問題研究所(CSIS)などと契約を結ぶ「The Diplomat」が9月8日付で取り上げ、日本ではワシントン駐在特別委員を兼務する古森義久氏が、9月30日の産経新聞サイトで紹介している。
http://the-diplomat.com/flashpoints-blog/2011/09/08/%E2%80%98counter-bismarckian%E2%80%99-diplomacy/

この論文の構想の最大の目的は、アジア・太平洋地域における集団安全保障体制の確立である。米ソ冷戦時代に、欧州にNATO(北大西洋条約機構)という米国と西欧に多国間軍事同盟を構築して、旧ソ連の脅威に対抗し封じ込めて成功したように、現在の中国に対して新しく「アジア集団同盟」を構築し打ち立てて、中国を封じ込めるのが目的だ。
つまり、「アジア版NATO」である。

NATOは北大西洋条約に基づいて結成されている。条約の根幹は「いずれの加盟国に対する攻撃も全加盟国に対する攻撃とみなし集団的自衛権を発動する」ことにある。

“ ASIAN ALLIANCES IN THE 21st CENTURY”の論文では、軍事力の主力として、米国、オーストラリア、日本、韓国の4カ国を挙げ、南シナ海での戦力ではインドを加えている。「アジア版NATO」では、日本の軍事力行使と軍備増強がとくに強調される。

論文後半では、東アジアにおける台湾、北朝鮮、南シナ海という3つの防衛ケースを挙げているが、このうち分量が最も多くウェイトが置かれているのが台湾防衛についてだ。
中国が台湾沿岸に配備している1500発以上の短距離弾道ミサイルと中距離弾道ミサイルをベースにしたA2AD戦略(接近阻止・領域拒否)で、有事の際はアメリカの空母が台湾防衛の活動を半ば阻止される状態になっている。国防政策委員のR.カプランによれば、アメリカは台湾の主権をこの先保障し続けることが不可能になってくると言う。

A power shift in Asia (9月23日 ワシントンポスト)
http://www.cnas.org/node/7042

カプランは、2009年のランド研究所の調査から、2020年にはアメリカのF22、空母打撃群による台湾防衛と、沖縄嘉手納基地へのアクセスが阻止されると述べているが、それから2年たった現在は2020年という時期が年々早まっている。

(※ アメリカが台湾にこだわる大きな理由の一つに、台湾が米国債保有で世界第5位の保有額を持っていることが挙げられる。台湾が中国に併合された場合、首位の中国と合計される米国債保有額は群を抜いたものとなり、米国は中国に牛耳られてしまう。)

現在ワシントンで共和党や保守派の軍事専門家によって、米軍のオセアニア・シフトにより生じる、東アジアでの前方配備の空洞化を埋めるため、様々な軍事戦略が検討されている(注-2011.5.日高)。

A2AD戦略(接近阻止・領域拒否)が脅威を及ぼす地域は、台湾のみならず既に日本列島全体に及んでいるが、この領域内に位置する日本を、米軍の前方戦略として最大限に活用しようという計画が、アメリカ保守派グループから出てきているのである。この計画での台湾の防衛はアメリカと日本の2ヶ国が主力となる。
実際の有事における「アジア版NATO」での戦闘行動は、アメリカとオーストラリアの海空軍が戦争地域へ向かうまでの時間を、前方戦略を担当する東アジアの同盟国の軍隊が戦う。米海軍はグアム、米空軍はグアム、ハワイ、アラスカを拠点とする。

ブルーメンソールのチームの戦略構想では、北東アジアにおいて米軍を支援するために、日本に対して、_縄諸島での軍備増強、多くの空軍基地の建設、E譽轡奮ぁΕ侫リピン海における潜水艦部隊による防壁の強化、っ羚颪砲茲詁本へのミサイル攻撃を抑止し報復攻撃を可能にするために、巡航ミサイルと弾道ミサイルを日本に地上配備するなどが必要であるとしている。
    
To help the United States participate in Taiwan's defense, Japan needs to more heavily militarize the Ryukyu island chain, construct more airbases, harden the ones it already has and create an anti-submarine barrier to deny China access to the Pacific Ocean, where the PLA Navy would seek to interdict US forces.
Finally, Japan should consider deploying conventionally armed, ground-launched cruise and ballistic missiles of its own to retaliate in the event that China strikes the Japanese homeland.


<「∧胴饉ヾ政権が構想する「アジア版NATO」―冷戦型軍需経済の復活―」へ続く>
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/35873322.html


DOMOTO
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735
http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html

ガイトナー長官の金本位制発言、米中アジア情勢 − 国際関係メモ −

【10月5日】
阿修羅サイトで、米国のガイトナー財務長官が最近、「最後は金本位制に戻ればいい」と発言したことを知った。元記事はJBpress で、ソースを記してほしかったが、日経ビジネスオンラインの編集長を務めた川嶋諭氏の記事だということで、不正確なものではないだろう。

「米国債は格下げされ、経済・軍事両面でライバルとして台頭してきた中国の発言権が急速に高まっている。オバマ政権の経済運営が八方塞りになりつつある中で、究極の選択肢が金本位制への復帰だと言うのだ。」(川嶋諭氏)

ユーロの崩壊は決定的な状況、というよりそんな事は1年以上も前から分かっていたことだ。米国経済の大規模な二番底、中国・インドなどの新興国からの投資マネーの引き上げとその急激な収縮、そしてリーマンショック以上の世界不況、即ち世界恐慌、これらの不可避な環境を解決する米国の最終解決策は、「修正金本位制」しかないだろう。

「世銀総裁の「修正金本位制」発言 と 世界主要国の中央銀行の金への急速なシフト」 (8月3日)
http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/616.html

8月の初めに、この事について阿修羅の経済掲示板で2回にわたって投稿させてもらったが、かなりの批判があり理解者は少数であった。
通貨体制の問題は数年以内にアジアの軍事情勢を根底から変化させる。また、この数年の世界基軸通貨の変化と世界の軍事情勢はワンセットである。

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【10月1日】
「南シナ海で局地戦辞さず」 中国メディアが強硬論
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/10/01/2011100100343.html
中国政府紙、南シナ海での武力行使を主張 「海よりも覇権」
http://www.epochtimes.jp/jp/2011/10/print/prt_d55064.html

中国が南シナ海で戦争を起こす? 2つ目の記事中、謝教授の分析が当たっている。

「それよりも深刻なインフレや各種の社会問題、極度な政府不信が中国社会全体に広がっていることに対し、中国政府は危機感を覚え、戦争説を持ち出すことによって民衆の関心をそらそうとしている」

中国は複数のシステミックリスクに直面、注意深い監視が正当化される=バンカメメリル(ロイター)
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT899683620110929

「中国政府紙、南シナ海での武力行使を主張」−これを聞いたら、米国の軍事専門家は哄笑するだろう。中国には有事の際のシーレーン確保の軍事力もない。今年3月11日に構築した偵察衛星と通信衛星の通信体制で米軍に不利な状況が起きているが、米国の抑止力は効いている。ただ3月11日以来、東シナ海での米軍の活動が活発になっているので、マークすべきは南シナ海であることは確か。米軍は東シナ海での活動をなるべく公表しない方針だそうだ。
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執筆予定 2019.8.20 記
『国際情勢の英文サイトを 本業の片手間に読むテクニック』

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