①中国の金本位制へむけた準備-ノーベル経済学賞のマンデル教授が人民元を加えた金本位制を提唱―

               Robert Mundell

目次

■ ① 中国とマンデル教授

■ ② 中・印・ロによる金の大量購入と周小川総裁の見方

■ ③ 中国と基軸通貨SDRをめぐる変化

■ 結語:世界経済の崩壊と金本位制

本稿は、「修正金本位制」について阿修羅サイトに投稿した以下の2稿の続稿です。

①世銀総裁の「修正金本位制」発言 と 世界主要国の中央銀行の金への急速なシフト(2011.8月3日)

http://www.asyura2.com/11/hasan72/msg/616.html

②金本位制への変革を大統領選トップ候補 ケイン氏が示唆―共和党の金本位制コネクション―(2011.10月30日)

http://www.asyura2.com/11/hasan73/msg/840.htm

金本位制への転換を主張し、米大統領選で共和党のトップ候補であったケイン氏はセクハラ問題で12月3日に選挙戦を撤退した。しかしその後、共和党のトップ候補となったニュート・ギングリッチ候補もロン・ポール候補(3位)とともに金本位制への転換が望ましいと示唆する発言をしている。ケイン氏はギングリッチ候補の支持に回ったようだ。ニューヨークタイムズには金本位制についての特設ページが設けられている。

Republicans Learn Moneyball (10月17日 The Weekly Standard)

http://www.weeklystandard.com/articles/republicans-learn-moneyball_595929.html?page=1

Gold Standard:The New York Times

http://topics.nytimes.com/top/reference/timestopics/subjects/g/gold_standard/index.html

■ ① 中国とマンデル教授

SDRの構成通貨である米ドルとユーロへ中国人民元を加え、この3つの通貨に金を組み入れた国際金本位制を創設する(現在のポンドと日本円は除外される)。

1999年にノーベル経済学賞を受賞したロバート・マンデル教授(1932年生、カナダ人)が、先月11月12日に中国・浙江省の省都、杭州(ハンチョウ)で開催された「中国ゴールド・サミット・フォーラム」でこう提唱したそうだ(Forex News 11月14日)。

(※◆ SDR:IMFの特別引き出し権。現在は米ドル、ユーロ、ポンド、日本円の通貨バスケットによる算出を行い、SDRの米ドルでの価値が毎日IMFから提示される。中国・ロシア・ブラジルなどがドルに代わる基軸通貨の候補に挙げている。※注-1)

Mundell: RMB should be the U.S. dollar and the euro has become an important currency

http://www.forex-news.co/mundell-rmb-should-be-the-u-s-dollar-and-the-euro-has-become-an-important-currency.html

the same time, Mondale support the gold into the SDR. He said gold as a reserve, for early warning of inflation, even if another 100, gold still remains in the monetary and financial system.

ユーロ導入の基礎となる研究などでノーベル経済学賞を受賞し「ユーロの父」と呼ばれているマンデル教授は、現在コロンビア大学と香港中文大学の経済学教授。親中派の学者で英文ウィキぺディアによれば、中国中央テレビで彼が講義を行う人気シリーズ番組にも出演しているという。

http://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Mundell

Forex Newsによれば、マンデル教授は今年9月北京で開かれた「ノーベル賞受賞者北京フォーラム」で、ドルとユーロをリンクさせた新しい合成通貨(『 DOLLEURO 』)のシステムについて講演している。

10月に発売された米ハドソン研究所の首席研究員、日高義樹氏の新刊では、現在のアメリカに、ドルとユーロを関連付けそこへ「金」を組み込んだ新通貨体制を構築しようとする主張があることが紹介されている(『アメリカの歴史的危機で円・ドルはどうなる』)。

マンデル教授は今年6月にアメリカのテレビ番組に出演し、ドルとユーロの合成通貨へ「金」を組み入れた新しい金本位制について主張を述べた。これを受けて6月13日の米経済誌「フォーブス」が、「ユーロを救うためのゴールドへの転換」と題するその解説記事を掲載している。解説は金本位制が専門のラルフ・ベンコ氏。

The Emerging New Monetarism: Gold Convertibility To Save The Euro

http://www.forbes.com/sites/ralphbenko/2011/06/13/the-emerging-new-monetarism-gold-convertibility-to-save-the-euro/

マンデル教授は杭州の「中国ゴールド・サミット・フォーラム」でも述べたそうだが、世界の経済規模は現存の金の保有量では対応できないため、標準的な(古典的な)金本位制へ復帰することは考えていない。

■ ② 中・印・ロによる金の大量購入と周小川総裁の見方

「民主主義インドと異なり、全体主義中国はトップダウンによる政策対応が早い。この違いが直近の両国金需要の統計に如実に表れている。通年ではインド1059.0トン中国769.7トンなのだが、2011年7-9月期に限定すると、インド203.3トン、中国191.2トンと一位二位が急接近しているのだ。」

中央銀行が牽引する相場 (12月1日 豊島逸夫ブログ:元WGC日本代表)

http://www.mmc.co.jp/gold/market/toshima_t/2011/1107.html

11月中頃、ワールド・ゴールド・カウンシル発表の7~9月期の公的部門の金購入統計が異常に増加し、IMFに未報告、あるいは報告遅れで大量の金を買っている国があると欧米金市場で話題になっていたそうだ。

11月20日と21日の日経では、マーケット・ストラテジィ・インスティチュート(MSI)の亀井幸一郎氏とワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)元日本代表の豊島逸夫氏が、このことを、大量に金を買い進めている「ミステリアス・バイヤー」がいると言って取り上げている。

この異変に関してはロイターのアナリストが、過去2年間の傾向から対外黒字額と外貨準備高の大きい中国とインドがその主な国であると分析している。

ANALYSIS-Yellow-BRIC road leads to mystery gold buyers (11月18日)

http://af.reuters.com/article/metalsNews/idAFL5E7MI28620111118

前出の6月13日の「フォーブス」の記事の中でラルフ・ベンコ氏は、インド準備銀行の元副総裁のタラポア氏が金本位制の長所を公式に明言していること、中国人民銀行の周小川総裁が金本位制を軽視してはいないことを Ye Weiqiang 氏の報告として挙げている。周総裁は2009年4月に、現在のSDRに中国の元を加えたSDR構想を発表している。

———————————————————————————————大国である中国、ロシア、インドが行なった大規模の金の買い付けについては、国家の生き残りをかけた「基本的な重要戦略」として捉えるべきだ。朝倉慶氏は2009年の4月時点のレポートでこの点を強調している。ここでは、大規模の金の買い付けを行った中国とロシアが、SDR本位制の実現という戦略目標を持って動いているという事を考え合わせることが重要だ。

(中略)「一方、中国当局は急ピッチで、中国工商銀行などの4大銀行を使って国民・民間に金を保有させようと動いている」。国民・民間の金保有量を増やし、国としての金の持ち高を大幅にふやそうというのはロシアやインドでも同様なようだ(『2012年、日本経済は大崩壊する』 朝倉慶著 2011年7月刊)。

世銀総裁の「修正金本位制」発言 と 世界の中央銀行の金への急速なシフト (拙稿 2011.8月3日)

http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/35473133.html?type=folderlist

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<②「中国の金本位制へむけた準備-ノーベル経済学賞のマンデル教授が人民元を加えた金本位制を提唱―」へ続く>

http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/36148747.html

DOMOTO

http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735

http://www.d5.dion.ne.jp/~y9260/hunsou.index.html