②「安倍総裁は『借金爆弾』大爆発の引き金を引く」ーと国債暴落の仕掛け人カイル・バスが予告 金利急騰は12~18ヶ月以内 ー

左:日本の貿易収支(通関ベース・単位10億円;岩井コスモ証券)/ 右:日本の経常収支の推移(四半期データ;財務省)

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http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/37341281.html

11月19日のビジネスインサイダーによれば、ウォール街はいま、円売りに狙いを定めているそうだ。モルガン・スタンレーが発表したばかりのレポートの題名は、「2013年は円安の年」とされFX取引の見通しとしている。モルガン・スタンレーのターゲットは1ドル92円。

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Already the Japanese yen is at 7-month low (against the dollar) and folks on Wall Street are betting on much more weakness to come.

Morgan Stanley’s just-released 2012 FX outlook is titled “2013: The Year Of JPY Weakness.” They write: ………we target 92.00 next year.

Why Everyone Interested In Economics Should Be Fascinated By The Upcoming Japanese Election

http://www.businessinsider.com/japanese-election-the-yen-and-the-boj-2012-11

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しかし、朝倉氏が著書などで指摘しているが、現在の世界経済は『博打(バクチ)経済』だ。モルガン・スタンレーがターゲットとする1ドル92円(現時点より約10円安)はさらに米英ヘッジファンドなどにより、大きく売り叩かれる可能性がある。同氏が指摘するように石油・天然ガスの輸入エネルギーコストは、円相場が80円から100円になれば25%のコスト上昇だ。さらに円安も輸出企業にとっての採算レートを割って下落し続ければ、貿易赤字はさらに拡大する。

■ ② S&Pの格下げ予告と貿易赤字の拡大

さて11月15日に、「安倍自民党の金融政策が実行されれば日本国債の格下げが行われる」と、ロイターのコラムニスト田巻一彦氏が警告している。

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<安易な国債発行増、財政規律緩めることに>

財政規律の緩みを黙認するような政権の体質が露呈するようなら、消費税率の引き上げによる税収増を果たしても、財政赤字を抑制することは難しくなる。2012年度末に公的債務残高の対GDP比率は210%台に上昇するとの試算があるが、大盤振る舞いの財政出動を継続すれば、数年で200%後半に上昇する可能性が高まる。

300%に接近するような債務残高をみれば、日本国債の格下げは必至だろう。長期金利の上昇を待たずに円安が進行し、その円安進行をみて国内投資家にも財政悪化の危機感が広がれば、長期金利がある時点から不連続に上昇するシナリオの実現性が出てくる。

コラム:金融緩和に依存する安倍氏の政策、財政規律緩むリスク

http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE8AE03Z20121115?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0&sp=true

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公的債務残高が対GDP比率300%に接近すればと田巻氏は言うが、GDP比300%を待たなくても格付け機関スタンダード&プアーズは、10月22日発表のレポートで、次のように明確に日本国債に対して格下げの警告をしている。

『日本の貿易赤字は、今後数年間高い水準で推移する可能性がある。債務の健全化への取り組みが現状のままであるのなら、日本国債は格下げのリスクに見まわれる。』

(Doom Heralded at Hayman by Widening Trade Deficit: Japan Credit /貿易赤字の拡大によりヘイマンから告げられる破滅 10月23日 ブルームバーグ)

http://www.bloomberg.com/news/2012-10-23/doom-heralded-at-hayman-by-widening-trade-deficit-japan-credit.html

アメリカ大統領選挙が終わりオバマは再選を果たした。日本は膨大なアメリカ国債を保有している。もう、行政管理下にある格付け会社が日本国債に対して、どのような格下げを実行して世界経済が混乱し悪化しても、権力の存続は確保されている。

大統領選挙が終わったいま、米英格付け機関が貿易赤字の拡大する日本に対して、いつ数段階の国債格下げをしてきてもおかしくない。

先ほどカイル・バスがインタビューで次のように述べていることを紹介した。

「日本のGDPは尖閣問題による中国の不買運動による攻撃を受けている。(このことが加わり)貿易収支は完全に(赤字へ)塗り替えられていて、崖を転げ落ちており、GDPは現在マイナス3.5%、マイナス4%の状態にある。」

この中国政府の非公式な不買運動について、カイル・バスはヘイマン・キャピタルの11月の顧客レポートでこう言っている(安倍総裁の金融緩和発言の数日前)。

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日本の輸出は過去10年間中国が中心であった。2002年以来EUへの輸出量はマイナス30%、米国への輸出量はマイナス27%である一方、中国への輸出量は76%増加している。

強硬派同士の安倍と習近平での日中関係は冷たい関係しかない。貿易赤字の悪化は尖閣問題以降、一層拡大し、日中関係の悪化は長期化する。LNGや原油への輸入依存の問題であれ、中国の不買運動の問題であれ、日本はいま、長期的な輸出問題に直面している。

(部分要約)

Kyle Bass ( 顧客レポート P.18 11月15日:Zerohedge が掲載)

http://ja.scribd.com/doc/113621307/Kyle-Bass

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日中関係の悪化の長期化は、米保守系シンクタンクであるアメリカ・エンタープライズ研究所の日本専門家であるマイケル・オースリンなどが「日中の冷戦」は数年、もしくは数十年続くと述べているが(”The Asian cold war” ※注1)、丹羽元中国大使も「最悪の場合は修復に40年以上の歳月がかかるだろう」と述べたそうだ。

10─12月は日中関係の影響が明確に出る=日銀総裁 (11月26日 ロイター)

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8AP02120121126?rpc=188&sp=true

前述のように、カイル・バスは安倍自民党の誕生による「非常に大幅な円の下落」「(実質的な)円の切り下げ」を予想したが、これは中国との関係悪化の長期化による日本の貿易赤字の拡大と恒常化に対して、スタンダード&プアーズが予告した国債格下げを行うことも見越した上での予測だろう。

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http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/37341405.html