ロシアとエジプト、バーレーン、スンニ派政権

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2014年8月、黒海に面した港ソチでの歓迎式典に出席したエジプトのシーシ大統領とプーチン。誘導ミサイル巡洋艦で行われた。(“What’s behind Russia’s Mideast strategy?” Al-monitor, November 30, 2014)
 
【◆◆以下は、有料メルマガ2月12日号の第3節で、第2節「プーチンの地中海・中東戦略」の各論にあたるものです
 
   【3】 ロシアとエジプト、バーレーン、スンニ派政権
 
トルコについては有料メルマガ1月22日号ですでにお伝えしました(『ロシアとトルコ:中東と地中海への布石』)。これまでのパイプライン計画を見直し、中東と欧州圏を結ぶ位置にあるトルコを経由させるように変更することによって、トルコをロシアに取り込もうという策略です。
 
ロシアとトルコ:中東と地中海への布石─プーチンの欧州への策略―
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39245447.html
 
今回の記事では、第2節であげた中東と北アフリカの国の中からエジプトやバーレーンとロシア、そしてこれらの地域のスンニ派政権の国家とロシアの関係を取り上げた記事を見てみたいと思います。
 
米国のシンクタンクからもリンクされる中東専門のウェブサイト『アル-モニター』から、マキシム A. スチコフ氏の記事を取り上げます。
 
What’s behind Russia’s Mideast strategy? (「ロシアの中東戦略の背後に何があるのか?」 2014/11/30 アル-モニター)
http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2014/11/russia-mideast-strategy-behind-scenes.html
 
この記事では、近年ロシアは、米国の同盟国であるエジプトとバーレーンとの関係を強化してきたと言っています。
 
     ■ エジプト
 
ロシアによる武器と弾薬のセールスは約20億ドルに達し、2014年6月に就任したシーシ大統領は、最初の外国への訪問先として8月にモスクワを訪れました。
 
またプーチン大統領は、2月9日から2日間、今年初めての外国訪問をエジプトからスタートしました。プーチンはシーシ大統領が国防相であった時から関係強化を推進し、外務・防衛閣僚協議(2プラス2)も開き、軍事分野での協力推進で一致しています(日経 2014/2/14)。
 
また、ロシアとエジプトは、自由貿易圏を創設する可能性について調査しており、これは2014年8月のプーチンとシーシ大統領の会談の際に明らかにされています。
 
ロシアとエジプト 自由貿易圏創設の可能性を調査 (2014/08/13 ロシアの声)
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_13/roshia-ejiputo-keizai/
 
今月2月の首脳会談では、「軍事や経済分野で関係強化を図る包括的な協定を締結し、エジプトの原発建設計画をロシアが支援することでも合意し」、「ロシア製兵器の売却などが協議された」そうです。
 
露エジプト首脳:包括的協定を締結…対「イスラム国」など (2015/02/11 毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20150211k0000m030114000c.html
 
前述のエジプトとロシアの関係を扱った『アル-モニター』の記事の執筆者は、マキシム A. スチコフ氏ですが、この人はロシアの戦略問題研究所(Institute for Strategic Studies)の研究員で、『アル-モニター』のほかカーネギー・モスクワセンターの“Eurasia Outlook”にも寄稿しています。
 
そのスチコフ氏は2014年8月にシーシ大統領が就任後の最初の外国への訪問先としてロシアを選んだ事は、「エジプトはワシントン以外へ向かうことにするという、米国当局への明快なメッセージである」と指摘しています。
 
Earlier in February, after seizing power in a coup, Sisi traveled to Russia as his first choice in foreign destinations — a clear message to US authorities that Egypt has “places to go” besides Washington.
 
これは、2013年7月のエジプトのクーデターの後に溝が深まった米国とエジプトの関係悪化をプーチンが好機と見て、米国の影響力を侵食しているのです。
 
    ■ バーレーンと中東のスンニ派政権
 
スチコフ氏は、長年米国の同盟国として忠誠心が厚く、アメリカ第5艦隊の司令部が置かれているバーレーンがロシアとの関係を強化しているのは、とりわけ興味深いと言っています。
 




現在の経済的束縛のもとで、ロシアは新しい収入源を考慮しており、それゆえバーレーンをペルシャ湾岸での重要なパートナーとして考える。2国間の課題(スケジュール)は、エネルギー、投資、そして金融部門が主役となる。(訳注:バーレーンはドバイ、カタールに次ぐ中東の金融センターでもあります)

 
2014年10月に、プーチンとバーレーンの国王がロシアのソチで会談した後、主要な航空会社であるバーレーン・ガルフ航空とともに初めての直通便を開設した。
それは、ロシアに対する米国主導の制裁の影響を受ける恐れがあるにも関わらずに行われた。
 
(“What’s behind Russia’s Mideast strategy?”「ロシアの中東戦略の背後に何があるのか?」)
 




そしてスチコフ氏は、中東のスンニ派政権とロシアの政策について次のように述べています。

 
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ロシアはイランと協力関係を持つところからその政策を「親シーア派」と評価されることが多いが、ロシアのイスラム教徒の圧倒的多数はスンニ派である。実際、ロシア国内の一部のイスラム教指導者たちはロシアの中東政策に懸念を表明した。この問題についてロシア政府は真剣に受け止め、これを考慮に入れなければいけない。
 
それゆえ、エジプト(スンニ派)やバーレーンとパレスチナのスンニ派指導部と協力することは、ロシアの政治的・経済的領域を拡大するだけでなく、ロシア国内のイスラム政治団体からのロシア政権への支持を強固にするのに役立つ。パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス大統領(PLO議長を兼任)は北コーカサスを二度訪問している。
 
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