ポスト冷戦秩序の解体が始まっている

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Richard N. Haass(外交問題評議会会長)
 
【◆◆以下の記事は、有料メルマガ11月13日号の一部です】
 
   【1】 ポスト冷戦秩序の解体が始まっている
 
アメリカの対外政策決定に対して著しい影響力を持つと言われている外交問題評議会の会長で、コーリン・パウエル元国務長官のアドバイザーでもあったリチャード・ハース氏が、「解体」(“The Unraveling”)という記事を『フォーリン・アフェアーズ』誌の11-12月号に寄稿しています。
 
The Unraveling (解体)フォーリン・アフェアーズ11-12月号
http://www.foreignaffairs.com/articles/142202/richard-n-haass/the-unraveling
 
同誌の日本語版は、ごく短い要約のみ無料掲載しているので参考にしてみてください。
 
解体する秩序―リーダーなき世界の漂流
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201411/Haass.htm
 
この記事のタイトルは“The Unraveling”と進行形で表現されているように、現在の世界秩序は崩れ始めている、解体が始まっているとリチャード・ハース会長は主張しています。この世界秩序とは「ポスト冷戦秩序」のことです。
 
ハース会長は繰り返してこう言います。
 
「要するに、ポスト冷戦秩序は解体しつつある。そして秩序が理想的でない間は、秩序は失われるだろう(秩序が失われた世界になるだろう)。」
 
In short, the post–Cold War order is unraveling, and while not perfect, it will be missed.
 
ハース会長は現在の世界情勢のリスク要因として、「イスラム国」が影響を及ぼす中東情勢とウクライナ・ロシア情勢のほかに、北朝鮮とパキスタンを挙げています。
 
金正恩第1書記の脆弱な体制が国家崩壊するリスクの高まりと、「世界で最も危険なテロリストたちが荒れ狂う」パキスタン。この2つは日本のテレビなどではほとんど取り上げられません。北朝鮮とパキスタンの問題は、両方とも核兵器の危機を伴った問題であり、世界的な危機の原因にもなりえるとハース会長は言っています。
 
米国のシンクタンクではパキスタンとアフガニスタンの情勢がよく扱われ、北朝鮮の金正恩体制の崩壊のリスクや朝鮮半島の今後を考える記事なども、よく研究者たちによって公開されています。