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※ 今後プーチンは、南北の朝鮮半島統一を目標に金正恩を説得していくと思われます。
※ 今後プーチンは、南北の朝鮮半島統一を目標に金正恩を説得していくと思われます。
有料メルマガ1月22日号の「朝鮮半島統一を描く米国と韓国」を掲載します。1月23日付けハンギョレ新聞の以下の報道と併せてお読みください。
ロシア共産党機関紙プラウダは1月20日、「プーチンにはいかに南北を和解させるかについてプランがある」とのタイトルの記事で、「米国は北朝鮮に新たな制裁を加えるが、プーチン大統領は南北首脳会談を準備している」と報じた。
さらに「プーチンが平和のための仲裁者に」なり、「もしプーチンの“ミッション”が成功すれば、ロシアの国際的な地位が高まるだけでなく、朝鮮半島統一の礎となるという点で、西側にはダブルパンチになるだろう」と付け加えた。
(上記URLの記事の一部を要約)
【◆◆以下は有料メルマガ1月22日号の一部です】
【1】 朝鮮半島統一を描く米国と韓国
─北朝鮮のこの先を135名の専門家が予測―
昨年12月10日に、米国の戦略国際問題研究所(CSIS)と韓国の東アジア研究所(EAI)が共同で組織する「CSIS-EAI 朝鮮統一会議」によるフォーラムが開催されました。その時の国務次官補ダニエル・ラッセル氏の演説が国務省のHPに掲載されています。これを読むとオバマ政権での国務省は南北朝鮮の統一を視野に入れ、その方向で北朝鮮への政策を考えていることがうかがえます。
CSIS Korean Unification Conference (12/10-2014 米国国務省)
http://www.state.gov/p/eap/rls/rm/2014/12/234944.htm
http://www.state.gov/p/eap/rls/rm/2014/12/234944.htm
2014年2月に出版された米ハドソン研究所首席研究員の日高義樹氏の著作レポートによれば(※注-1)、米国陸軍とCIAには、北朝鮮と韓国は統一・合併すると見る分析官が多くなっているといいます。政治状況が現状のようであるにも関わらず、統一・合併の方向に向かうと見ているのです。
フォーリン・アフェアーズ日本版では昨年の7月号の広告ページで、元CIA上席分析官のスー・ミ・テリー氏が、「朝鮮半島統一の恩恵に目を向けよ」という主張をしているのを見ました。
北朝鮮の崩壊を恐れるな―リスクを上回る半島統一の恩恵に目を向けよ (フォーリン・アフェアーズ日本版 2014年7月号)
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201407/Terry.htm
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201407/Terry.htm
この問題について戦略国際問題研究所(CSIS)は、2014年11月に朝鮮半島の南北統一とその将来に関する調査レポートを公開しています。それは、7つの国と地域からなる、135名の北朝鮮と安全保障の専門家たちへの質問調査の結果のレポートです。
The Future of North Korea (11/04-2014 戦略国際問題研究所 PDFファイル)
http://csis.org/publication/future-north-korea
http://csis.org/publication/future-north-korea
調査は2014年の5~6月にかけてで、報告者はキム・ソンハン氏。キム・ソンハン氏は高麗大学大学院教授でイルミン国際関係研究院の理事長です。
以下はこの調査記事の一部の抄訳です。
(抄訳開始)
金正恩政権の耐久性について最もよく見られた回答は一様に5~10年で、これは韓国の専門家の40.8%、韓国以外の専門家の37.2%がそう見ている。その一方ですべての回答者の33.3%が、正恩政権は10~20年間存続するだろうと答えた。
しかしながら調査結果によれば、今後3~5年の間の直近の将来の北朝鮮の国内政治は、国内の不安定化の高まりや体制の崩壊(35.5%)よりも、金正恩体制の強化が特徴づけられる(48.1%)。
専門家の過半数が、もし金正恩体制が崩壊するならば、その失脚は経済的失敗(27.4%)や人々の反乱(3%)よりはむしろ、おそらく指導部内での権力闘争の結果(64.4%)であるだろうと回答した。その権力闘争は最終的な政権の崩壊の中での極まりから支配層の間で起こることが予想されている。
中国の専門家でさえ体制崩壊の原因として、指導部内での権力闘争(50%)は経済的失敗(33%)よりも、より起こり得ると予測した。
核兵器計画についての北朝鮮の戦略の質問に応えて、回答者の95.6%のすべてが、核兵器での北朝鮮の譲歩(敗北)の可能性について悲観的であった。北朝鮮は継続的に核戦力を強化するだろうと51.9%が答え、核戦力を維持する一方で核について開かれた話し合いに応じるだろうと答えたものが43.7%いた。
「豊富な鉱脈」としての朝鮮の統一について、回答者たちは北朝鮮の崩壊を通しての統一(31.1%)よりも、北朝鮮と韓国の間の協定を通しての統一が(60%)より望ましいと答えた。このことは、もし統一が北朝鮮の崩壊を通して達成されるならば、南北朝鮮の統一は相当困難な仕事であるかもしれないという事を示唆している。
回答者の68.1%が「北朝鮮政府による統一への反対」が朝鮮統一への最大の障害だろうと答え、16.3%が「韓国政府の不十分な準備」を2番目の統一への障害と答えた。これは、もし韓国に適切な準備ができていなければ、統一のプロセスは相当な難題と困難に直面する恐れがあるという懸念を示している。
とくに、中国の専門家では25%の回答者が「韓国政府による不十分な準備」を選び、これは韓国の専門家が20.4%の割合でそれを選んだのに比べより大きな割合を占めた。このことは、統一が起きるとき、韓国がしっかりと準備できていないために、北京に著しい重荷が降りかかるシナリオを中国が心配していることを示唆している。
(抄訳終了)
2014年10月に米国と韓国の間で、有事の際の作戦統制権を在韓米軍から韓国軍に移す時期が、予定の2015年12月から延期になりました。その理由は核・ミサイル開発を続ける北朝鮮の軍事力に対応する能力が、韓国に十分に備わっていないということでした。
2014年10月に米国と韓国の間で、有事の際の作戦統制権を在韓米軍から韓国軍に移す時期が、予定の2015年12月から延期になりました。その理由は核・ミサイル開発を続ける北朝鮮の軍事力に対応する能力が、韓国に十分に備わっていないということでした。
しかし、キム・ソンハン氏の135名の専門家から調査したレポートが示すように、北朝鮮の指導部内での権力闘争、そして国内の不安定化の高まりや体制の崩壊といった予測を考慮して、有事の際の作戦統制権の移管が延期されているという理由もあると思います。
2014年9月4日にワシントンのCSISの本部では、米韓両国のシンクタンクによる2日間の会議『新しい時代での朝鮮の統一』(“Korean Unification in a New Era”)が行われました。この時の議事録が12月1日にネット公開されています。
Korean Unification in a New Era (12/01-2014 戦略国際問題研究所 PDFファイル)
http://csis.org/publication/korean-unification-new-era
http://csis.org/publication/korean-unification-new-era
私はまだ、この長い議事録のはじめの方をざっとしか目を通していないのですが、南北朝鮮の統一が大きな経済・投資効果をもたらすことがかなりの分量で、会議の出席者たちによって述べられています。
また、「ロシアは朝鮮統一のなかで重要な役割を演じるプレーヤーになるだろう」とも言っています。「エネルギーや輸送、とくに鉄道とインフラ基盤などの分野での潜在的な共同パートナーであることができる」と述べています。
■ ※ 注-1 『アメリカの大変化を知らない日本人』 第5章 2016年、アジア大混乱が始まる(日高義樹著 2014.3.10刊 PHP研究所)