
リーマンショックの金融危機では、史上2度目のドルMMF元本割れを受けて、米国政府は危機対応を行った。世界的に長期の大規模金融緩和を行った次に来る金融危機では、ドルMMFは暴落するかもしれない。
米国MMFの元本割れと信用回復に向けた緊急対策の実施
野村資本市場研究所(レポート2008年秋号)
http://www.nicmr.com/nicmr/report/repo/2008/2008aut16.pdf
実際、米国個人投資家の金融資産の内訳をみると、現金・当座預金の残高が 706 億ドルに対して、MMF の保有残高は 14,108 億ドルに のぼっている14。また、機関投資家向け MMF も、企業年金や事業会社などによる保有が 進んでおり、2008 年 10 月 1 日時点での残高は、個人投資家向け MMF の 1.2 兆ドルに対 して、機関投資家向け MMFは 2.1兆ドルに達している15。このように MMFが普及している状況に鑑みた場合、元本保証がないとはいえ、元本割れリスクは極めて低いと捉えられ てきた MMF の信用リスクに対する不安が広まれば、金融市場の混乱になおいっそうの拍 車がかかるとの懸念が、政府当局においてあったものと推察される。
参考文献:
米国MMF入門 -ホールセール・ファンディングと 金融危機以降の規制改革について-(『ファイナンス』 2022年4月号)
東京大学 公共政策大学院 服部孝洋
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202204/202204g.pdf