米国は国力が落ちた。それは近年の国際政治における、米国のプレゼンスの低下を見ても明らかだ。
中国経済が専門のスティーブン・ローチ氏の下記の報告は驚きだ。中国の官僚や戦略家は非常に優秀だが、中国の強力な国力を支えているのは、強い経済力であることは言うまでもない。
中国はあと10年から20年で衰退すると言われているが、次はインドの時代になる。
米中ハイテク戦争、劣勢の米国 スティーブン・ローチ氏
米エール大学シニアフェロー
2023.2.8. 日経
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD023D80S3A200C2000000/
米中対立におけるハイテク分野は「グラウンド・ゼロ(爆心地)」だ。2つの超大国のハイテク戦争は、21世紀を決定づける闘争になる可能性がある。(中略)
米国のハイテク分野のリーダーシップは驚くほど脆弱だ。冷戦時代、旧ソ連の技術的脅威、特に核軍拡と宇宙開発競争に力強く対応したが、それ以降は努力を怠っている。
さらに米国は近年、基礎研究、つまりイノベーションの種となる純粋科学に十分な投資をしていない。(中略)
今世紀初め、中国の研究開発支出は国内総生産(GDP)の0.9%にすぎず、米国の約3分の1だった。ところが比較可能な数値の最新年である19年には、中国は2.2%を研究開発に費やし、米国の3.1%に迫った。米国はまた、STEM(科学、技術、工学、数学)教育でも後れをとっている。
研究開発と人的資本でのハイテク基盤の欠如の一部は、米国内の貯蓄不足に起因する。(中略)
孫子は「戦略なき戦術は敗戦の前のざれ事である」と説いた。現在、中国は長期的な視点に立った計画を実行している。一方で米国は短期的な対応に終始している。戦略にほとんど重きをおかない政治体制の中で、米国が対中ハイテク戦争に勝てる保証はない。
(@Project Syndicate)