「核テロ」想定の北朝鮮はアフガニスタン情勢を利用する

    ■ 北朝鮮による「核テロ」の想定



北朝鮮が南北境界水域に近い韓国の延坪島を砲撃して12日が過ぎた。

12月2日に米韓合同軍事演習がひとまず終り、昨日から日米共同軍事演習が始まった。



軍事力の比較だけで言えば、アメリカ軍の空海軍と在韓米軍は北朝鮮に対して圧倒的な優位にあるが、北朝鮮には「貧者の兵器」と呼ばれる「核テロ」という最終オプションがある。「核テロ」については今回の緊迫状況で韓国の朝鮮日報が、「核物質分散の恐れがある」として目立たない表現で掲載した。



11月12日に北朝鮮はヘッカー氏にウラン濃縮施設を公開したが、濃縮ウランは強い放射能を放出するプルトニウムと違い運搬が比較的可能で、アルカイダの至上目標の一つはパキスタンからの濃縮ウラン物質の入手だとされる。



「米国内で核テロ攻撃が起きるのは「時間の問題」―ブルッキング研究所―」(2007年8月)

 http://otd9.jbbs.livedoor.jp/911044/bbs_plain?base=277&range=1



私は2003年7月に「阿修羅」サイトで、北朝鮮による「核テロ非対称戦」を推測し、



「北朝鮮は核テロを使った非対称戦こそ、アメリカに対する必勝の方法であるとし、核テロと核兵器開発を両輪とする核戦略を推し進める」

 http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/ame.election.html



とした記事を投稿したが、想定される北朝鮮のこの切り札を十分踏まえたうえで、オバマ政権スタッフと李明博政権には事態への対処にあたるよう警告したい。





    ■ アフガン情勢での米兵力分散と在韓米軍の処遇



緊迫する朝鮮半島情勢では、アメリカ軍や北朝鮮軍などの軍事的戦術の情報やアメリカの北朝鮮政策、ウィキリークスが伝えた朝鮮半島の南北統一構想に関する断片情報などに関心が高まっていると思う。しかしこれらについて述べる前に、朝鮮半島情勢を米軍における南アジア戦略とのバランスから捉え、在韓米軍の米軍全体での管理体制からの位置づけを見て、アメリカ軍とオバマ政権について今後の北朝鮮政策と軍事行動の予測を考える全体的背景として、理解しておきたい。



12月2日の毎日新聞によれば、軍関係者や専門家の間ではオバマ政権が軍事力行使に踏み出さないという見方が強いという。その理由を4つ挙げ、①核施設をすべて爆撃できない、②北朝鮮の反撃を予測するのが極めて難しい、③限定戦争から全面戦争へ発展する恐れがある、④膨大な財政赤字による米国の内政の行き詰まりとしている。



私はこれらの理由に更に2つを付け加えたい。一つは2011年7月に開始が公約されているアフガニスタンからの米軍撤退による情勢の更なる悪化、もうひとつは、朝鮮半島におけるペンタゴンの思惑だ。



現在アフガニスタン情勢は悪化を続けており、2011年7月と公約されていたアフガン撤退開始の戦略の見直しが12月13日の週に公表される(ブルーグバーグ12月3日)。2010年10月末に出された米ハドソン研究所の日高義樹氏の最新の著作レポートでは、現在カルザイ大統領はタリバンやアルカイダと和平工作を進めているという(『アメリカにはもう頼れない』)。そしてオバマが一番恐れていることは、カルザイ政権がタリバンやアルカイダと同盟体制を作り上げてしまうことだとされている。

米軍のアフガンからの「2011年7月撤退開始」については、駐留米軍のペトレアス司令官が反対し、イギリス軍リチャーズ参謀総長は2015年以降もイギリス軍の戦闘が必要であると発言している(毎日11月11日)。



「アフガニスタン戦争における多国籍軍の死者」(推移グラフ)

 http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nobu/iraq/casualty_A.htm



オバマは朝鮮半島情勢が緊迫する中で、12月3日にカルザイ大統領と会談する目的でアフガニスタンをメディアに事前告知せずに訪問した(ブルーグバーグ12月3日)。オバマが政権当初で国民に約束した「2011年7月撤退開始」の見直しをすれば、オバマの政治的支持母体である労働組合や学生進歩派グループが反対運動をおこすことになる。国内経済と外交・軍事問題が深刻化し、ワシントンではすでにオバマが再選を断念したという噂が流れている(日高著作レポート 2010月10月刊)。アフガニスタン戦争の情勢の悪化と敗北はオバマの大統領選での落選を決定的にする。



更に、アフガニスタンでの米軍の敗北は南アジア全体に波及し、パキスタン軍部の民族主義的台頭をまねき、それによりインドとパキスタンの対立が激しくなり、アメリカと共に中国も巻き込まれ南アジア全体が混乱することが予測されている(『米中軍事同盟が始まる』 日高義樹著 2010年1月刊)。



そのような状況下で北朝鮮による延坪島砲撃がおきたのだが、今年7月26日にウィキリークスによって、北朝鮮が2005年にアルカイダとタリバンに地対空ミサイルを売り渡していたという機密報告書が公開されている。「米連合軍航空機を攻撃できる遠隔操縦ロケット」、肩着式地対空ミサイルが売り渡されていたと推定する内容で、掲載されたワシントンポストでは、専門家らが「北朝鮮のアフガン武器取引はアフガン戦を遂行する米軍の戦力を弱化させる」と述べたそうだ。



http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=131589



敵軍の兵力分散は軍事戦術の基本であるが、イラン、パキスタンと連携する北朝鮮は地対空ミサイルの供与によってアフガニスタンのタリバン・アルカイダと連携し、オバマ政権の軍事力を大きく低下させる戦略を現在も実行していると見るのは、軍事インテリジェンスとして当然な見方だ。この兵力分散の戦略を外交・軍事面で最大限に発揮している代表例が中国共産党であり、他のアメリカの敵対国とアルカイダにとってもこれが定石となっている。



大規模レベルの二正面作戦がアメリカ軍に困難な状況下での、北朝鮮による延坪島砲撃は、オバマ政権の軍事・外交チームにとって非常な難題となっている。



北朝鮮問題でオバマ政権が軍事力行使に踏み出せないという見方のもう一つの理由は、北朝鮮との戦争で北朝鮮を敗戦させるとアメリカ軍は朝鮮半島から撤退せねばならず、対中国戦略上の損失であるということと、アメリカ陸軍の大半を占める在韓米軍の移転先と移転にかかる膨大な費用の財源をどうするかという難しい問題が存在していることだ。在韓米軍の撤退に強く反対しているのは、ペンタゴン、アメリカ軍幹部、CIA、国防関係者だ(『オバマ外交で沈没する日本』 日高義樹著 2009年6月刊)。



今年3月におきた韓国哨戒艦「天安」沈没事件ではネット上に陰謀論が流れたが、韓国軍の有事統制権は「天安」沈没事件により、6月の会談で韓国への移管時期を2015年12月1日と延期することでアメリカと合意することになった。





※次回のブログでは特に大きな状況の変化がない限り、アメリカ軍と北朝鮮軍の軍事的戦術についての情報やアメリカの北朝鮮政策、ウィキリークスが伝えた朝鮮半島での南北統一構想に関する米中高官が発した断片情報について述べてみたいと予定しています。





DOMOTO

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Author: DOMOTO